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「完」不動産投資へのこだわり!11   不動産業者に聞く「儲かるならば、なぜ自分で購入しないの?」

不動産業者に聞く「儲かるならば、なぜ自分で購入しないの?」

今からの「不動産投資」は慎重にしたほうがいい

不動産市場に冬の時代が来るという私の言説を、歓迎しない人もたくさんいるでしょう。なにしろ、現在は不動産投資が一種のブームになっていて、書店に行けば「不動産投資」の本がたくさん平積みされていますし、不動産業界も「地価上昇」のニュースに踊らされているからです。

 

しかし、考えてもみてください。もしも不動産投資がそれほどまでに儲かるものであるならば、なぜ不動産のプロフェッショナルである不動産屋は、自ら不動産を購入してアパート経営を始めないのでしょうか?

 

投資するより、させるほうが儲かるのだ…! (画像はイメージです/PIXTA)
投資するより、させるほうが儲かるのだ…!
(画像はイメージです/PIXTA)

 

答えは明白だと思います。不動産投資(アパート経営)は、手間がかかって、リスクが大きく、堅実なビジネスではないからです。それよりも、お客様に対して「不動産投資」を勧めて、仲介手数料で収益を上げるほうが、よほど確実に儲けることができるからです。

 

不動産屋のなかには「お金がないから」という理由を述べる人もいるかもしれません。しかし、サラリーマン大家さんと、まがりなりにも会社組織である不動産屋を比較して、どちらがよりお金を借りやすいでしょうか。銀行がお金を貸したいと思うのはどちらでしょうか。

 

これも答えは明白です。住宅ローンを除けば、会社のほうが個人よりも断然お金を借りやすいですし、素人のサラリーマン大家さんよりも、プロフェッショナルな不動産屋のほうが、よほど「不動産投資」に成功する確率が高いはずです。にもかかわらず、不動産屋の多くは、自ら「不動産」に「投資」してアパート経営には乗り出しません。理由はやはりリスクが大きいからです。

 

2007年に、ミニバブルと呼ばれた不動産価格の上昇がありました。もしかすると読者のなかには、「不動産投資」のチャンス到来かと飛び付いた人がいたかもしれませんが、ご承知のように2008年のリーマンショックであっというまにバブルははじけてしまいました。

 

一般の方は、不動産屋は全て「不動産投資」をしていると思っている人がいるかもしれませんが、真逆です。ほとんどの不動産屋は、自らお金を出して不動産の購入なんかしません。街の不動産屋の仕事の大半は、仲介業と呼ばれる、一種の情報ビジネスです。不動産を買いたい、あるいは借りたいお客様と、売りたい、あるいは貸したいお客様とをつなげて、仲介手数料をいただくのが不動産屋の主なビジネスです。

 

ただし、仲介業だけではなかなか会社を大きくするのが難しいので、業態を広げてさまざまな領域に手を出している不動産屋が多いことでしょう。たとえば、仲介ビジネスでも、賃貸を得意とする不動産屋と、売買を得意とする不動産屋とに分かれるのですが、賃貸仲介の会社はお客様の物件の管理を手掛けていることも多いです。

 

一方、売買を行う不動産屋は、プロフェッショナルな目利きで、掘り出し物を購入して、リフォームなどを施してから売却することで利益を上げることもあります。なかには、土地を購入して、マンションや分譲住宅を建設し、自ら販売するようなビジネスを手掛ける不動産屋もありますが、こうなると不動産屋というよりはデベロッパー(開発業者)の領域に入ってくるでしょう。

 

いずれにせよ、いわゆる不動産投資(アパート経営)をメインに手掛ける不動産屋は、あまり見たことがありません。なぜならば、賃貸住宅の経営は、空室リスクがあるうえに、投資額を回収するのに長期的な時間がかかるからです。

 

もっとも、大家さんからアパートを丸ごと一棟借り上げるかたちで、自ら入居者を集めるサブリースを行っている業者は少なくないようです。これも、不動産屋というよりは、そのアパートを建設するデベロッパーが、大家さんへのサービスとして行っていることが多いようです。

不動産投資を行う素人大家さんへの逆風が強くなる

では、いわゆる不動産投資(アパート経営)を行っているのは、いったいどのような人たちなのでしょうか。私が見るところ、不動産投資のメインプレーヤーは、土地を多く持っていて、遊ばせていてはもったいないからと考えた昔ながらの地主さんです。すでに土地を持っているので土地購入の必要がないですし、節税という目的もはたすことができて一石二鳥です。

 

しかし、地主さんの場合は、すでにある土地に新築でアパートを建設しなければならないので、結構、初期投資金額がかさみます。そのため、思ったように入居者が集まらないと、アパートの建設資金の返済に苦労することになります。

 

一方、不動産投資をビジネスと考えて、新たに参入してくる個人投資家もいます。この方たちはよく勉強していて、できるだけ安い物件を買って利回りが高くなるように計算しているので、成功する方も少なくありません。

 

いずれにせよ、不動産投資の世界には、成功する勝ち組と、入居者が集まらずに苦労している負け組がいることは事実です。いったい何が、勝ち組と負け組を分けているのでしょうか。

 

私見ですが、不動産投資に成功する方というのは、アパート経営をきちんとビジネスととらえていて、自ら勉強して知識を身につけることをいとわない、プロフェッショナル意識の高い人です。

 

それに対して、ただアパートを持っていれば、それで不労所得を得ることができるだろうと甘い考えを持つ大家さんは、最初こそ威勢がいいのですが、数年間も経つと、入居者の減少にストレスをためて、だんだんとつぶれていきます。

