新型レヴォーグで勢いに乗るスバル なぜ一斉に受注終了? 燃費規制にまつわる厳しい事情とは
SUBARU×KeePer、オリジナル高級ボディコーティング発売へ
KeePer技研は、SUBARU(スバル)とKeePerのダブルネームにて、SUBARUオリジナル高級ボディコーティング「SUBARU WダイヤモンドKeePer」を10月29日より発売する。
SUBARU WダイヤモンドKeePerは、ボディに加え、ホイール+ヘッドランプのコーティングが加わったプレミアムなボディガラスコーティング。Wのガラス被膜とレジン被膜の3層構造により、圧倒的な強度を保ちながらも耐久性を確保する。光沢保証は5年間(ホイール、ヘッドランプコーティングは1年保証)。スバル新車納車整備センターのコーティング施工者へのKeePer技術認定制度を独自に導入し、全国同一の高い仕上り品質を確保する。
今後、SUBARU WダイヤモンドKeePerは、スバルディーラーに順次導入予定(一部を除く)。新車購入時に高級化志向の顧客ニーズに合わせて販売される。
SUBARU「フォレスター」の改良モデル発表!新型レヴォーグと共通の新開発1.8ℓ直噴ターボ“DIT”エンジンを新設定
「フォレスター」は、SUBARUが最量販車種と位置づけるグローバル戦略車だ。2018年に発表・発売した第5世代では、SUBARU GLOBAL PLATFORMを採用することで、クラストップレベルの衝突安全性能・危険回避性能や、ドライバーの意志に忠実なハンドリング・快適な乗り心地を実現。さらにSUBARU初となる乗員認識技術ドライバーモニタリングシステムや水平対向エンジンと電動技術を組み合わせた「e-BOXER」など新たな価値を加えることで、ユーザーが豊かさ・快適さ・愉しさ・冒険心といった気持ちを感じられるエモーショナルで身近な存在として、機能・性能を磨き上げた。
今回の改良では、力強い走りと環境性能を高い次元で両立した新開発1.8ℓ直噴ターボ“DIT”エンジン搭載グレード「SPORT」を追加。さらに、新感覚の走りの愉しさを実現する電動技術e-BOXER搭載グレードを「X-BREAK」「Touring」に拡大し、「X-BREAK」には新制御のモーターアシストe-アクティブシフトコントロールを採用した。
新グレード「SPORT」では、新開発エンジンに加えて、専用開発のダンパーとコイルスプリングを採用することで、SUVでありながら質感の高い、スポーティな走りを実現した。エクステリアでは、ブラック塗装のフロントグリルや、ダークメタリック塗装のアルミホイール等でコーディネート。インテリアではホールド性などの機能性に優れたウルトラスエード/本革シートを採用することで、最上級スポーツグレードにふさわしい仕様となっている。
また、ドライバーモニタリングシステムを全グレードに設定。ドライバーが乗り込むと、インパネセンターバイザーに内蔵されたカメラがドライバーの顔を認識し、シートポジションやドアミラー角度、空調などを自動的に再現するなど、安全運転を支援するとともに、おもてなしも提供する。
SUBARUオリジナル高級ボディコーティング「SUBARU WダイヤモンドKeePer」新発売
[KeePer技研株式会社]
この度、KeePer技研株式会社(愛知県大府市:代表取締役社長兼COO 賀来 聡介、以下KeePer技研)はSUBARUとKeePerのダブルネームにて、SUBARUオリジナル高級ボディコーティング「SUBARU WダイヤモンドKeePer」を10月29日(木)より、発売開始をいたします。
今後、この製品はSUBARUディーラーに順次導入予定です。(※一部を除く)
そして、新車購入時に高級化志向のお客様のニーズに合わせて販売されます。
社員でも入れないSUBARU資料館に潜入! 自動車史を彩る名車を紹介
新型「レヴォーグ」の発売を開始したSUBARU。国内新車としては久しぶりとなるステーションワゴンタイプの1台だ。そこで今回、SUBARUのステーションワゴンと共に、同社の歴史も併せて振り返りたいと思う。
社員でも滅多に入れない施設は
自動車の歴史が詰まっていた!
今回お邪魔したのは、栃木県佐野市にある「スバル研究実験センター」内の「スバル技術資料館」。一般公開はおろか、SUBARU社員でも立ち入ることが難しい施設だ。ちなみにSUBARUは一般向けとして、群馬製作所 矢島工場に「スバルビジターセンター」という展示施設を用意している。
SUBARUが初めて「ツーリングワゴン」を出したのは、1981年のこと。2代目レオーネのマイナーチェンジモデルに、同社初5ナンバーサイズのステーションワゴンとして産声をあげた。従来のバン(エステートバン)をベースに、2段ルーフを採用。レジャーへの対応力を上げたモデルとした。
1984年に登場した3代目レオーネにも、このツーリングワゴンは設定されたが、1989年に産声をあげたレガシィにより、レオーネからツーリングワゴンは姿を消すこととなる。そのいっぽうで旋風を巻き起こしたのがレガシィ ツーリングワゴンだ。
水平対向エンジンに四輪駆動というスバルの伝統を受け継ぎながら、それまでにないスタイリッシュなデザイン、ターボチャージャーを搭載した速いツーリングワゴンの設定、そしてWRCへの参戦も大きな話題を集め、レガシィは大ヒットした。その中でもツーリングワゴンは使い勝手の良さも相まって、レガシィの代名詞に。SUBARUに習い、各社ツーリングワゴンを市場投入していった。
1993年に二世代目となるレガシィが登場。他社が大型化する中、5ナンバーサイズにこだわった。いっぽう内外装のデザインに元メルセデス・ベンツのチーフデザイナー、オリビエ・ブーレイが参加し、従来とは異なる方向へと進化。エンジンは水平対向4気筒ターボから、低回転時と高回転時で異なるターボチャージャーを使うシーケンシャルターボを採用。後期モデルでは2リットル市販車としては初となる280馬力を達成した。
1995年からは、グランドワゴンという現在のアウトバックにつながるモデルを途中で追加。SUV的な要素を加えたステーションワゴン型クロスオーバーの先駆けとなり欧州で大ヒット。その後、アウディやボルボなどから、同様のモデルが相次いで発売された。
1998年に登場した3代目は、開発の方向性がツーリングワゴンを主軸としたものに。ちなみにセダンは半年後にデビュー。B4という名前が与えられたほか、スポーツセダン色が強められた。エンジンは従来の水平対向4気筒のほか、3リットル水平対向6気筒もラインアップに加わった。外観上の特徴としては、ヘッドランプに上下2灯タイプを採用、上級グレードにはHIDランプが用意されたこと。ちなみに発売前の1998年4月23日に、アメリカ・コロラド州の公道での速度記録に挑戦。1kmの区間平均速度で270.532km/hを達成、「ステーションワゴン多量生産車無改造部門」における世界速度記録を更新した。
2003年には4世代目が登場。全幅を拡大し3ナンバー化することで、プレミアム路線へと進化した。その一方で、最小回転半径を先代より小さくしたほか、グレードによっては100kg近い軽量化も達成。「大柄になって使いづらくなった」という声を受けないビッグチェンジだった。
2009年には5代目が登場。より大型化したことで、ゆとりある室内空間を確保した。なお、日本でツーリングワゴンの設定があったレガシィは、この5代目までとなる。
ツーリングワゴンの血を引き継いだのが、2014年に登場したレヴォーグである。ボディーサイズは、5代目レガシィ・ツーリングワゴンより全長/ホイールベースともに100mm短縮し、全高を50mm低く設定。日本の交通環境で取り回しのしやすいボディーサイズとした。エンジンは300馬力を発する2リットルターボのほか、新開発の1.6リットル水平対向4気筒も用意。170馬力と十分なパワーを発生した。
エクステリアはルーフ後端を低く抑えたシルエットと、スバルのモチーフである「ヘキサゴングリル」や「ホークアイヘッドランプ」を採用。力強いフォルムが評価され、同社としては3度目となるグッドデザイン賞を受賞した。
以上が、新型レヴォーグに続くSUBARUツーリングワゴンの系譜だ。新型レヴォーグに関しては、今後ASCII.jpでも数多く取材する予定なので、ぜひチェックしてほしい。アイサイトXに目がいきがちだが、ツーリングワゴンとしての使い勝手の進化に驚くこと間違いナシだ。
スバルがこだわる「眼」の大きさ 新アイサイトの次へ
2030年までに死亡事故ゼロへ! スバルが普及を進めてきたアイサイトの歴史を振り返る
スバル、「新型レヴォーグ」を発表
SUBARUが10月15日、新型レヴォーグを発表。同日から販売を開始した。
新型レヴォーグでは、自車の周囲360度のセンシングを行い、これまで以上に安全性を高めた「新世代アイサイト」を全車に標準装備。加えて、3D高精度地図データと準天頂衛星「みちびき」やGPSなどの情報を活用することで、より高度な運転支援を実現した「アイサイトX(エックス)」を搭載したグレードも設定。
メカニズム面で注目すべきは、最新のスバルグローバルプラットフォームにフルインナーフレーム構造を組み合わせることで高剛性な車体を実現していること。新開発の1.8L水平対向4気筒直噴ターボ“DIT”エンジンとも相まってスポーティかつ質感の高い走りを見せる。
エクステリアデザインも新型のポイントのひとつ。SUBARUのデザインフィロソフィーである「Dynamic×Solid」をさらに深化させた新デザインコンセプト「BOLDER」を量産車として初採用。彫りが深く、抑揚に富んだ豊かなボディ曲面で新型レヴォーグのスポーティな魅力を引き出すことに成功している。
快適性や積載性を実現するワゴン機能やインテリアも大幅にブラッシュアップ。大型センターインフォメーションディスプレイや、「アイサイトX」搭載グレードに採用されるフル液晶メーターなどにより、先進のデジタルコックピットも実現している。
また、SUBARUは2020年8月20日から10月14日までの新型「レヴォーグ」先行予約台数が8290台だったことも発表。このうち、高度運転支援システムの「アイサイトX」搭載グレードは93%を占めるという。
スバル 中村知美社長に聞く、スバルの航空機とクルマづくり
スバルのツーリングワゴン、新型「レヴォーグ」が10月15日に正式に発表された。スバル車の新しいプラットフォームであるSGP(Subaru Global Platform)によってフルモデルチェンジ。安全装備として「アイサイトX」、熱効率40%の新型エンジンなどスバルの持つ技術をすべて盛り込んだモデルになる。