 

ましてや今は、ある種の「不動産投資」ブームで、市場にはセミプロの大家さんがたくさんいます。努力する気があまりなく、株や債券のように黙っていても配当やクーポンが得られると考えている素人大家さんは、生き馬の目を抜くような「不動産投資」の世界でサバイバルすることは難しいのではないでしょうか。

 

ちまたにあふれている不動産投資の本は、読者に対して投資を勧める都合上、どうしても苦労や努力はあまりアピールせず、株や債券と同じような簡単なものと印象づけようとする傾向が強いようです。

 

しかし、不動産投資はそんなに甘いものではありません。私の会社は、賃貸アパートの管理や仲介、あるいは一時的にオーナーになることもあるのでよく知っているのですが、アパート経営とは、それほど楽なものではないのです。

入居者募集、クレーム対応…アパート経営は甘くない

多くの人が苦労するのは、まず入居者の募集です。もちろん、新築のアパートであればそれほどの苦もなく入居者を集めることができますが、築5年、10年と古びてくるに従って、確実に人気が落ちてきます。

 

みなさんだって、築10年のアパートと新築のアパートが同じ価格で出ていたら、迷わずに新築のアパートを借りるでしょう。それと同様に、年月を経たアパートは、設備も古いし、見栄えも悪いし、入居者にとっては敬遠したい物件になります。なにしろ、この空き家過剰時代、近隣にいくらでも入居者を募集しているアパートがあるのです。

 

また、無事に入居者が決まったとしても、数多くの入居者を抱えていれば、どうしても一定の割合で、クレームに悩まされることになります。「クレーム」と書きましたが、入居者にしてみれば、正当な注文かもしれません。なにしろ入居者はお金を払っている「お客様」です。大家や管理会社には、その代金の対価として、快適な居住空間を提供する義務があります。

 

そのように考える方が増えたために、最近の管理会社は大変疲弊しています。もちろん大半の入居者は、気持ちのいい「お客様」なのですが、なかには、家賃を滞納したり、他の方に迷惑がかかるような騒音や悪臭を発したりされる人もいます。あるいは、禁止されているペットをこっそりと飼ったり、室内に回復不可能なほどの傷をつけたり、犯罪を起こしたりする人もいます。

 

不動産投資でアパート経営を行う大家さんが、もしサラリーマンだったとしたら、にわかには信じられないようなトラブルが続出することもあります。アパート経営も順調にいっているうちはよいのですが、万が一のトラブルに見舞われたときが正念場です。

 

本気で取り組んでいる人は、入居者からの訴訟にも脅迫にも負けずに対応できますが、不労所得を夢見て参入した素人大家さんは逆境に弱いことが多く、そうなるともう、アパートを売却して、不動産投資から足を洗いたくなるようです。

 

不動産業界にも消費者保護の観点が導入されて、大家さんには逆風が吹いています。昔は、住宅供給が少なかったので、大家さんはふんぞりかえって偉そうにしていても、入居者のほうが頭を下げて菓子折りなどを持ってきたものですが、今は正反対です。大家さんのほうが頭を下げて入居してもらわなければならないですし、昔のように敷金や礼金を何カ月分ももらうことはできません。

 

礼金や敷金がゼロという物件も珍しくなくなりましたし、たとえ敷金をいただいても、退去時には耳をそろえて返却しなければならなくなってしまいました。昔は、前の入居者からいただいた敷金で、次の入居者のためのクリーニングをしたものですが、今ではクリーニング費用は大家さんの持ち出しになってしまいました。

 

それでも不動産投資を行いたいというガッツのある方にはぜひ参入してきてもらいたいですが、そうでない方には、もはやアパート経営はお勧めできる投資方法ではなくなっています。


不動産「高利回り」の真実…「タダでもいらない物件」だらけ?

業者の謳う「高利回り」は、家賃設定を上げただけ

利回りが良いので購入したが、蓋を開ければ空室だらけ。高利回りは嘘だった――そんな話をよく耳にします。

 

最近では、地主向けではなくて投資家向けの新築アパートも人気がありますが、そういった新築メーカーの収支シミュレーションには、やや甘い部分があります。まず、家賃設定自体を高くして、表面利回りを上げています。新築の場合は、当然ながら全空で、誰も入居していないので家賃をいくらでも高く言えるのです。

 

また、実際に高くしても、1回目でしたら新築プレミアムがあるので満室になる可能性があります。新築物件には「未入居の新築の部屋に住みたい」という一定のニーズがあり、多少相場よりも高い家賃であっても、新築だからというだけで入居が付きます。しかし一度でも入居したら、それは中古物件です。新築プレミアムは長くは続きません。

 

最悪のケースでは、竣工して募集したところ、その家賃ではなかなか入居者が付かずに、「結局家賃を下げざるを得なかった」という話もあります。事前の説明で「〇%の家賃が見込める」と聞いていたのが、蓋を開けたら△%を切っていた――そんなことも起こっています。

 

長期的にはその高い家賃は見込めないにもかかわらず、見込みが甘い数値を見せて、投資家もそれを信じて買ってしまう。それは嘘ではないかもしれませんが、言葉通りに受け取ってはいけないことではあります。

 

地方の中古一棟物件でよく聞くのは、高利回りに見えて、修繕費やランニングコストがすごくかかるケースです。修繕費はどの物件にもかかるもので、中古物件では必ず起こり得るリスクですが、購入してすぐに給水ポンプ、エレベーターといった高額な設備が壊れたら悲惨です。

 