スバルは新型レヴォーグのデビューの場に、成田国際空港にあるJAL(日本航空)のAハンガーを選択。JALやANA(全日本空輸)が運航するボーイング 787型機の中央翼をスバルが製造しており、JALへはニュルブルクリンクへのレーシングマシン輸送などを依頼しており、そのような協力関係のもと、ボーイング 787を舞台に新型レヴォーグをデビューさせた。
発表会ではスバル 代表取締役社長 CEO 中村知美氏、新型レヴォーグ開発者である商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャー 五島賢氏からプレゼンテーションが行なわれたほか、五島氏とJAL(日本航空)常務執行役員 整備本部長 北田裕一氏によるエンジニア対談も実施された。
イベント終了後、中村社長にスバルの航空機とクルマづくりについて聞いてみた。
中村社長はプレゼンテーションでも紹介していたボーイング 787の中央翼に触れながら、航空機のとクルマづくりに共通するものは安全とそれを支える品質であるという。とくに航空機においては、各種の決まっているレギュレーションを含め高い品質が求められ、応えていくことが重要であるとする。とくに規定で決まっている部品のトレーサビリティなどについては、航空機のほうが進んでいる面もあり、それは自動車の品質管理においても採り入れるべきものがあるという。ただ、決定的に違っているのは量産規模。航空機は、たとえばボーイング 787であれば最盛期で月産十数機(中央翼は巨大部品で、1機に一つ組み込まれている)。一方クルマは、コロナ禍の影響がある8月時点で国内4万台以上、海外4万台近くの規模になる。中村社長は、「自動車はそういった生産性の向上と効率を求めて、もうかなりすごいレベルに来てると思います。スバルをはじめ、日本のメーカーはそういったところを航空側にも持って行けるだろうか」と、クルマの優れた量産技術を少量生産が前提の航空機部品生産へどう活かせるかということを、課題として見ているようだ。
スバルは自動車と航空宇宙事業を柱としており、一度にその2つの主力製品を見ることのできたJAL Aハンガーにおける新型「レヴォーグ」オンライン発表会だった。
「SUBARU」運転支援機能を充実 ワゴンタイプの新型車を発表
交差点を横断中の歩行者や、対向車と衝突する事故を避けるため、運転席近くのカメラと車の前方に取り付けた左右2つのレーダーで周囲の状況を検知し、車や人が近づくと自動でブレーキがかかる仕組みを取り入れています。
高速道路では、
▽渋滞している時に限って、ハンドルから手を放していても走行できたり、
▽後ろを走る車の動きをレーダーで検知しながら自動で車線変更ができたりする機能も、有料で追加できます。
中村知美社長は記者会見で「新しい技術を惜しみなくつぎ込んだ車だ。ドライバーの負担を少なくすることが結果的に安全につながる」と話していました。
新型コロナウイルスの影響で、車の販売は一時大きく落ち込みましたが、最近では二酸化炭素の排出が少ないという環境面だけでなく、運転支援の機能を充実させた車の売れ行きが好調です。
トヨタや日産自動車など国内メーカーだけでなく、メルセデスベンツといった海外メーカーも自動ブレーキなど、さまざまなシステムの開発を強化しています。
SUBARUも運転支援の機能をアピールしていく考えです。
【スバル レヴォーグ 新型】新開発エンジン、最新デジタルコックピット搭載…価格は282万円から
SUBARU(スバル)は10月15日、フルモデルチェンジしたステーションワゴン『レヴォーグ』新型を発表した。価格は282万円から409万2000円。
2代目となる新型レヴォーグは、「より遠くまで、より早く、より快適に、より安全に」というグランドツーリングのDNAを継承。その上で、最新技術を結集し、「先進安全」、「スポーティ」、「ワゴン価値」を進化させた。
スバルによると、先行予約台数は8月20日から10月14日までの間で8290台に達した。グレードの内訳では、高度運転支援システム「アイサイトX 」搭載グレードが93%と、先進性が支持されているようだ。発売日はあらためて発表される予定。
360度センシングで安全運転をサポート
新型レヴォーグは、広角化した新開発のステレオカメラに加えて、前後4つのレーダーを組み合わせることで360度センシングを実現。ソフトウェアの性能向上や、電動ブレーキブースターの採用などにより、幅広いシーンで安全運転をサポートする。
前側方プリクラッシュブレーキでは、見通しの悪い交差点や店舗の駐車場などから出庫する際に、前側方レーダーによって前側方から接近する車両を検知。衝突の危険があるとシステムが判断した場合、警報音やアイサイトアシストモニターなどで注意を喚起。回避操作がない場合はブレーキ制御を行い、出会い頭の衝突回避をサポートする。また、センターインフォメーションディスプレイにフロントビューモニターを表示させている場合、前側方レーダーによって接近車両を検知すると、映像内にインジケーターで通知する。
さらにプリクラッシュブレーキの制御だけでは衝突回避が困難な場合、システムが周囲に回避スペースがあると判断すると、ステアリング制御もあわせて行い衝突回避をサポート。エマージェンシーレーンキープアシストは、約60km/h以上での走行時、隣接車線の後方車両が接近しているにもかかわらず、車線変更しようとした場合や車線からはみ出しそうになった際、音と表示でドライバーに注意を喚起するとともに、ステアリング操作をアシストして車線からの逸脱を抑制する。
先進運転支援システム「アイサイトX」を採用
高精度マップを活用した新開発の先進運転支援システム「アイサイトX」を採用。一定の条件を満たした自動車専用道路にて、GPSや準天頂衛星「みちびき」などからの情報と3D高精度地図データを組み合わせることで、自車位置を正確に把握。運転支援機能を大幅に拡張する。
渋滞停止時(0~約50km/h)には、一定の条件を満たすことでハンズオフやスイッチ操作なしでの発進が可能となる。走行中は、進入するカーブの曲率に合わせて、適切な速度に制御。料金所手前では、ETCゲートを安全に通過できる速度まで減速し、通過後はセット車速まで加速する。高速走行時(約70~約120km/h)での車線変更も、システムが作動可能と判断すると、ステアリングを制御してアシストを行う。
ただし、長時間ステアリングから手を放しているとシステムが判断した場合や、渋滞時ハンズオフアシスト作動中に脇見や居眠りを検出した場合には、ドライバー異常時対応システムが作動。警告後もステアリングを握らないことが続いた場合は、ドライバーに異常が発生したと判断。徐々に減速・停止し、ハザードランプやホーンで周囲に異常を知らせる。
コネクティッド機能や衝突安全性能も進化
新型レヴォーグは、コネクティッドサービス「SUBARU STARLINK」を採用。11.6インチセンターインフォメーションディスプレイやGPS、車載通信機などを搭載し、24時間365日コールセンターとつながることで、交通事故やトラブルが発生した際に、確かな安心でサポートする。
また、万が一の事故の被害を最小限にする 衝突安全性能も進化。デュアルエアバッグをはじめ、サイドエアバッグ+カーテンエアバッグや、前面衝突時に下肢へのダメージを軽減する運転席ニーエアバッグ、さらにシートベルトによる拘束保護性能を高める助手席シートクッションエアバッグを採用する。加えて、歩行者保護エアバッグも装備。歩行者との衝突を検知した場合、Aピラーやフロントガラス下部といった硬いパーツを覆うようにエアバッグが展開し、歩行者への衝撃を緩和する。
新開発1.8リットル直噴ターボやスバルグローバルプラットフォーム×フルインナーフレーム構造を採用
パワートレインは、最高出力177psを発生する新開発1.8リットル水平対向4気筒直噴ターボエンジンとリニアトロニックCVTの組み合わせ。新開発エンジンは日常での扱いやすさを重視し、低回転域から300Nmの高トルクを発生。最新技術リーン燃焼などの採用により、優れた環境性能も実現している。
また、総合安全性能のレベルを引き上げるとともに、意思に忠実なハンドリングや、快適な乗り心地を実現する「スバルグローバルプラットフォーム」をベースに、ボディ全体の骨格連続性を高める「フルインナーフレーム構造」や微小な変形を抑える「構造用接着剤」などを採用。さらなる高剛性化と軽量化を実現している。
「STIスポーツ」および「STIスポーツEX」には、ドライブモードセレクトを搭載。スポーツカーのような走行特性を愉しめる走りから、高級車のようなしなやかな乗り心地を重視した走りまで、スイッチひとつでクルマのキャラクターを大きく変化させる。あらかじめ設定された4つのモードに加えて、各デバイスの設定を自由にカスタマイズできるモードも搭載した。
新たなデザインコンセプト「BOLDER」採用
新たなデザインコンセプト「BOLDER」をスバル量産車で初採用。レヴォーグが持つ個性をより大胆に際立たせ、「意のままにコントロールする愉しさ」や「先進性」を表現した。
フロントビューは、立体的でワイドに構えたヘキサゴングリルと、シャープで切れ味の鋭いヘッドランプの精悍な目つきでスバルらしさを表現。大胆に張り出したフェンダーにより、力強さを感じさせるデザインとした。
サイドビューは、大胆な前傾姿勢で切れ上がったスムーズなシルエットと、今にも走り出しそうな勢いのあるキャラクターラインで、走りのパフォーマンスを表現。機能を集約したリヤコンビネーションランプは、コンパクトデザインでシャープな印象を持たせつつ、クルマ全体はワイドで安定感のある佇まいとした。
先進的なデジタルコックピット搭載
インテリアは素材感や機能性の表現にこだわり、上質な室内空間を表現。パッケージングの最適化による後席居住空間の拡大など、パフォーマンスワゴンにふさわしい快適性を実現した。
また、従来からの広い荷室スペースに加えて、大容量のサブトランクを新たに採用。荷室総容量を561リットル(カーゴフロアボード上部492リットル、サブトランク69リットル)として積載性能が大幅に向上した。アクセスキーを携帯し、リヤの六連星オーナメントに肘など体の一部を近づけるとリヤゲートが自動で開くハンズフリーオープンパワーリヤゲートも装備する。
コクピットは、タブレットライクな大型センターインフォメーションディスプレイや大型のフル液晶メーターを採用し、HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)を充実させた。縦型11.6インチセンターインフォメーションディスプレイには、ナビゲーションをはじめ、車両やエアコンの設定、SUBARU STARLINK、ラジオやテレビなどさまざまな機能を内蔵。Apple CarPlay/Android Autoに対応し、アプリを大画面に表示できるほか、音声認識による操作も可能だ。
アイサイトX搭載グレードには12.3インチフル液晶メーターを採用。運転に必要な情報をグラフィカルに表示し、少ない視線移動で瞬時に認識できる。スピードメーターとタコメーターの2眼表示をする「ノーマル画面」、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイのナビゲーション情報と連携する「地図画面」、アイサイト関連の作動状態を大きく分かりやすく表示する「アイサイト画面」の3モード表示とした。
もう、あとは発表会だけだ…スバル レヴォーグ 新型を解剖
『月刊自家用車』11月号
発行:内外出版社
定価: 880円(本体800円+税)
『月刊自家用車』11月号、巻頭の「フェアレディZプロトタイプの全貌」(4ページ)に続く「大」特集は「SUBARU[新型]レヴォーグ実力大解剖」。プロトタイプ試乗、プロフィール&キャラクターまとめ、新旧レヴォーグ比較試乗、同門比較スバルラインナップ再検討、歴代レガシィツーリングワゴンから新型レヴォーグヘ、というように細かく解剖する(20ページ)。解剖は大きいより細かい方がいい。オンライン発表会は10月15日14時00分からだ。
2番目の「大」特集は「TOYOTA[新型]ヤリスクロス魅力大研究」(12ページ)。価格に驚かされたが、『月刊自家用車』によると、ヤリスクロスが本領を発揮するのはリアルワールドでの走りだそうで、公道試乗インプレッションをリポートしている。ライバル車比較は、キャビン&ラゲッジ、走り&ドライバビリティ、コストパフォーマンス、と、項目別に比較して実用的でわかりやすい記事だ。さらに最新コンパクトハッチとも比較する。
オールドファンは「名車探訪 ISUZU ジェミニ」を読んで涙。『月刊自家用車』11月号は読むのに時間がかかる。トヨタ・ヤリスクロス
気になる見出し……●変わっていないようで、すごく変わった! HONDA[新型]N-ONE●フェアレディZプロトタイプの全貌●SUBARU[新型]レヴォーグ実力大解剖●TOYOTA[新型]ヤリスクロス魅力大研究●TOYOTAハリアーVSレクサス軍団 RX NX UX ベストバイはこれだ!●名車探訪 ISUZU ジェミニ●最新クーペSUVの魅力を深掘り! VOLKSWAGEN T-Roc●愛犬用アクセサリー「HONDA DOGシリーズ」でお出かけ!『月刊自家用車』11月号
★出版・編集関連事業に携わる方々へ:御社で発行されるモビリティ(自動車、モーターサイクルなど)関連書籍・雑誌を当編集部までお送りください。『レスポンス』サイト上にて紹介させていただきます。送り先は「〒163-0228 東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル28階 株式会社イード『レスポンス』編集部」。
一気に9車種販売休止!! 台数激減でも自信満々 スバル販売戦略の思惑
スバルは2020年5~8月にかけてラインナップを一新するために、既存のラインナップ中の9車種をオーダーストップとし、9車種中の2車種、レガシィB4とBRZは販売終了となった。
元々少数精鋭のラインナップのスバルにとって、一見異常とも思える戦略に映ってしまう。しかも、レヴォーグ、インプレッサについては、発表と発売の時期が大きくずれているため、販社はどのように対応しているのかも気になる。
スバルの販売戦略の是非について、渡辺陽一郎氏が考察する。
扱い車種が少ないのに改良時期が重なった
スバルのクルマ造りは、トヨタや日産とは手法が違う。エンジン、プラットフォーム、車種の数などを抑える代わりに、技術指向の強い個性的な商品開発をしている。そのためにユーザーにはクルマ好きが多い。
ただし最近は、以前から少なかった取り扱い車種がさらに減ってきた。販売店は販売終了したBRZについて次のようにコメントしている。
「BRZはすでに販売を終えました。次期型の開発を進めていますが、今は購入できません。次期型は2021年1月に開催される東京オートサロンで披露され、その後に発売する見通しですが、確定的ではありません」。
また日本のスバル人気を長きにわたりさせてきたレガシィシリーズについても言及。
「レガシィは、セダンのB4が販売を終えました。アウトバックは、北米で新型がすでに登場していますが、日本では従来型を売っています。日本仕様の新型レガシィアウトバックが登場するのは、2021年9月以降の見通しです。エンジンは環境性能の優れた新型レヴォーグと同じ1.8Lターボに変わる可能性もあります」。
レガシィB4は2020年6月、BRZは同年7月に新規の受注を終了した。その後、前述の通りB4は廃止され、BRZは2021年にフルモデルチェンジするから今は買えない。
レヴォーグも5月に従来型の受注を終えた。新型は8月20日に先行予約を開始して、正式な発表は10月15日だ。納車を伴う発売は11月26日だから、実質的に半年間はレヴォーグを販売しない状態が続く。
このほかWRX・STIは2019年末に生産を終えて、残されたWRX・S4も、7月にはグレードをSTIスポーツアイサイトのみに整理している。
スバルの上半期の販売台数は激減
このようにスバル車は、最近になって、一斉に切り替わりの時期を迎えて受注を終えた。販売する商品が減って困らないのか、この点も販売店に尋ねた。
BRZやレヴォーグはフルモデルチェンジに伴って販売を中断している状態であることを前提に、他の車種についても言及。
「インプレッサは10月にマイナーチェンジを受けましたが、この影響で7月には受注を中断しました。その後は在庫車を売ってきました。またその前の9月には、XVも改良されています。直近ではフォレスターもマイナーチェンジを控えており、いずれの車種も販売の中断によって売れ行きを下げました。それをこれから挽回するわけです」。
スバルの販売台数を振り返ると、コロナ禍の影響が収まってきた2020年7月以降も、大幅なマイナスが続いている。7月は国内市場全体では前年同月に比べて14%の減少だったが、スバルは27%減った。
同様に8月の国内市場は16%の減少だが、スバルは36%のマイナスだ。9月は国内市場が14%、スバルは45%減った。
2020年度上半期(2020年4~9月)をトータルで見ると、国内市場全体では前年同期に比べて23%の減少だが、スバルは42%減っている。
スバルは効率のいい商売をしている
ここまで販売台数が下がっても販売会社が維持される背景には、スバルの店舗数が少ないことも影響しているだろう。全国に展開されるスバルの店舗数は約460箇所だ。
トヨタ4系列を合計すると約4600箇所だから、スバルは10%の規模に収まる。ホンダは約2170箇所、日産は約2080箇所だ。
そこで2020年度上半期における1店舗当たりの販売台数を割り出すと、スバルは88台(1カ月平均なら15台)、トヨタは141台(同24台)、ホンダは130台(同22台)、日産は98台(16台)になる。
スバルの1店舗当たりの台数は少ないが、販売台数が昨年に比べて42%も減った割には、トヨタ、ホンダ、日産と比較してあまり変わらない。
さらにスバル車は、価格が全般的に高い。OEM軽自動車も国内で売られるスバル車の20~25%を占めるが、75%以上は小型/普通車だ。
そしてスバル車の中では価格の安いインプレッサも、売れ筋価格帯は220万~260万円になる。その次に売れるフォレスターは、300万円前後が中心だ。
いっぽう、ホンダでは軽自動車の比率が50%以上に達する。最多販売車種のN-BOXは、軽自動車では高価な部類に属するが、カスタムでも売れ筋グレードは170万~180万円だ。インプレッサに比べれば安く、N-WGNは中心価格帯が150万円前後まで下がる。
日産も軽自動車の比率が45%前後で、残りはノートとセレナだ。セレナは高価格だが、ノートはハイブリッドのe-POWERが中心ながら、価格はインプレッサと大差ない。
トヨタは高価格車のアルファードやハリアーも好調だが、コンパクトなヤリスやライズの販売台数も多い。
このように見てくると、スバルは通常では効率のいい商売をしている。スバルの商品企画担当者は「スバルの1店舗当たりの車両販売に基づく売り上げは、日本車ディーラーではレクサスに次いで高いです」という。
だからこそフルモデルチェンジや改良に基づく販売中断が集中して、対前年比が大きく下がっても、痛手は少ないのだろう。
スバルの販売方法ではユーザーを長期間待たせてしまう
しかしユーザーを長期間にわたって待たせるのは別の問題だ。
レヴォーグは前述のとおり、2020年5月に従来型の受注を終えて、8月20日に先行予約を開始した。納車の開始は11月26日以降だから、先行予約で注文したユーザーは、3カ月は待たされてしまう。
しかも販売店によると、「試乗車の配車は、発売日の11月下旬以降でしょう」というから、8月20日の先行予約開始から11月下旬までの約3カ月は、実車を見られない状態で商談している。
新型レヴォーグのセールスポイントは、「飛躍的に高められた走りの質感」だ。試乗できず、セールスポイントを実感できない状態で商談したり契約するのは、矛盾が伴ってスバルらしい売り方ではない。
ちなみにマツダも以前は、発売の約3カ月前に、実車のない状態で予約受注を開始していた。しかしMX-30は、予約受注の開始が2020年9月下旬で、10月8日には発売している。
予約受注の前倒しをやめた理由をマツダの商品企画担当者に尋ねると、「お客様と販売店のためにならないと判断してスケジュールを改めました」と返答した。スバルも試乗した上で、納得して商談できるようにすべきだ。
旧型を売り続けることの矛盾と弊害
レガシィも問題を抱える。北米では2019年7月に新型の生産を開始しながら、日本では今でも旧型を売っていることだ。新型レガシィはフルモデルチェンジだから、衝撃吸収力まで含めて、安全性が大幅に向上する。
販売店のコメントどおり、次期レガシィアウトバックの国内発売が2021年9月以降であれば、日本では約2年間も、北米に比べて安全性の劣った旧型を売り続けることになってしまう。
ホンダではアコードが、2017年7月に北米で新型を発表しながら、日本におけるフルモデルチェンジは2020年2月だった。2年半にわたり、日本では旧型を売っていた。