また、ファミリー物件では長期入居していた入居者が退去となると、居室が広いこともあり、多額の原状回復費用がかかります。もし、数室が続けて退去してしまえば、数百万円のリフォーム費用がかかることもあります。しかも、直さなければ次の募集ができませんから、その資金繰りは急を要するのです。

 

このように想定外の出費が続くことで収益を圧迫します。積算評価が高い物件は固定資産税・都市計画税が高く、エレベーターが付いている物件は電気代や保守点検費用が高いものです。それらのコストを差し引いたNOI(営業純利益)で計算した利回りFCRが「真実の利回り」となります。物件を判断する利回りは、表面利回りではありません。真実の利回りであるFCRで判断するようにしましょう。

あえて「真実を言わない」業者が多い

このような話をすると、不動産業界は嘘ばかりと思うかもしれませんが、実は不動産業界において明らかな嘘、騙しというのは、さほど多くありません。

 

「嘘ではない」が…
「嘘ではない」が…

 

例えば、物件の瑕疵(重大な欠陥)を秘密にしていたりするのは嘘ではなく犯罪です。不動産取引のルールは法律で定められていますから、調査を怠るのも業法違反になるわけです。つまり、嘘で終わるレベルではなく、法を犯すことになってしまいます。売買仲介の業者は、手数料をいただいて仲介業務を行っているわけで、その調査がいい加減であってはいけないのです。

 

業法違反のような特殊な事例を除けば「嘘」は、そんなに多くないような気がします。嘘というよりは、「真実を言わない」という言い方の方が正しいのかもしれません。

 

最近よく聞くのは、いくつかの金融機関が使えるのに、それを一切伝えず、ある特定の銀行のみを薦める不動産業者の存在です。本当に不動産投資の利益を考えるのであれば、その銀行はふさわしくないのかもしれない。それにもかかわらず、融資が通りやすい、つまり販売しやすい、ラクをして手数料を稼ぎやすい選択肢のみを提示するのは、良心的ではないと感じます。

 

もしかして、他の銀行が使えるのを黙っているのではなく、本当に無知で他の金融機関を知らないというケースもあるかもしれません。法人名義についても同じです。有効なスキームを隠しているわけではなく、知識不足、経験値のなさから「知らない」ということもあるのです。

 

例えば新築区分マンションは、節税している部分を考慮してもトータルの収支としては不動産投資としてなりたたない場合が多いです。

 

高所得のサラリーマンや医師や弁護士といった方が、不動産で出たマイナスで還付金を受け取るのは、不動産投資の儲けではなくて、あくまで税金が戻ってきたという話です。それを指して「儲かります」というのは、明らかな嘘です。

 

スナップショットで見れば、節税ができていても、新築区分マンションは値下がり幅が大きく最終的には損をする可能性が高いため、ビデオで出口まで見ていくとマイナスになる可能性が高いです。

 

その他をあげれば、「見込みが甘い」というのは、ありがちなケースです。新築区分マンションでいえば、利回りの根拠となっているシミュレーションが甘いように思います。区分マンションでは必ずかかる経費、管理費・修繕積立費を計算しないのは、いい加減すぎますが、固定資産税・都市計画税などを入れずに計算している業者は多くいます。

 

また、地主さん向けの大手アパートメーカーでも多いのですが、収支シミュレーションで家賃が30年経ってもまったく下落しない設定になっていることもあります。新築物件の家賃は相場家賃より高く設定されるのが一般的で、新築家賃は入居者が入れ替われば、下がっていくものです。ましてや、新築・築10年・築20年・築30年のアパートが同じ賃料で貸し出せるのは、まったくもって現実的ではありません。

 

エリアによって需要と供給のバランスが変わり、下落率も同様です。現在の募集条件と過去の成約事例といったデータを見れば、ある程度の下落率がわかります。30年もの間、ずっと同じ新築家賃で入るようなシミュレーションで立てる業者というのは、見込みが甘すぎます。こういった業者に都合のいいシミュレーションを信じた地主さんが、後に収支が合わなくなった結果、持ち続けられなくなって売却するケースはよくあることで、そういった物件を投資家が購入しているという現実があります。

いくら高利回りでも支出が多ければ赤字になる

さらに積算評価が高くて融資を受けられたという物件にありがちなのは、固定資産税・都市計画税(以下、固都税)が高いということです。税金は必ずかかってくるもので、常識と言っていい部分です。

 

本来であれば、仲介業者がそれを教えるべきなのですが、物件資料を見せてもらうと、結構、固都税については書かれていないものがあります。特に固定資産税というのは、地方の大型物件の方が高い場合があります。中には、その物件の収益の1カ月分以上になることがあります。

 

不動産取得税などの話も、しっかり説明していない不動産業者もいるようです。不動産取得税というのは、不動産を買ったときに払う税金ですが、それは購入時にかかるのではなくて、3~4カ月後といったタイムラグがあって請求があります。この存在を知らない方もいるので購入時に伝えるべきですが、想定していない人も多く、あとから慌てる人も少なくありません。いくら高利回りで多くの家賃収入を得られても、それを上回る出費があれば意味がありません。

 

このように高利回りであっても、儲からない物件は存在します。不動産業者が「この物件は高利回りでお薦めです」という場合では、その家賃が適正なのか、また想定外の出費がないか、物件を維持するためのランニングコストが高額でないか、税金はどれくらいかかるか、しっかり見極める必要があります。

利回り30%でも赤字を垂れ流す物件

不動産投資家にとって、利回りは大きな指標です。「利回り10%の物件が欲しい」といった希望をよく聞きます。利回りが高ければ、多少の難点は目をつぶる――そんな投資家もいるでしょうが、私は利回りだけに囚われるのは危険だと考えます。

 

これも勉強している投資家であれば引っかからないと思うのですが、区分マンションには管理費・修繕費・積立費などの経費がかかります。地方の区分マンションでは、100万円を切るぐらいの安さで、表面利回りが30%くらい出る物件も見かけます。ところが、蓋を開けてみると、管理費・修繕費・積立費などの方が明らかに高くて、それをカウントすると、毎月マイナスが出てしまうケースもあるのです。地方では家賃が安すぎてしまい、家賃よりも管理費、積立金の方が高いケースも多いのです。だから本当に「タダでもいらない」物件になっています。

 

また、「こんなに安く購入できる!」とテレビで話題になるような、スキー場や温泉地にあるリゾートマンション物件には、100万円、200万円といった、信じられないくらい安いものがあります。しかし、よく確認してみれば温泉の権利や管理費が極端に高く、毎月管理費で5万円以上もかかる物件がほとんどです。

 

賃貸に出しても、家賃よりも管理費が高いですし、別荘として持っていて毎月それだけの維持費がかかるなら、そのお金でさまざまな旅館に泊まった方がよほど楽しいでしょう。つまり、これも「タダでもいらない」物件なのです。

 

ランニングコストというのは、家賃の内の結構な割合を占めてきます。特に区分マンションの場合はそれを計算に入れていないと、本当の赤字物件になってしまいます。そういったことは、もちろん投資家自身もしっかり把握する必要がありますが、売買仲介する不動産業者がしっかり提示するべきです。

 

購入を煽ることばかりを言って、諸費用・月々の固定費用について、しっかり説明しない業者であれば、そこは「嘘つき」とは言わないまでも良い業者ではありません。ですので、前述の表面利回りではなくFCR(真実の利回り)で物件を判断することをお勧めします。

不動産投資の指標で重要なのは「NOI(営業純利益)」

不動産投資で稼ぐ仕組みを考えた場合、やはり一番大事なのは、NOI(営業純利益)です。1年分の満室賃料を、物件価格で割った表面利回りで紹介する業者が圧倒的に多いのですが、実際の収益は、その物件によって違いますから、やはりきちんとシミュレーションする必要があります。

 

FCRはかかるコストすべてを差し引いて計算した最終的な利回りのことを指します。日本の不動産投資の場合、数あるポータルサイトやそこに掲載されている広告では、表面利回りが掲載されていますが、アメリカなどではFCRで書くのが通常ですし、本当はそれが正しいやり方だと私は思います。

 

最終的な収益を計算するためには、まず空室を引いて、そして物件によってかかってくるOpex(運営費)も引きます。物件によってそれぞれ違いがあれど、運営費用は必ずかかるものです。ランニングコストの詳細は、区分マンションであれば、管理費・修繕積立費があります。

 

[図表]キャッシュフローツリー

 

地方の高積算物件であれば、固定資産税が高くなりがちです。また地方では、草むしりなど管理維持コストも、面積が広いとその分高額になります。また、つい忘れがちなのが、共有部分にかかるコストです。大きな物件であれば、決して馬鹿にできない金額になります。

 

例えば、共用部分の電気代・水道代と、清掃費と、消防設備点検費用などです。先ほど例に出した、区分マンションの修繕積立金、管理費などというのも運営費です。また、RCの場合、ランニングコストが大きいのはエレベーターです。エレベーターは付いているだけでも電気代がかかりますし、保守点検費用も必要になります。

 

このように運営費は、物件の種別や築年数によってさまざまです。こういった費用について、きちんと調査を行っていない業者も多いので注意が必要です。

 

逆に共有部がなければ安くなるため、貸家などは費用がかかりません。他にコストがかからないのは新築木造アパートです。全てが新品ですから修繕費もしばらくはかかってきません。

 

結局のところ、表面利回りだけで高利回りであっても、あまり意味はありません。実際の収益は何%なのかというところで判断して、物件を選択していくことです。

 

では、なぜ「表面利回り」という数値が存在しているのかというと、単に指標として分かりやすいからです。もちろん必要な指標ではあります。

 

また、運営費の部分を、「全体の何割」というように一律で考えて計算している投資家さんも多いようです。運営費については、不動産会社が提示していないパターンが多いので、そうせざるを得ないのかもしれませんが、実際は物件による差が大きいので、あくまでも目安にしかなりません。

香港ファンドPAG、日本の不動産に最大8000億円投資

香港の大手投資ファンド、PAGは今後4年程度で日本の不動産に最大約8400億円を投じる。新型コロナウイルス禍で、企業の不動産売却や金融機関の不良債権処理が増えるとみており、受け皿になる方針だ。日本は米欧に比べて新型コロナの不動産市場への打撃が限られ、相対的に高いリターンが見込めるとみる海外勢が多い。


CBRE「COVID-19下の不動産投資戦略」を発表。影響大も6月以降の投資意欲は改善傾向に

不動産サービス大手のCBREは9月15日、「COVID-19下の不動産投資戦略」を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が不動産投資市場におよぼした影響について、同社が3月10日から30日と6月9日から30日の2回にわたって実施、投資家に対するアンケート結果から読み解き、COVID-19下にある市場の現状や今後の不動産投資戦略について考察している。