レガシィがほぼ5年周期でフルモデルチェンジすることを考えると、世界同時発売は無理としても、発売の時間差を1年以内に抑えたい。
日本のメーカーが日本国内の発売を海外に比べて2年間も遅らせると、さすがに言い訳が通用しなくなる。
今のクルマは、フルモデルチェンジの度に安全性を急速に向上させている。設計の古いクルマを売り続けることは、安全重視の商品開発にも逆行する。
もっと日本のユーザーを大切に考えて商品を開発すれば、売れ行きも自然に伸びる。
スポーツカーのような操縦性のモデルも スバル・インプレッサ・スポーツワゴン
私は「スバル・インプレッサ・スポーツワゴン」が好きだ。ハッチバックとステーションワゴンの中間。いまはクロスオーバーと呼ばれることもある、スタイルと機能をともに追求してバランスさせたグッドコンセプトだからだ。
(TOP写真:93年12月に発表された「WRX」)
5代目になる現行インプレッサも好きだけれど、過去のモデルで私がもっともいいと思うのは、1992年の初代。セダンとともに発売された。
スポーツワゴンの見た目の印象は躍動的。普通のステーションワゴンほど荷室を大きく見せないスタイリングのせいで、軽快な感じが出ていた。荷物を積むためのルーフレールが似合ったし、いっぽう、大きなスポイラーも似合った。
インプレッサの位置づけは「レオーネ」の後継。ただし成り立ちは、初代「レガシィ」(89年)をなぞったともいえるものだ。
水平対向エンジンと全輪駆動のドライブトレイン。エンジンバリエーションは豊富で、1.5リッター、1.6リッター、それにレガシィゆずりの1.8リッター。
インプレッサがユニークだったのは、ファミリーユースと、スポーティーな全輪駆動のWRXと、2本立ての展開だったことだ。ドライブトレインや足まわりは、モデルによって異なる仕様が用意されるほどだった。セダンに準じて、スポーツワゴンにも、デビューの翌年にあたる93年に、パワフルな2リッターエンジンのWRXが設定された。
世界ラリー選手権への挑戦では、93年にレガシィがニュージーランドラリーで優勝したのち、94年シーズンからはインプレッサにバトンタッチ。95年は5勝して、マニュファクチャラーズ選手権とドライバーズ選手権ともに獲得した。さらに、97年までマニュファクチャラーズ選手権を連続獲得したのだ。
「WRX」と「WRX STi」は、実際、4ドアのスポーツカーともいえる操縦性を持ったモデルだった。初めて乗ったときは、スバルここまでやるか、と驚いた記憶が鮮明に残っている。
ただ、不思議だったのは、メーカーがインプレッサ・スポーツワゴンをどういう位置づけにしたいか、いま一つ不明だったことだ。スポーツ路線は迷いがなかったものの、四駆的なイメージを打ち出した「グラベルEX(エックス)」(95年)や、妙にレトロな雰囲気の「カサブランカ」(98年)といった派生モデルが作られたからだ。
2000年にモデルチェンジを受けるまでに、上記のようにスタイリングを遊んだモデルが出たし、スポーティーな仕様もバリエーション豊富だった。エンジン出力はどんどん上がっていったし(最終的には280馬力)、ワイドボディーの限定モデルも発売された、という具合である。
富士重工業は、インプレッサで楽しんでいるな、と感じられた。だからこそ、趣味の道具としてのクルマは面白いのだ。
(写真=SUBARU提供)
【スペックス】
車名 スバル・インプレッサ・スポーツワゴン2.0WRX(93年)
全長×全幅×全高 4340×1690×1440mm
1994cc 4気筒 全輪駆動
最高出力 220ps@6000rpm
最大トルク 28.5kgm@3500rpm
車名 スバル・インプレッサ・スポーツワゴン2.0WRX(93年)
全長×全幅×全高 4340×1690×1440mm
1994cc 4気筒 全輪駆動
最高出力 220ps@6000rpm
最大トルク 28.5kgm@3500rpm
スバル、水平対向エンジン存続に意地 希薄燃焼を実現
SUBARU(スバル)が10月15日に発表する次期「レヴォーグ」の新型水平対向(ボクサー)ガソリンエンジンで、リーンバーン(希薄燃焼)を実現した。2019年に投入したマツダに続く、「小兵」の面目躍如だ。筆頭株主のトヨタ自動車がエンジンの簡素化に注力する中、スバルは難しい燃焼技術を手中に収めて異なる道を模索した。一方、電動化戦略における新型機の位置付けが不明瞭で、迷いも感じる。
いすゞからOEM供給も知名度ゼロ!? スバル版ビッグホーンの不遇
毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はスバル ビッグホーン(1988-1993)をご紹介します。
■SUVの草分けビッグホーンをいすゞからOEM供給
何を思ったのか、いすゞの名作クロカン四駆のOEM供給版として突如発売。
しかしエンブレム以外は車名すらオリジナルであるいすゞ版と同一とし、当然売れず、結果としてほぼ知られることなく市場から消えていったスバルのクロカン四駆。
それが、スバル ビッグホーンです。
スバル ビッグホーンのオリジナル版である「いすゞのビッグホーン」は、1981年にその初代が登場したラダーフレーム/副変速機付きのクロカン四駆。
デビュー当初は「プアマンズ・レンジローバー」などと揶揄されましたが、1984年に5ナンバー乗用車登録のワゴンを追加。
そして1987年にヘッドライトを角型とし、同時にスポーティ仕様である「イルムシャー」を追加したあたりから人気に火がつきました。
そしていすゞのビッグホーンは1991年に2代目へと進化し、手頃ながら本格的な4WDモデルとしていすゞが乗用車事業から撤退するまで生産が続けられました。
そしてそんななか、まるで取ってつけたように(?)OEM供給版としてスバルが売り始めたのが、今回ご紹介する「スバル ビッグホーン」です。
スバル版ビッグホーンの初代が発売されたのは1988年11月。1988年といえば世の中は90年代に沸き起こる「RVブーム」の前夜。
初代三菱パジェロやトヨタ ハイラックス サーフ、日産 テラノなどの、ラダーフレームを採用したクロカン四駆がよく売れていた時代でした。
しかしスバルにはそういったブームに対応できる車台がなく、自社開発するだけの時間とお金も(たぶんですが)ありませんでした。
そこで急きょ、当時はスバルと資本提携を結んでいたGMグループ内にあるいすゞから初代ビッグホーンを供給してもらい、それをスバルのクロカン四駆として売ることになったのです。
スバル版として販売されることになったのは、いすゞ版のなかでも一番人気だった「イルムシャー」で、搭載エンジンは2.8Lの直4ディーゼルターボ。
ボディはロングとショートに加えてワイドとナローも用意され、トランスミッションも5MTと4速ATがラインナップされました。
そしていすゞの本家ビッグホーンが1991年12月に2代目へとフルモデルチェンジされると、スバル版のほうも1992年に2代目に移行。
スバル版として供給されたのはフラッグシップである「ハンドリングbyロータス」のみでしたが、エンジンは3.2L V6ガソリンと3.1L直4ディーゼルターボの2種類がラインナップされました。
そもそもの本家いすゞ版2代目ビッグホーンがカッコいい車でしたので、スバル版の2代目も(当然ながら)カッコいい感じのクロカン4WDではあったのですが、1993年にいすゞとのOEM契約が解消されたことで、発売からわずか1年で2代目の「スバル」ビッグホーンは販売終了となりました。
ちなみに本家のほうの2代目は前述したとおり、2002年まで長らく販売されました。
■ほかにもっとやりようがあった!? スバル版が名前すら変えなかった理由
いすゞ版ではなくスバル版のビッグホーンがあえなく販売終了となった理由。
それは言うまでもなく、前段で申し上げた「1993年にOEM契約が解消となったから」なのですが、そもそもの本質的な理由は「スバル側にあまり売る気がなかったから」ということなのでしょう。
開発予算を抑えつつ車種ラインナップを広げるため、他社からOEM供給してもらった車を売るというのはよくある話です。
ビッグホーンにおいても、スバルだけでなくホンダが「ホライゾン」という車名でOEM供給版を販売しましたし、シボレーやオペルなどのGM版もありました。
しかし、例えばホンダのそれはフロントグリルのデザインを変えていましたし、ホライゾン専用のボディカラーも用意されていました。
そして当然、車名もビッグホーンからホライゾンへと変更しています。
ですがスバル版のビッグホーンは、ブランドのエンブレムをいすゞからスバルのものに張り替えただけで、そもそもの車名すら「ビッグホーン」のままという脱力ぶりでした。
ちなみにOEM供給車の長い歴史のなかでも「車名も変えずにとりあえず販売した」という事例は、このスバル ビッグホーンとトヨタ コペン(GRスポーツ)ぐらいではないでしょうか?
それはさておき、そのような脱力系のOEMクロカン四駆をわざわざスバルディーラーで買うユーザー層とは、果たしてどんな人だったかというと……正直よくわかりません。
想像としては、「大のスバル党、または諸事情により車は絶対にスバルディーラーで買う必要がある人」で、なおかつ「そのときたまたま『……なんとなくクロカン四駆に買い替えたいなぁ』と思っている人」でしょうか?
……そういった人も、もちろん世の中にはいらっしゃったでしょうが、かなりの少数派であることは明らかです。そして少数ですから、当然あまり数は売れませんし、商売も成り立ちません。
ということでスバル版のビッグホーンは物事の当然の帰結として、とっとと世の中から消えていくことになりました。
なぜ、当時のスバルの上層部がこのプロジェクトを行おうと思ったのか? 最終的な赤字額はどのぐらいだったのか? というのは筆者は知りませんが、まぁ赤字は大したことはなかったのかもしれません。
なにせ、エンブレムを付け替えただけの車でしたから……!
■スバル ビッグホーン 主要諸元
・全長×全幅×全高:4660mm×1745mm×1840mm
・ホイールベース:2760mm
・車重:2010kg
・エンジン:直列4気筒ICディーゼルターボ、3059cc
・最高出力:125ps/3600rpm
・最大トルク:28.0kgm/2000rpm
・燃費:――
・価格:296万3000円(1992年式 ロング ハンドリングbyロータス 5MT)
熱血“スバリスト”も大興奮! ここがすごいぞ新型「レヴォーグ」
このサイズ感はあっぱれ!
新型「レヴォーグ」の予約受注が予想以上に好調だという。まだ正式には発売されていないがオーダーは可能で、ディーラーによれば、2020年9月末日の時点で早くも7000台以上の予約が入っているもようだ。モータージャーナリストによるプロトタイプの試乗動画も大人気で、乗り味の良さや新世代アイサイトの制御への評価はすこぶる高い。期待通り、総合的な商品力の高さはズバ抜けた存在といえる。
一般的な試乗記や試乗動画はすでに大量に出回っているので、ここでは“熱血スバルファン目線”で新型レヴォーグの魅力を探ってみよう。
まずは外観。2019年秋の東京モーターショーでデザインスタディーがお披露目されてからほぼ1年だが、新鮮味が薄れることはなかった。屋外の太陽光の下で見ると、これまでの印象以上にワイド感がありながら、凝縮感を伴ったコンパクトさが好印象。筆者をはじめとする“守旧派のスバルファン”が忌み嫌う「肥大化」をほとんど感じさせない。
数値的には若干拡幅しているし(+15mm)、デザイン的にもロー&ワイド感は強まっているが、“デカく重くなった感”がないのだ。開発をまとめた五島 賢氏も「日本のユーザーのために、何としても全幅1.8mを超えたくなかった」と語るなど、初代レヴォーグと同様に4代目「レガシィ」あたりのサイズ感を守りたかったとの強い思いがあらためて伝わる。
スバル、「インプレッサ」5ドアに最上級グレード「STI Sport」追加
スバルは10月8日、「インプレッサ」を一部改良し発売した。価格は200万2000円~292万6000円。
第5世代インプレッサは、国内主力車種として最高レベルの「安心と愉しさ」を目指し「SUBARU GLOBAL PLATFORM」や、国産初となる歩行者保護エアバッグなどの新技術が採用され「総合安全性能」と「動的質感・静的質感」の大幅向上を実現したモデル。
今回の改良では、インプレッサ5ドアに、新感覚の走りの愉しさを実現する電動技術e-BOXERを搭載した「Advance」と「2.0e-L EyeSight」、インプレッサのスポーティさをより際立たせSTIのチューニングによって上質な乗り心地を実現する最上級グレード「STI Sport」が新たに追加された。
e-BOXERを搭載したグレード Advance と 2.0e-L EyeSight は、モーターアシストによる軽快な加速を実現。また、SI-DRIVEと協調するアダプティブ変速制御「e-Active Shift Control」を採用。コーナリング時によりスポーティで愉しい走りをサポートする。
Advance は、エクステリアをグレーメタリック色のフロントグリルやアルミホイール、リヤスポイラーでコーディネートし、インテリアをネイビーとライトグレーを基調とした落ち着いた色合いとすることで、上質さと先進性を感じさせる仕様。
STI Sport は、STIのチューニングによって、普段の運転でもクルマを操る愉しさを存分に感じることのできる最上級モデルで、フロントサスペンションにSTIチューニングSHOWA製メカ式減衰力可変ダンパーを採用。快適な乗り心地と俊敏でスポーティな走りを高い次元で両立している。
またSTI Sportシリーズ初となるFF車を設定。前輪だけに駆動力が加わる走行特性を活かし、より軽快な走りを実現した。エクステリアは、各部にブラックカラーのパーツを採用。さらに専用ボディカラーとして、セラミックホワイトとWRブルー・パールを設定。インテリアはレッドステッチでコーディネートすることで、スポーティさが表現されている。
スバルGTワゴンの血統
「より遠くまで、より早く、より快適に、より安全に」ーー1989年、スバルの考えるグランドツーリング性能を具現化したのは、水平対向エンジン+4WDを引っ提げたレガシィツーリングワゴンだった。2014年のレヴォーグ登場まで20年以上に渡って磨かれたその走りへのこだわりは、新型レヴォーグにも脈々と受け継がれている。
LEGACY 1st 初代レガシィ(1989~1993年)
レオーネからレガシィへ。ワゴンが実用車から憧れへ変わる
レオーネによって乗用4WDの世界を築いた富士重工(現SUBARU)は、’80年代半ばに新しい価値観を持つセダンとワゴンの開発をスタートさせた。このクルマはレガシィと名付けられ、’89年1月に鮮烈なデビューを飾った。社運をかけて送り出しただけに、パワーユニットからシャシーまで、すべてが新設計。
主役はBFの型式を持つツーリングワゴンで、ウエッジシェイプの伸びやかなフォルムにキックアップしたツーリングルーフを組み合わせ、商用車とは違うプレミアム感を明快に打ち出した。ボディサイズは継続販売されているレオーネやレガシィセダンよりひと回り大きい。
サスペンションは4輪ともストラットの4輪独立懸架を採用。時代の先端をいくエアサスペンションも選べた。そして駆動方式は全車フルタイム4WD。
パワーユニットはシリンダーヘッドからブロック、クランクシャフトに至るまで新設計の水平対向4気筒。EJ18型エンジンは排気量1822ccのSOHC4バルブ、上級のVZは1994ccのEJ20型DOHC4バルブエンジン(150PS/17.5kg-m)を積んでいた。
4WDシステムは電子制御4速AT車がMP-T、5速MT車はビスカスカップリング式センターデフ方式を採用した。
秋にはフラッグシップとしてインタークーラー付きDOHCターボの「GT」を設定する。最高出力は200PS/6000rpm、最大トルクは26.5kg-m/3600rpmで、こちらにも5速MTと電子制御4速ATが用意されていた。
高性能と優れた快適性を前面に押し出したツーリングワゴンはアウトドアブームの後押しを受け、販売台数を一気に伸ばしている。1年足らずでシリーズ全体の3分の2を占め、瞬く間にレガシィの主役に躍り出たのだ。それだけでない。ワゴンのベンチマークとしても認知された。
’91年には新開発したSOHC4バルブのEJ20型エンジンを積み、優れた走行性能に加え、割安感も打ち出したブライトンを投入する。このブライトンは柱のひとつへと成長した。’92年6月のマイナーチェンジの機をとらえ、ブライトンFFと2212ccのEJ22型水平対向4気筒SOHCエンジン(135PS/19.0kg-m)を積むブライトン220も仲間に加わる。
ワゴンを身近なものとし、ブームをけん引したのは間違いなく初代レガシィだった。
LEGACY 2nd 2代目レガシィ(1993~1998年)
バブル期の設計ながら5ナンバーを堅持。商業的にも最も成功したレガシィ
水平対向エンジンをコアテクノロジーに、安全性が高く、運転も愉しいシンメトリカルAWDを採用したレガシィは、世界中でヒットとなった。その2代目は’93年10月にベールを脱いでいる。ツーリングワゴンはBG型を名乗り、メカニズムなどは正常進化の形をとった。
デザインのチーフを務めたのは、オリビエ・ブーレー氏だ。後にベンツに移籍して敏腕をふるったが、BH型レガシィは今なお傑作のひとつに数えられている。エクステリアは5ナンバーの小型車枠にこだわりながらデザインされた。キープコンセプトだが、面質は豊かで、伸びやかだ。キャビンは広くなり、快適性も高められた。
エンジンはEJ20型水平対向4気筒を受け継いでいる。型式は変わっていない。だが、大がかりな改良を施し、ドライバビリティや燃費を向上させた。登場したのは1994ccのEJ20型だけだ。EJ18型エンジンは整理されている。
SOHCをボトムに、DOHCとDOHCターボの3機種が用意され、GTに搭載のターボは、応答レスポンスが鋭く、低回転からトルクを発生する2ステージツインターボへと進化した。タービンの軸受け部はボールベアリングだ。このEJ20型4気筒DOHCツインターボはワゴン最強の250PS/31.5kg-mを発生した。
4速ATを採用するGTの4WDシステムは、走行状況に応じて前後のトルク配分を変え、安定性や旋回性能を高める不等&可変トルク配分電子制御4WDのVTD-4WDだ。GT以外の4速AT車はアクティブスプリット式4WDを、5速MT車はビスカスLSDを採用したセンターデフ式の4WDシステムを採用している。
’94年5月、EJ18型エンジン搭載車を復活させ、10月には北米仕様と同じ2457ccのEJ25型DOHCエンジンを積む250Tシリーズを送り込んだ。そして’95年夏には最低地上高を200mmまで上げ、悪路走破性を高めた「グランドワゴン」も投入した。このクロスオーバーSUVは’97年8月に「ランカスター」と改名する。
’96年6月には大がかりなマイナーチェンジを実施した。エンジンは進化版のBOXER・MASTER-4だ。GT-Bはビルシュタイン製の倒立ダンパーを装備し、タイヤも17インチの45タイヤを履いている。5速MT車は280PSとなり、ライバルとの差をさらに広げた。
LEGACY 3rd 3代目レガシィ(1998~2003年)
時代を反映して、環境性能と安全性能を大幅に強化した
シンメトリカルAWDによって全方位の安全性と走る喜びを追求してきたレガシィツーリングワゴンは、1998年6月にモデルチェンジを行った。セダンは「B4」と名前を変えて半年後に新型に生まれ変わることになる。3代目のBH型ツーリングワゴンの開発コンセプトは『レガシィを極める』だ。グランドツーリングカーとしての完成度を飛躍的に高めるために、変革と創造を加えた。
エクステリアはキープコンセプトだ。小型車枠を守るとともにウエッジシェイプを基調としたデザインを継承している。インテリアも質感を高めたが、注目されるのは高級機として知られるマッキントッシュ製オーディオが用意されたことだ。
サスペンションは、ハンドリングとスペース性を高い次元で両立させるためにリヤにマルチリンクを採用した。また、横滑りを抑え込む車両挙動安定制御のVDCも選べるようになるなど、安全性能も高まっている。
自慢の水平対向エンジンは、改良を加えた進化版の「ボクサー・フェイズII」だ。TXとブライトンが積むのは、希薄燃焼のリーンバーン方式を採用したEJ20型SOHCエンジンである。2代目のときに登場したが、3代目では希薄燃焼の領域を広げ、排ガス対策にNOx吸蔵型触媒を採用した。10・15モード燃費は13.6km/Lだ。
自然吸気のDOHCエンジンは吸気系に可変バルブタイミング機構のAVCSを採用し、これに可変吸気システムを組み合わせてドライバビリティを向上させた。155PSの最高出力は変わらないが、最大トルクは20.0kg-mに増えている。
GT系のEJ20型DOHCターボは斜流タービンを採用した2ステージツインターボだ。4速AT車は260PS/32.5kg-m、5速MT車は280PS/35.0kg-mを発生する。2457ccのEJ25型DOHCエンジンは167PS/24.0kg-mにディチューンしたことにより扱いやすさを増した。
’99年8月、ランカスターに小型CCDカメラを搭載したADA(アイサイトのルーツ)を設定。2000年5月には排気量2999ccのEZ30型水平対向6気筒DOHCエンジンを積むランカスター6を追加設定するなど、精力的にラインナップ拡充に努めた。
’01年5月にマイナーチェンジを実施したが、このときに「六連星」エンブレムを復活させている。’02年秋にはEZ30型エンジンを積むGT30も誕生。翌年、4代目にバトンを託した。
LEGACY 4th 4代目レガシィ(2003~2009年)
世界市場を見据え5ナンバーサイズから脱却。より上質へ舵を切る
世界基準のグランドツーリングワゴンを目指し開発されたのが、4代目のBP型レガシィツーリングワゴンだ。2003年5月、シリーズの先陣を切って登場したが、世界を意識したことは全幅を1730mmに広げたことからも分かる。ワイドボディに加え、軽量化を図ったことによって運動性能は飛躍的に高められた。