3月の調査は95社、 6月は97社が回答。回答者の属性はアレンジャー、レンダー(シニアを主とする)、レンダー(メザニンを主とする)、デベロッパー・不動産賃貸、アセットマネージャー(J-REITを主とする)、アセットマネージャー(J-REIT以外を主とする)、エクイティ投資家など。まずCOVID-19が拡大した 3月以降、売買市場では延期もしくはキャンセルされる取引が増加したが、5月25日に緊急事態宣言が全国で解除され、6月からは投資活動も徐々に再開された。6月の投資家調査の結果も、3月に実施した調査に比べて投資家の意欲の改善を示した。投資対象については、キャッシュフローの安定性を重視し、景気変動の影響を受けにくいアセットタイプを選好する傾向に変化はなかった。

緊急事態宣言下、COVID-19による不動産取引への影響は拡大する。2020年第2四半期(4~6月期)の事業用不動産の投資額は対前年同期比22%減の7530億円に減少。J-REITおよび他の国内投資家による投資額とも前年同期を大きく下回った。6月調査では、「感染拡大は取引に影響があった」と回答した投資家は全体の53%で、3月の調査結果に比べて12ポイント増加。このうち、「取引が中止・延期になった」と回答した投資家は37%と同14 ポイント増加した。緊急事態宣言中は外出自粛要請により、取引が進められない状況にあったため、4月から5月に、中止や延期などに至った取引が増加したと考えられる。

しかし、6月に入り投資意欲には明確な改善が見られた。緊急事態宣言の解除後、経済活動は徐々に再開されてきている。6月の調査で不動産投資戦略に対する影響を尋ねたところ、感染拡大前に比べて「投資方針は変わらない」と回答した投資家は全体の75%を占め、3月の調査結果に比べ13ポイント増加しました。一方、「取得額を減額」・「わからない」を選択した回答者の割合は、いずれも前回調査結果に比べて減少した。

「売買市場では、売り手と買い手の間の価格目線の乖離は従前以上に広がっている。売り手と買い手の価格目線の乖離が続く理由のひとつは、価格を下げてまで売り急ぐ状況にある売主が少ないこと。成約件数は当面、低迷すると考えられる」と同社は市場の足元を予測する。ただし「金融危機当時に比べてディストレス案件は少なく、価格を下げてでも売ろうという売り手も多くないため、収益不動産の募集価格も総じて高止まりの状況が続くと考えられる」という見方だ。

6月の調査では「投資対象として魅力的なアセットタイプ」を質問したところ、トップ 3 は物流施設が33%で1位となり、住宅(32%)、オフィス(27%)が続いた。ECの拡大が加速することへの期待を受けて、物流施設に対する投資家の注目が高まっているようだ。一方、オフィスについては、リモートワークの導入などにより、中長期的な需要の見方が分かれてきていることが、順位の低下につながったと見られる。


1階の中華料理店から虫が…「店舗付き物件」が高リスクなワケ

売却しやすいのは整形地…初心者は借地権に注意

売却のこととも密接に関わるのですが、土地の形状についてもお勧めのものがあります。メイン通りからちょっと入ったようなところで、かつ整形地がいいでしょう。整形地とは、長方形や正方形のことを指します。前面道路に接する辺の長さが長く、かつその道路が広いほど土地の価値は高くなります。さらに、それが角地ですと、建ぺい率も有利になるので、よりお勧めのものとなります。

 

では、不整形地はNGなのでしょうか。不整形地の典型は、旗竿地と呼ばれる形状で、道路に面している辺が極端に狭く、旗のような形をしているもので、これは都心や都心近郊の駅近では、珍しくありません。人気が低いため、割安に購入できるとあって、あえて購入する人もいますが、私はあまりお勧めしません。それは金融機関からの評価が低いため、融資がおりづらいということに加え、売却しづらいということがあるからです。

 

では、なぜ売却しづらいか。そもそも、建て替えができない建築不可物件である可能性があります。それは建築基準法で定められている接道義務を果たしていないからです。接道義務は、「幅員4メートル以上の道路に、建物の敷地が2メートル以上接していなければならない」というものです。加えて、重機が入りづらいため、解体するにも、建て替えるにも、費用も期間も通常より多くかかります。解体費用は2〜3倍というケースも少なくありません。

 

土地に着目すると、ときどき見かけるのが借地権を利用した物件です。借地権付き建物とは、土地の所有者自体は別にいて、その土地を利用する権利(地上権)だけがあるという物件です。地代の負担がある一方で、固定資産税と都市計画税を払う必要がないことが特徴です。所有物にはならないため当然、土地を売却することはできませんし、建て替えにも土地の所有者の同意が必要です。

 

経営者であれば、そうした土地の持ち主との交渉などに長けている方もいるでしょう。その意味では、意外とアリな物件かもしれません。ただ、担保力としては乏しいといえますし、初心者の購入はお勧めしません。

店舗付き物件は避けたほうがよし

居住用ではなく、テナントや事務所など、ビジネス用の物件もあります。一般には、店舗・事務所物件と呼ばれたりします。この店舗・事務所物件の最大のメリットは満室時の利回りのよさです。居住用に比べ、賃料を高く設定できるからです。また、退去時の原状回復のためにかかる費用は、居住用では貸し手側が負担するのが通常ですが、店舗・事務所物件では借り手が負担するケースが多くなっています。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

しかしながら、居住用に比べて店舗・事務所物件は定着率が低いといえます。事業として成り立たなければ、あっという間に撤退します。つまり空室リスクが高いのです。また、1階が店舗・事務所用で、2階と3階が居住用という物件もあります。これはハイリスク・ハイリターンな店舗・事務所用と、ローリスク・ローリターンの居住用が併設されているということで、よさそうに見えます。

 