エンジンの主役は1994ccのEJ20型水平対向4気筒DOHCエンジンだ。熟成の域に達していると思われたが、振動を抑える鉄鋳込みジャーナルブロックや等長等爆エキゾーストシステム、電子制御スロットル、ツインスクロールターボなど、新技術を積極的に盛り込んでいる。ATにはニュートラルコントロールシステムが組み込まれ、上級モデルにはスポーツシフト付き5速ATも登場した。
2.0Rは可変バルブタイミング機構などで武装した自然吸気DOHCエンジンを積んでいる。5速MT車は190PS/20.0kg-mのハイスペックだ。足元もKYB製の正立式ダンパーに加え、2.0GTと同じ高性能タイヤを履いている。
2.0GT系も大幅な改良を行い、実力を高めた。デュアルAVCSや超低排圧ツインマフラーなどを採用し、過給機はツインスクロール式シングルターボだ。世界初採用のチタン製タービンと相まって鋭いレスポンスを手に入れている。
5速AT車は260PS/35.0kg-m、5速MT車は280PSのスペックだが、扱いやすい。2.0GT系はビルシュタイン製ダンパーを採用し、フラッグシップの2.0GTスペックBは18インチタイヤだ。
9月には2999ccのEZ30型水平対向6気筒エンジンを積む3.0Rを、10月にはランカスターの後継となるアウトバックを加え、ラインナップを盤石なものにしている。また、この直後に国内販売累計100万台の偉業も達成した。
初めてのマイナーチェンジは’04年5月だ。さらに’05年5月と’06年5月にもマイナーチェンジを実施したが、このときに画期的なドライバーアシストシステムの「SI-ドライブ」を搭載している。
’06年12月にはSI-ドライブにレーダー式のクルーズコントロール機能を加えたSIクルーズリミテッドを送り込んだ。’08年5月に登場した最終型では運転支援システムのアイサイトやEJ25型DOHCターボも選べるようになった。
LEGACY 5th 5代目レガシィ(2009年~)
大きくゴージャスに変わっていくレガシィ。主力エンジンも2.5Lへ
第5世代のレガシィツーリングワゴンとアウトバックは’09年5月に登場した。型式は「BR」だ。北米市場を意識してボディはひと回り大きくなり、伝統のサッシュレスドアを廃してサッシュ付きドアとした。
パワーユニットは親しんできたEJ20型を整理して2457ccのEJ25型水平対向4気筒エンジンを主役に据えている。SOHCの自然吸気エンジンに組み合わせるのは、新開発の無段変速機(CVT)、リニアトロニックだ。便利なパドルシフトやSI-ドライブ、電動パーキングブレーキも標準で装備した。
イメージリーダーはDOHCターボの2.5GTだ。こちらにはスポーツシフト付き電子制御5速ATとケーブル式リンケージを採用した6速MTを設定した。また、アウトバックには3629ccの水平対向6気筒エンジンを積む「3.6R」を設定している。アウトバックは全高が1605mmになり、立体駐車場が使いづらくなった。
5代目のリヤサスペンションは新設計のダブルウイッシュボーンだ。横滑り防止装置のVDCも全車に標準となっている。また、パワーステアリングが油圧式から電動式に替えられたのもトピックのひとつだ。
’10年5月に初めてのマイナーチェンジを断行し、このときバージョン2に進化したアイサイトを搭載した。渋滞走行時などの追従性を高め、先行車が停止したときは自車も停止するなど、機能を大幅に増やしている。進化版のアイサイトは大好評となり、ほとんどのユーザーがアイサイト搭載車を選んだ。
’11年6月には2度目のマイナーチェンジを行った。大がかりなマイナーチェンジを行うのは’12年5月だ。フェイスリフトを実施して見栄えを良くするとともに、自然吸気エンジンを新世代のFB25型水平対向4気筒DOHCに換裝して環境性能を向上させている。排気量は2498ccで、173PS/24.0kg-mを発生。アイドリングストップも初めて採用された。また、アイサイトも進化している。
GT系にも新エンジンが加えられた。BRZに搭載されているFA20型DOHCで、これにターボ(DIT)を組み合わせている。300PS/40.8kg-mを発生し、トランスミッションは8段ステップ変速を持つリニアトロニックだ。
四半世紀にわたってワゴンブームを引っぱり続け、リーダーの座に君臨したのがレガシィツーリングワゴンである。
5代目BR型は2.5LのEJ25型がメインユニットになる。GT系のターボはプレミアムガソリン仕様で最高出力285PSを絞り出す。
スバル BRZ 新型、もうまもなく発表 10月4日のチャリティイベントで先行披露
スバル・オブ・アメリカが次期『BRZ』の発表を予告している。オールニューの2022年型BRZはこの秋に発表されるという。現地10月4日のファン向けイベントで先行発表予定だ。
カリフォルニアで開催予定のSTIファンイベント「スビーフェスト『World Record Attempt and Charity Drive』」でスニークピーク=“限定先行ちょい見せ”されるそうだ。
北米スバルの9月は過去最高の9月! 2021年モデルが絶好調なアウトバックのセールスは前年比1.5倍!!
9月の販売台数は2021年12月以来の6万台超えを達成
北米スバル(Subaru of America)が発表した2020年9月の販売台数は、6万0103台。2019年の同月と比べると16.4%増で、営業日数が多かったという要因はあるものの、久しぶりに前年実績を上回る月となった。北米スバルの販売台数が6万台を超えるのは、実に2019年12月以来である。
1月:4万6285台(+0.5%)
2月:5万1695台(+5.3%)
3月:3万2611台(−47.1%)
4月:3万0620台(−46.6%)
5月:5万1988台(−18.7%)
6月:5万3911台(−12.4%)
7月:5万1458台(−19.7%)
8月:5万7885台(−17.4%)
9月:6万0103台(16.4%)
※( )内は前年同月比
北米スバルを牽引しているのは、相変わらずフォレスターとアウトバックだ。どちらも9月の販売台数としては過去最高の数字をマークしている。特にアウトバックは1万7023台と前年同月比で50.9%増という好調ぶりで、フォレスターを抑えて北米スバルで一番売れている車種となった。
アウトバックは8月にステアリング連動式LEDヘッドライトを全車標準化するなどの改良が施された2021年モデルを発表したのだが、その効果が早くもセールスに表れたようだ。
また、WRX/STIは前年同月比で約47%増、BRZに至っては台数こそ多くはないものの約126%増といった具合に、スポーツモデルがよく売れたのも9月のトピックだ。
北米スバルの9月の車種別販売台数は以下の通りだ。
フォレスター:1万5648台(+16.6%)
インプレッサ:4622台(−21.1%)
WRX/STI:2040台(47.3%)
アセント:5744台(8.0%)
レガシィ:2825台(18.4%)
アウトバック:1万7023台(50.9%)
BRZ:251台(126.1%)
クロストレック(日本名XV):1万1950台(0.5%)
北米スバルのトーマス・J・ドール社長兼CEOは、次のように述べている。
「この9月は販売店の皆様のおかげで、これまでで最高の9月となり、2020年においても最高の月となりました。2020年は私たち全員にとって厳しい年ですが、9月の成功は第4四半期(10〜12月)に向けて、希望と興奮を与えてくれました」
トランプ大統領が新型コロナウイルスの感染を発表するなど、いまだに予断を許さない状況ではあるものの、北米の自動車販売の現場では、徐々に新型コロナの影響は薄まってきているようだ。
スズキ、マツダ、スバルに難題
年間販売台数が数百万台の小規模メーカーはCASE時代にどう生き残るのか。電動化や自動運転の技術開発は多額の資金と人的リソースを要し、小規模メーカーが単独ですべて対応するのは到底難しい。実際、スズキ、マツダ、SUBARUはCASE対応で後れを取ってきた。その3社が出した答えが、トヨタ自動車の「仲間」に加わることだ。
トヨタからしても、「仲間」を増やすメリットは大きい。共同開発によりコストを分担して軽減できるうえ、有償のシステムの供与先を増やすことで研究開発投資の回収を早められるからだ。また、各社が持っている独自の強みやノウハウも得られる。
スバルと群馬大学が共同研究講座を開講
同大学をイノベーションの拠点とし、 安全性能から自動運転まで、 幅広い見地から研究
群馬県太田市が創業の地であるSUBARUと、国立大学法人の群馬大学がコラボレーションし、同大学の大学院内に共同研究講座「次世代自動車技術研究講座」を設置。次世代のクルマのあり方を研究するとともに、イノベーション拠点としても活用していくことに合意した。すでに2005年に両者は包括協定を結び、共同研究などの連携を行ってきたが、さらに共同研究体制を強め、教育プログラムの開発も進めるために共同研究講座の設置に至ったという。
大学院理工学府内に置かれた共同講座は、2023年までの3年間を「第1期・活動基盤整備フェーズ」として安全領域、感性領域、設計プロセス改革領域への取り組みをスタートさせる。交通事故ゼロを目指す安全領域、人体の分析を含めて気持ちのいいクルマの動きを解明する感性領域、機能や品質の研究を行なう設計プロセス改革領域という区分となるが、すべてSUBARUが目指すクルマの方向性と一致する。
2030年を通過点として、さらにその先の時代に求められる自動車技術創出を目指すという壮大な計画ではあるが、その間にスタートアップ企業や地域企業との連携も図り、人材育成や社会貢献もこの共同講座には織り込まれている。
真面目で地道なイメージを持っている人が多いSUBARUだけに、大学との共同研究というイメージもピッタリくるが、大学院生だけでなく周囲も巻き込んだ共同講座がどういった成果を見せてくれるのか。アイサイトに続く独自技術の登場に期待しよう。
人間の目のように二つのカメラで事故を回避する、SUBARUアイサイトが進化
もなくアイサイトが進化しそうだ。アイサイトとは、人間の目のように、二つのカメラを備えたSUBARUの安全技術である。その新型を体験する機会があった。結論をいうと、大変よくできている。
(TOP写真:横断者は広角カメラで検知する)
簡単に操作できて、安い(スバル車の多くに標準装備)。なのでこれまでに、スバル車ユーザーを中心に認知がだいぶ広まってきた感がある。実車で未体験の人でも、テレビドラマ「半沢直樹」でコマーシャルがよく流れていたので、既におなじみかもしれない。
カメラを使った安全装置というコンセプトは、1999年にレガシィシリーズのランカスターに採用された「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」にさかのぼる。「アイサイト」と呼ばれるようになったのは2008年だ。
「2基のCCDカメラから得た、大量の動画像データを高速処理することにより、前方の車線と複数の物体を同時に3次元認識し、ドライバーに必要な警報や、車両の制御を行うことを可能にするシステムである」
当時「ADA」搭載にあたって、SUBARU(当時は富士重工業)が発表したプレスリリースでは、上記の説明がなされている。
私は(幸い)事故回避のためにアイサイトのお世話になったことはない。ただし、テストコースで、障害物衝突回避や歩行者保護など、機能の一端を実体験したことは数回。よく働くのに感心する。220万円からの「XV」でも全車に標準装備というのが、まさに(ちょっとホメれば)SUBARUの良心だと感心させられる。
新しいアイサイトは、2020年10月に発表予定の新型「レヴォーグ」全車種に標準装備として搭載されるという。新型アイサイトの特徴は、ステレオカメラの画素数が約2倍に。センサーの画素数が、現行の「バージョン3」の1.2メガピクセルから2.30メガピクセルに増えている。「そのため、認識する対象物の範囲が拡大します」。私がこのアイサイトを搭載した新型レヴォーグ・プロトタイプに試乗したテストコースで出会った開発技術者はそう説明してくれた。
「システムで使うカメラなどのハードウェアは外注ですが、ソフトウェアのアルゴリズムは社内で。認識ユニットも独自開発です。それによって、システムの性能を限界まで引き出しています」
システムをほぼ完全に外注するメーカーもあるなかで、アイサイトで安全に大きく寄与してきたと自負するSUBARUならではのこだわりだ。
新型の特徴としてあげたいのは、右前側方レーダーと左前側方レーダーがそなわる点。カメラは、自転車、対向車、横断者を検知して衝突回避のためにブレーキをかける(プリクラッシュブレーキ)機能を有する。レーダーの働きは、カメラではとらえられない前側方から現れる車両との出合い頭の衝突回避の働きをするのだ。
これら検知機能に加えて、ブレーキやステアリング支援システムが搭載されている。前方車両への追突回避が困難とコンピューターが判断した場合、操舵(そうだ)支援(ステアリングホイールを自動操舵して、たとえば隣のレーンに移る)を行う緊急時プリクラッシュステアリングがその一つ。
さらに、車線変更時に後方からの車両があるのに、うっかり車線変更しようとした際の衝突回避を操舵支援で行うエマージェンシーレーンキープアシストも。より強力な制動力を発揮する電動ブレーキブースターも頼りになる新メカニズムだ。
実際にテストコース上で、衝突回避の疑似体験をさせてもらうと、その精度に感心する。見通しがきかない四つ角で左からいきなり車両が出てきた場合、アイサイトによって車両は制動をかけ、しっかり止まる。
交差点で前方に歩行者が現れた場合も、やはり、ドライバーより早く、システムは歩行者の存在を感知。しっかり確実に車両を制動させるのだった。
実は、新型レヴォーグにはもう一つのアイサイトが用意される。「アイサイトX(エックス)」と名付けられた運転支援システムだ(オプションの予定)。アイサイトに加えて、高速道路走行時などにドライバーの負担を軽減することを目的としている。
センサーはアイサイトと同様、前方はステレオカメラと二つのレーダー、後方は二つのレーダーとリアソナーをそなえる。これに「3D高精度地図ユニット」が組み合わされる。
例えば、カーブ。システムが作動していると、車両が自動的に減速し、仮にステアリングホイールから手を離していたとしても、きれいなラインでコーナリングするのだ。驚くほどナチュラルな感覚といってもいい。
システム作動中に、高速道路でウィンカーを出すだけで、車両が隣のレーンへと移るよう、車載コンピューターがステアリングホイールをアシストする機能も、新型レヴォーグでスバル車として初めて採用される予定だそう。
「2030年に死亡交通事故ゼロ」を謳(うた)うSUBARU。操縦安定性や、車体の衝突安全性、また、大きな交通事故の際、コールセンターに通報がいく「先進事故自動通報」など、様々な取り組みを行っていることも強調された。で、新型レヴォーグの試乗記は、またの機会に(運転が楽しいクルマなのだ)。
スバルの世界生産、2か月連続のプラス…アウトバック等が海外で増加 8月実績
SUBARU(スバル)は9月29日、2020年8月の生産・国内販売・輸出実績(速報)を発表。世界生産台数は前年同月比22.2%増の7万9907台となり、2か月連続のプラスとなった。
国内生産は『レガシィ』等が減少し、同5.5%減の4万2069台で5か月連続のマイナスとなったが、海外生産は『アウトバック』等が増加し、同81.5%増の3万7838台。8月単月の過去最高記録で3か月連続のプラスとなった。
国内販売は同36.2%減の6433台で7か月連続のマイナスだった。登録車は『インプレッサ』等が減少し、同41.8%減の4755台で7か月連続のマイナス。軽自動車も同12.3%減の1678台と11か月連続で前年実績を下回った。
輸出は『XV』等が増加し、同12.1%増の4万2239台で5か月ぶりのプラスとなった。
スバルが「XV」を大幅改良、「スタイリッシュさ」と「力強さ」を兼ね備える
SUBARU(スバル)はスポーツ多目的車(SUV)「XV=写真」を大幅改良し、10月8日に発売する。スタイリッシュさとSUVらしい力強さを兼ね備えた外装に仕上げた。消費税抜きの価格は200万円から。月販2200台を計画している。
排気量1600cc、2000ccエンジンを用意。走行性能は全グレードでサスペンションを改良し、しなやかさとスポーティーさを両立した。モーターでエンジンをアシストするハイブリッドシステム「e―BOXER(イーボクサー)」の搭載車では、ドライブアシストシステムと協調するアダプティブ変速制御「イーアクティブシフトコントロール」を新たに採用した。
外装はフロントフェースやアルミホイールに新デザインを採用。ボディーカラーは「プラズマイエロー・パール」を設定した。内装は一部グレードでカラーコーディネートやシート表皮を見直し、上質で先進的な印象を高めた。
安全性能面では、見通しの悪い交差点や駐車の発進時に運転手の視界をサポートする「フロントビューモニター」を設定した。
群馬・太田、スバルの企業城下町で増える製造業廃業
大手自動車メーカー、SUBARU(スバル)の企業城下町として知られる群馬県太田市。コロナ禍で製造業などの廃業件数が増えている。後継者難に悩んでいた中小企業が多い。今後は部品メーカーのM&A(合併・買収)など、サプライチェーン(供給網)にも変化が起きそうだ。
太田商工会議所によると、会員のうち4月から8月末までに廃業した企業や個人事業主は合計46件あった。
【スバル レヴォーグ 新型】アイサイトのイメージセンサー、オン・セミコンダクタ―が供給
オン・セミコンダクターは9月24日、スバルの新型先進運転支援システム「アイサイト」のカメラに、オン・セミコンダクターのイメージセンシング技術が採用されたと発表した。
新型アイサイトは四輪駆動スポーツツアラーである『レヴォーグ』の2020年モデルに初めて搭載される。
新型アイサイトは、ステレオカメラ・アーキテクチャを継承し、アダプティブ クルーズコントロール、レーンキープアシスト、プリクラッシュブレーキなど、さまざまな先進運転支援機能を実現する。前バージョンのアイサイトと同様、オン・セミコンダクターのイメージセンシング技術が、これら安全機能を有効にする「眼」の機能に貢献するとしている。新世代「アイサイト」は、アクティブレーンチェンジアシストやドライバー異常時対応システムなどの機能を追加する。
スバルでは、オン・セミコンダクターのイメージセンシング技術が高解像度で自動車の画像認識性能を最適化できるとしている。
SUBARUの岡田CFO「4~9月期で営業黒字に」
米国市場が全体の新車販売の7割を占めるSUBARU(スバル)。コロナ禍による新車販売減速を受け、2021年3月期(国際会計基準)の連結営業利益は、前期比62%減の800億円となる見通しだ。資金繰りや中期的な経営環境について岡田稔明最高財務責任者(CFO)に聞いた。
SUBARUが高い 割安感、「脱ガソリン車」巡りトヨタの協力期待する声も
スバルのアイサイトXの頭脳「FPGA」とは
このコラムの名称である「うんテク」は、「うんちく」と「テクノロジー」をかけ合わせて筆者が勝手に作った造語で、「テクノロジーに関するうんちく」くらいの意味合いのつもりなのだが、このところあまり、その名称にふさわしい内容をお届けしていないような気がする。そこで今回は久しぶりにゴリゴリのテクノロジーのうんちくをお届けする。テーマは「FPGA」だ。日経ビジネス電子版の読者なら、今後知っておいて損のない言葉だと思う。
FPGAは後で説明するように半導体の一種なのだが、なぜ取り上げることにしたかというと、11月末に発売されるスバルの新型「レヴォーグ」から搭載が始まるスバルの新世代「アイサイト」にFPGAが採用されたからだ。読者の皆さんは新型レヴォーグにも興味津々だろうけれど、こちらは公道試乗が可能になってから改めて取り上げさせていただくとして、今回は新世代アイサイトに話題を絞りたい。
アイサイトのユニークなところ
読者の皆さんもご存じのように、スバルのアイサイトの最大の特徴は、ステレオカメラだけで自動ブレーキや先行車追従、車線維持支援といった、いわゆるADAS(先進ドライバー支援システム)の機能を実現していることだ。他社のシステムは、同様の機能を単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせで実現している場合が多い。ADASの機能を実現するには、物体の形状を認識、物体との距離を認識、およびその物体が何なのかを認識、という3種類の認識をしなければならない。単眼カメラからの画像では、物体の形状や、その物体が何なのかということは分かるが、物体との距離は分からない。そこでミリ波レーダーを併用するわけだ。
これに対してステレオカメラでは、人間の目と同様に、左右のカメラの視差を利用して物体との距離を測定する。視差とは左右のカメラで写した画像のズレのことで、これが大きいほどその物体が近いと判断できる。この方式の弱点は、遠くの物体ほど視差が小さくなるため、距離測定の誤差が大きくなることだ。左右のカメラの距離が大きいほど、またカメラの画素数が多いほど精度は高まるが、そうするとステレオカメラが大きくなり、高コストにもなってしまう。性能、寸法、コストをどうバランスさせるかがエンジニアの腕の見せどころになる。
新型レヴォーグに搭載された新世代アイサイトの話題の一つは、アイサイト史上初めて二つのタイプが用意されることだ。従来のアイサイトが第3世代の「アイサイト Ver.3」と呼ばれていたことから、今回はアイサイト Ver.4になるのではないかという観測もあったが、フタを開けてみると現在のところスバルは「新世代アイサイト」としか呼んでいない。そして新世代アイサイトには通常タイプと、上級タイプの「アイサイトX」が用意されるのが従来との大きな違いだ。まず通常の新世代アイサイトだが、以前からの最大の進化点はステレオカメラで見ている範囲を広げたことだ。具体的には、視野角、すなわち見えている水平方向の角度を従来の約2倍にした。ただし、見えている範囲を広げているのに画像センサーの画素数がそのままだと画像が粗くなってしまうので、センサーの画素数も従来の120万画素から230万画素へ約2倍に増やしている。さらに、従来のアイサイトがステレオカメラで前方だけを監視していたのに対し、新世代アイサイトでは、ステレオカメラに加えて、前後2つずつの合計4つのミリ波レーダーを組み合わせることで車両の周囲360度を監視できるようにした。これに、従来の油圧よりも応答の速い電動ブレーキブースターを組み合わせることで、従来以上に幅広い状況で運転を支援する。
視野を広げることによって、右折時に直進してくる車両との衝突回避や、交差点で横から接近してくる車両との出合い頭衝突の回避を支援することが可能になった。また、ブレーキ制御だけでは衝突回避が難しい場合には、ステアリング操作も併せて行う回避支援機能も盛り込んだ。これは、車両の周囲をミリ波レーダーで監視して、回避動作を実施しても周囲の車両と衝突しないことを確認するからできる動作だ。同様に、隣の車線で後方車両が接近してきたときに自車両が車線からはみ出しそうになると、ステアリング操作を支援して逸脱を抑制する機能も搭載している。前方だけを監視していた従来のシステムに比べて、対応できる状況がグンと増えたわけだ。