しかし、実際に住む人(借り手)の気持ちを考えると、簡単ではありません。たとえば1階に中華料理店が入っていたら、虫も出るかもしれませんし、雑音も聞こえてきます。要は、快適に過ごせるよう、入るテナントのマネジメントが必要になるのです。

 

さらに、多くの場合、居住用の家賃に比べて、店舗・事務所用の家賃は高く設定されており、そこで生じる空室リスクは、やはりインパクトは大きいといえます。ただし、本業で飲食店のコンサルティング業務をしているなどの特異なケースであれば、むしろ相性がいい物件だといえます。しかしながら、最初の物件では、店舗付きではない物件をお勧めします。

戸建て物件はリターン回収に時間がかかる

曽我ゆみこ著『経営者ための初めての不動産投資戦略』(プレジデント社)
曽我ゆみこ著『経営者ための初めての不動産投資戦略』(プレジデント社)

戸建て物件の不動産投資を勧める本もあります。私自身は、なるべく借入をして、その分の利回り=金利分を取っていくという方法ですが、そのやり方を戸建て物件にもあてはめるのは難しいでしょう。

 

しかもかなり手間がかかる一方で、一つの投資あたりの入ってくるお金が小さいため、一棟ものに比べてリターンが小さいといえます。とはいえ、お金があまりない人にとってはアリだという側面もあります。特に戸建ての場合、売り手が投資家ではないことも多いため、意外なほど割安な物件と出合えることもあるようです。ただし土地勘がなければ、なかなか一戸建てのニーズというのはわかりづらいものです。

 

たまたま自分が住んでいるエリアが、賃貸用の戸建てニーズがあり、かつ不動産投資市場に物件数がそれなりに出回っているのであれば、戸建ても選択肢に入れてもいいかもしれません。

 

と、ここまでお伝えしておきながら、やはり経営者からすると、お金の増えるスピードが遅いため、歯がゆい思いをするでしょうし、先ほどは割安な物件もあるとお伝えしましたが、基本的には割高な物件が多いでしょう。

 

というのも、もともとは実需用に建てられたものがほとんどだからです。本来、投資は「この場所だとこのぐらいの土地値だから、坪単価はX円で」という計算をして、収益に合わせて建物を造るものなのですが、実需用に買おうと考えている人たちはそういうことは気にせずに買うので、売る方も買える金額で価格を想定しています。

 

たとえば5000万円のローンが組めるから、5000万円の物件を建てようというようなスタンスです。その意味では、確かに立派な物件が多いでしょう。それでも、外壁のグレードが2倍高いからといって、2倍の家賃になることはないですし、キッチンに大理石が使われているからといって、家賃を1万円上げられるかといったら、そうではありません。

ファミリーか単身者か…エリアの特徴で判断すること

建物によって、ファミリー向けの物件と単身者向けの物件があります。ファミリー向けの物件の特徴は、メリットとしては入居期間が長いこと、駅から少し離れていても需要があることがあり、デメリットとしては一度退去になったら空室期間が長くなりがち、原状回復費用が嵩(かさ)みやすいなどがあります。

 

単身者向けの物件は、その反対で、メリットとしては退去しても次の入居者が見つけやすく、原状回復費用が安いということ、デメリットとしては入居期間が短く、駅近などの利便性を求められることです。さらに平米(㎡)あたりの家賃単価は、単身者向け物件のほうが高い傾向にあります。

 

こうしたメリットとデメリットを考慮すると、どちらがいいとははっきりとはいえないのが正直なところですが、別の観点を入れると判別しやすくなります。それは、そのエリアの特徴を見ていくことです。たとえば大学生がたくさん住んでいるようなエリアだったら、単身者向けの需要は大きいでしょう。

 

近くに子どもが楽しめる公園があるのならば、ファミリー向けの需要が大きいといえます。そのように、その土地の特徴と照らし合わせると、空室リスクは小さくなるでしょう。

 

 

 

曽我 ゆみこ

化粧品会社経営

投資家

新宿5分の「京王線・幡ヶ谷」やはり「谷」がつく地名は危険?

日本一の巨大ターミナル近接…良好な住環境が魅力

「幡ヶ谷」は渋谷区北部に位置する、京王電鉄京王線(京王新線)の駅です。元々は地上駅でしたが、1978年に地下駅に。1980年には京王新線と都営新宿線が相互直通運転を開始し、乗り換えなしで都心へとアクセスできるようになりました。駅周辺は基本的に住宅街ですが、京王線と並走するように走る甲州街道や、駅西側を縦断をする中野通り沿いには、企業のオフィスも目立ちます。

 

また駅周辺には、甲州街道の両サイド、100店ほどで構成される「幡ヶ谷商店街」、駅南口、旧玉川上水跡遊歩道あたりから代々木方面に伸びる「西原商店街」、駅北口、甲州街道を渡り水道通り(東京都道431号角筈和泉町線)あたりまで続く「幡ヶ谷六号通り商店街」と、地元密着型の3つの商店街が点在。どこか下町の雰囲気感じる街並みに、スーパーやチェーン店のほか、生鮮食品、飲食店など、多彩な店舗が並び、買い物や飲食で困ることのない環境です。

 

また新宿まで直線距離で2.5kmという立地ながら、住宅街には規模は小さいですが公園が適度に点在。また京王線が走っていた跡は緑道になっているなど、意外と緑を感じられる環境です。交通至便で住環境も良いことから、ファミリー層からも支持される街となっています。

 

■都営新宿線直通で都心にもダイレクトにアクセス

「幡ヶ谷」から「新宿」へは、京王新線で5分。JR駅は少々離れているので、10分ほどの乗り換え時間を見ておくと安心です。また京王新線は都営新宿線直通を行っているから、「市ヶ谷」や、JR「秋葉原」にも近い「岩本町」など、都心にもダイレクトにアクセスすることができます。

 

またバスで新宿のほか、渋谷や中野、高円寺などにも向かうこともできるほか、新宿へは徒歩で30分強、自転車であれば15分ほどで到着。また地理的に小田急線「代々木上原」とも結びつきがつよく、徒歩であれば20分ほど。不測の事態でも対応できる立地なのも、幡ヶ谷の魅力のひとつです。

 

単身の賃貸派が多数、物件力が問われるエリア

■幡ヶ谷の人口構造

国勢調査を中心に、幡ヶ谷エリアの人口構造をみていきます。「幡ヶ谷」のある渋谷区の人口は22万人強。世代別では、15〜64歳の労働生産人口が多く、子どもや高齢者の少ない自治体です。一方で幡ヶ谷エリアは渋谷区と同じ、働き盛り世代が多いエリアであることがわかります(図表1)

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表1]「幡ヶ谷」周辺の人口動態出所:平成27年「国勢調査」より

 

世帯の状況をみていきます。渋谷区は単身者世帯が多く、東京23区平均の50%を10ポイント以上も上回る62%。幡ヶ谷エリアも同様で、6割を超えます。また渋谷区の高齢単身者世帯の比率は、ほぼ23区平均と同程度ですが、幡ヶ谷エリアでは23区平均を1ポイント以上も上回ります。高齢化が進むエリアという評価もできますし、新宿近接で交通利便性、生活利便性ともに高いという特徴から、高齢単身者でも暮らしやすい、という評価もできます(図表2)

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表2]「幡ヶ谷」周辺の世帯の状況出所:平成27年「国勢調査」より

 

持ち家率/賃貸率をみていきます。渋谷区は23区のなかでも賃貸派が優勢なエリアで、持ち家率は23区の平均を下回る42%。幡ヶ谷エリアはさらに40%を下回る37%。賃貸の一人暮らしが多いエリアです。単身者をターゲットにした物件が豊富で、不動産投資家にとってもターゲットにしやすいエリアだといえるでしょう(図表3)

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表3]「幡ヶ谷」周辺の持ち家率/span> 出所:平成27年「国勢調査」より

 

このような人口構造、世帯状況により、渋谷区の5年定着率は、23区平均を下回る41%。5人に3人は5年以内に転居するという環境です。幡ヶ谷エリアも23区平均を5ポイント以上も下回ります。住民が流動的ということは、不動産投資家にとって空室対策がより重要になるエリアと捉えることができるでしょう(図表4)

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表4]「幡ヶ谷」周辺の5年定着率出所:平成27年「国勢調査」より

 

■不動産マーケットの状況

幡ヶ谷エリアの家賃相場をみていきます。駅徒歩10分の1Kの平均家賃は7.43万円、11分を超えると9.58万円と、駅距離による逆転現象が起きているエリアです。駅近よりも駅から離れた住宅街のほうが、専有面積は広く、築年数も浅い物件が多く、このような現象が起きています。駅から離れても物件にこだわりたいというニーズが高く、駅距離よりも物件力が問われるエリアだといえます(図表5)

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(9月13日時点)
[図表5]「幡ヶ谷」駅周辺の1K平均家賃出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(9月13日時点)

 

中古マンションの1平米あたりの取引金額をみていくと、渋谷区は東京都の平均を大きく上回る121万円/㎡。23区でも地価の高いエリアだけに、納得の価格です。幡ヶ谷周辺は区の平均と比べると40万円近くも安い81万円/㎡。渋谷区という立地ながら、リーズナブルなエリアです(図表6)

 

出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
[図表6]「幡ヶ谷」周辺の中古マンションの取引金額出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成

 

この5年間の中古マンションの四半期ごとの取引件数は、平均12件。季節により上下しますが、幡ヶ谷エリアは安定した取引件数を誇るマーケットです。新型コロナによる自粛前の2019年第4四半期には22件を記録する一方、そのあとの2020年第1四半期は平均以下の9件にとどまりました。今後、コロナ禍の影響がどれほどか、2020年第2四半期以降の状況が気になるところです(図表7)

 

出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
[図表7]「幡ヶ谷」周辺における、中古マンションの取引数の推移出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成

安定的な人口増加を予測も、高い地震リスクの地域が

■将来人口と災害リスク

不動産投資において、人口は重要なファクターとなりますが、日本は現在、人口減少期で東京も例外ではありません。今後、不動産投資において、エリア選定がより重要になります。

渋谷区は東京のなかでも安定的な人口増加が見込めるエリアといわれていますが、幡ヶ谷周辺はどうでしょうか。黄色~橙で10%以上、緑~黄緑0~10%の人口増加率を表し、青系色で人口減少を示すメッシュ分析でみていくと、幡ヶ谷エリアでは、緩やかながら安定した人口増加率を示す黄緑が目立ち、また駅南側、代々木上原と挟まれた西原エリアでは、より人口増加が見込める橙色となっていて、今後の不動産投資においてもプラスになると考えられます(図表8)

 

出所:地域経済分析システム、国土交通省「メッシュ別将来人口推計(平成30年推計)」
[図表8]2015年~2040年「幡ヶ谷」エリアの人口増減率出所:地域経済分析システム、国土交通省「メッシュ別将来人口推計(平成30年推計)」

 