さらに、制御ソフトウエア自体も改良し、先行車両に追従走行しているときの加減速や、車線を逸脱しそうになったときのステアリング操作支援、さらにはカーブでのステアリング操作支援も、より滑らかで人の運転感覚に近くなるように改良したという。こうした操作の滑らかさは、安全だけでなく安心にもつながる。
3D高精度地図を備えるアイサイトX
上級版アイサイトといえるアイサイトXは、新世代アイサイトの機能に加えて、車線単位の道路情報を持つ「3D高精度地図」や準天頂衛星「みちびき」を活用した高精度GPS(全地球測位システム)の位置情報を組み合わせることで、運転支援機能を大幅に拡張したものだ。地図情報を持っているので、カーブや料金所へ入る前に自動的に減速するほか、方向指示器を操作すると車線変更時のステアリング操作を支援する機能も備える。
さらに大きな特徴として、渋滞時に一定の条件を満たすと、ステアリングから手を放すことができる「ハンズオフアシスト機能」を搭載したことがある。停車と発進を繰り返す渋滞でも、ドライバーが前を向いているなど一定の条件がそろえば、従来のアイサイトでは再発進時に必要だったスイッチ操作なしに発進する。このためにアイサイトXでは、ドライバーが前を向いているか、目を閉じていないかなどを監視するドライバーモニターも搭載する。
3D高精度地図を備えることや、“手放し運転”が可能なことなどを見ると、読者の中にはこのコラムの「新型スカイラインにみるプロパイロット2.0の本当の価値」でも取り上げた日産自動車の運転支援システム「プロパイロット2.0」と何が違うの? と思われる方もいるかもしれない。アイサイトXとプロパイロット2.0の最大の違いは、プロパイロット2.0が高速道路では法定速度内で一定の条件がそろえば「手放し運転」が可能なのに対して、アイサイトXは手放し運転できるのが渋滞時(時速50km以下)に限られることだ。それ以外は、両者の機能は、カーブや料金所での減速、車線変更時のステアリング操作支援などかなり近い。ではアイサイトXはなぜ、プロパイロット2.0より“後出し”のシステムであるにもかかわらず、自動化のレベルは低いのか。それは第1世代のアイサイトからスバルが追求してきた「お求めやすい価格」に抑えるためだ。スカイラインのコラムでも触れたのだが、プロパイロット2.0は手放し運転で求められる信頼性を実現するため、システム全体を二重系、ステア・バイ・ワイヤのステアリング系に至っては三重系にしている。このため約60万円の価格アップにつながっている。
これに対して、アイサイトXのような渋滞時のみの手放し運転なら、システムに要求される信頼性のレベルが緩和されるので、すべてを二重系にしなくても済む。また搭載する地図データも必要最小限に圧縮し、容量を減らした。アイサイトXのオプション価格は35万円(税別)だが、この価格には11.6型という大型の縦型ディスプレーを備えたナビゲーションシステムや、12.3型のフル液晶メーター、コネクテッドサービス「SUBARU STAR LINK」(車載通信機搭載、サービス料は5年間無料)などが含まれている。これだけ大型のディスプレーを備えたナビだったら25万円くらいするだろうし、液晶メーターも5万円はくだらないだろうから、“アイサイトX代”は正味5万円以下だろう。そう考えるとアイサイトXは「お求めやすい価格」どころかかなり「お買い得」なシステムになっていると思う。恐らく新型レヴォーグを購入するユーザーのほとんどは、このアイサイトXをオプション設定するのではないだろうか。
アイサイトXに使われたFPGAとは
ここでやっと話題は冒頭の「FPGA」に戻るのだが、FPGAは「Field Programmable Gate Array」の略だ。これだけだと何のことやら分からないと思うのだが、一般にパソコンなどに使われているCPU(Central Processing Unit)と、どう異なるのだろうか。
CPUは、プログラムの命令に沿って、内蔵されている乗算器(掛け算をする電子回路)や加算器(足し算をする電子回路)で演算処理を進めていく。アイサイトのようなカメラ画像を利用するシステムでは、カメラからの映像を画像処理することで物体が何であるかを判断したり、物体との距離を測定したりするわけだ。多くの画素について演算処理する画像処理では、命令を一つひとつ処理していくCPUでは処理に時間がかかる。
これに対してFPGAは、ある演算が終わったら次の演算へ、という一連の流れを、プログラムの命令列ではなく、配線により演算器同士を直接結合することで実行する。しかも、演算器で処理する演算の内容や、配線の結合の仕方をユーザーが自由にプログラムすることができる。CPUでは、一つの演算処理が終わるたびに、次にどんな処理をするか、プログラムが収納されているメモリーにいちいちアクセスする必要がある。これに対しFPGAでは次の処理をする演算器に配線で直接結合されているため、メモリーにアクセスする必要がない。また、配線の結合の仕方によって、複数の画素の画像処理を並行して処理することも可能だ。従ってCPUよりも少ない消費電力で、高速の演算を処理することができる。FPGAは平たくいうと“プログラムできるハードウエア”ということができるだろう。
新型アイサイトではカメラの画素数が従来の2倍になり、処理そのものも高度化するなど、画像処理半導体への要求はますます厳しくなっている、このため、ASICの開発費も膨れ上がる。高騰する開発費用を回収するためには、多くのASICを販売しなければならないが、アイサイト専用の半導体はスバル車にしか搭載できないため、搭載車両を大幅に増やすことは望めない。
これに対し、FPGAは、液晶テレビの画像処理や通信装置、自動車の開発に使われる業務用のシミュレーション装置など、様々な分野で使われている汎用的な半導体である。プログラム次第で様々な用途に使うことができるからだ。もちろん、同じ機能を実現しようとすれば、専用の半導体のほうが回路の無駄がないので回路規模は小さくでき、消費電力も抑えられるはずだ。しかしFPGAは汎用の半導体であるため大量生産でき、ASICではコスト的に採用が難しい配線の微細化技術が使える。このため、専用半導体より回路規模が大きくなっても、チップサイズや消費電力ではASICと同等か、むしろ抑えられるようになってきている。
さらにASICでは試作半導体ができるまで実物を使ってテストできないが、FPGAは汎用的な半導体なので、開発段階から最終製品と同じチップを使ってテストできる。試作の時間が不要な分、開発期間の短縮にもつながる。従来の「ソフトウエアのプログラミング」に慣れた技術者に、FPGAのような「ハードウエアのプログラミング」は敷居が高いと従来はいわれてきたが、最近ではソフトウエアのプログラムをハードウエアのプログラムに書き換える様々なツールも登場しており、ソフトウエアエンジニアに取っつきやすくなっていることも採用の背景にはある。
新型レヴォーグは高いボディー剛性や機敏なハンドリング、大幅に向上した乗り心地、そして新開発の1.8L・水平対向直噴ターボエンジンなどの技術が注目されている。しかし、画像処理という外からは見えない部分でも、実はデバイスや開発手法が従来とは大きく変わっていることを知れば、新しいアイサイトを体験してみたくなった読者も多いのではないだろうか。
当初、ステレオカメラの画像処理にルネサスエレクトロニクスの専用半導体(ASIC)を使用と記載していましたが、同社半導体が使用されていたのは画像処理以外の用途でした。お詫びして訂正します。本文は修正済です。[2020/09/24 13:00]
SUBARUインプレッサが一部改良、「スポーツモデル」の追加に注目すべきワケ
新型レヴォーグの手放し運転可能な「アイサイトX」! イチオシ装備なのに「非搭載」グレードを用意するワケ
アイサイトは全車装備も「X」がつくグレードは限られる
走りの良さや新しいアイサイトの性能の高さなどで話題となっているSUBARUの新型レヴォーグ。SUBARUは2010年にアイサイトVer.2を搭載した5代目レガシィで衝突被害軽減ブレーキをはじめとする運転支援システムをブレイクさせ、「ぶつからないクルマ」のCMコピーも奏功し、運転支援システムの普及に大きく貢献した。2016年に初めて生産台数が100万台を超えたなど、最近のSUBARU車の販売台数増はアイサイトによるところが大きい。
そんなアイサイトも、2017年の夏にツーリングアシストを導入して以来、これといって大きな進歩がなかったので、競合各社の運転支援システムの精度がどんどん向上するなか、既存のアイサイトVer.3のアドバンテージはかなり少なくなってしまい、存在感も埋没してしまった感があったが、新型レヴォーグ搭載のアイサイトで再びに大躍進。運転支援システムを90年代から商品化してきたパイオニアだけあって、新しいアイサイトXは玄人筋からの評価がすこぶる高い。
10月に正式デビューする新型レヴォーグのグレード構成はシンプルな3種類で、アイサイト自体は全車に装備されるのだが、購入時に注意すべきはフルスペックの「アイサイトX」となるのは35万円アップで設定される「EX」になるということ。「EX」がつかない素のグレードに搭載されるのは、実質自動運転の渋滞時ハンズオフアシストや、自動でレーンチェンジを実施するアクティブレーンチェンジアシストなどの高度運転支援システムが備わらないタイプのアイサイトとなる。
もちろん基本性能は最新バージョンで、プリクラッシュやツーリングアシストなどのコアテクノロジーは備わっており、これらの性能や制御も再び最先端レベルに躍り出ている。しかし、せっかく新型レヴォーグを買うのなら、自動運転感覚が楽しめるフルスペックのアイサイトXが是非とも欲しいところ。実際、受注予約の段階で売れているのは大半が「EX」グレードだという。
ハンズオフ機能は必要ないと判断するユーザーの存在も考慮
車両価格が上がっても良いから、フルスペックのアイサイトXを全車に装備すべきではないだろうか?
そこで、SUBARUの先進安全設計部主査の関 淳也さんに尋ねたところ、次のように答えてくれた。
「アイサイトXは”あくまでドライバー支援のためのシステム”であり、いわゆる自動運転のためのシステムではありません。SUBARUとしては、基本的にお客様にはご自分で運転を愉しんでいただきたいと考えていますので、渋滞時ハンズオフなどの高度運転支援システムは、安全性プラスアルファの装備という位置付けとしました。SUBARUのお客様は運転好きの方が多いので、ハンズオフ機能などは必要ないと判断される場合もあると考えています」。
「ただ、渋滞ではクルマの走りを楽しむことはできませんし、そういう煩わしいところは機械任せで疲労を軽減していただきたいという思いもありますので、基本的にはアイサイトX搭載の『EX』を強くオススメします。運転に不慣れな方や、なるべく機械のアシストを受けたいという方にはもちろん、必要ないと判断なさる方にとっても決して邪魔になることはありませんので、ご安心ください」。
確かに、新型レヴォーグの美点である気持ちの良いエンジンフィールやハンドリング、質の高い直進性などは自分の運転でしっかり味わいたいという人が多いはず。実際、もし自分が新型レヴォーグを買ったとすれば、自動レーンチェンジなどは過剰な性能としてあまり使わない気がするので、「EX」分の35万円で他のオプションを選ぶかも知れない。有り無しを選択できる余地があるのはありがたい設定だと思える。
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