一方で不動産投資において気になるのが災害リスクです。幡ヶ谷という地名を聞いたとき、気になるのが「谷」という漢字ではないでしょうか。よくこの漢字がつく地名は災害に弱いといわれていますが、どうなのでしょうか。東京都による「地震に関する地域危険度測定調査」では、東京の地盤を12種類に分類し、地震の際にどのような被害が出るのかを町丁別に評価していますが、幡ヶ谷周辺は各項目の評価は「2」から「3」。そして総合評価も概ね「2」とされています(図表9)

 

出所:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」より ※地震に対するリスクを1~5の5段階で評価。数字が小さいほどリスクも小さくなる
[図表9]「幡ヶ谷」周辺の地震リスク出所:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」より
※地震に対するリスクを1~5の5段階で評価。数字が小さいほどリスクも小さくなる

 

しかし気になるのが、総合「4」と評価された「幡ヶ谷3丁目」。駅北側、甲州街道を渡り、水道道路より北側のエリアです。実はこのあたりは暗渠になっていますが、神田川幡ヶ谷支流に沿って浅い谷になっているところ。以前は水田が広がっていたエリアです。また木造の住宅が密集し、地震の際は倒壊や火災が心配されます。地域の防災力向上が課題のエリアといえるでしょう。

 

■まとめ 

新宿から2駅の幡ヶ谷は、高い交通利便性と生活利便性から、単身者を中心に支持されているエリアです。一方で入退去も多いエリアなので、常に空室対策を意識した不動産経営が求められます。

 

また一部、地震リスクの高い一画があるので、エリア選定の際はリスクを許容できるかどうか、見極める必要があります。


夫の死で、妻の自宅が…息子たちの「相続放棄」が招いた大損害

「負債があったら困るから…」安易な念慮が招いた悲劇

【事例】「相続放棄」のリスクを知らず大損害を被った一家

 

Aさんが死亡しました。相続人は妻のBさん、長男Cさん、次男Dさんです。Aさんの遺産は自宅の土地建物の他、預貯金が数千万円あります。自宅には今後も妻Bさんが住み続けます。Cさん、Dさんはそれぞれ実家を離れて生活しているため、異論はありません。

 

話し合いはスムーズに進み、自宅の名義はBさんにすることになりました。預貯金に関しても、今後のBさんの生活のことを考え、今回の相続では、CさんとDさんはすべてをBさんに相続させることにしました。

 

通常なら、ここで相続人の間で遺産分割協議をして手続きを進めるのですが、Cさんは法学部出身で少し法律をかじっていた経験から、ふとあることが頭をよぎりました。

 

Cさん「なあ、俺たち兄弟は相続放棄したほうがいいんじゃないか」

 

Dさん「相続放棄? 親父に借金はなかったと聞いているが…」

 

Cさん「誰かの連帯保証人になっているかもしれないだろう。俺たちは今回お金をもらっていないから、あとから負債が発覚したら困るぞ」

 

Dさん「なるほど、確かにいうとおりだ。どのみち遺産は実家の不動産だけだし、それもお袋の名義にするわけだしな。念のため手続きしておこうか」

 

CさんとDさんはさっそく裁判所へと赴き、相続放棄の手続きを済ませてしまいました。

 

「相続放棄のリスクを知らず、安易に手続きを行ってしまった兄弟(※写真はイメージです/PIXTA)
「相続放棄のリスクを知らず、安易に手続きを行ってしまった兄弟(※写真はイメージです/PIXTA)

「相続放棄」は、負の遺産から相続人を救う制度だが…

相続が発生すると、被相続人に属するプラスの財産(遺産)もマイナスの財産(負債)もすべて相続人へ承継されます。遺産や負債を承継する人や割合は民法で定められています。負債には銀行等の金融機関からの借入金のようなものから、誰かの連帯保証人になっているような場合の保証債務も含まれます。

 

遺言書がないとき、相続人が複数名いる場合は、相続人全員の話し合いである「遺産分割協議」によってどの遺産を誰が相続するのかを決めることになります。

 

遺産分割協議で、誰が遺産を承継するかという合意は相続人を含めて対外的にも有効なのですが、マイナスの財産である負債の承継の合意となると、そういうわけにはいきません。なぜなら、相続人の都合で相続人以外の権利を侵害することはできないからです。

 

たとえば、もし今回の事例でAさんが銀行に1億円の借金があって、二男Dさんは無職で収入がなかったとします。その際、相続人同士で結託して、負債をすべてDさんに相続させるような遺産分割協議がなされ、これが対外的に有効とすると銀行は非常に困ったことになります。

 

借金は、お金のあるところから回収することはできますが、ないところから回収することはできません。もちろん、無職で収入のない人間から借金を回収することは不可能です。ですから、債権者に関係のないところで、勝手に債務者を誰かと決めるような遺産分割協議は対外的な効力がないのです。

 

負債をどうしても相続したくない場合、今回の事例でCさんとDさんが行ったように、家庭裁判所に申述する「相続放棄」を行う必要があります。相続人のみで話し合う遺産分割協議だけでは、負債を相続しないとすることはできないのです。ちなみに、相続放棄をした場合は、プラスの財産である遺産も相続することができなくなります。おいしいところだけを持っていくことはできません。

 

Cさんはこういったことを知っていたので、父親に万が一負債があった場合を想定し、家庭裁判所に相続放棄を申述したのです。

 

しかし、相続放棄の効果は非常に強力です。本件では、相続放棄のリスクを知らなかったために、ある重大な問題を引き起こすこととなってしまいました。

相続放棄すれば他の親族が相続人になる

まずは相続放棄の条文を確認しましょう。

 

【民法第939条】

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

相続放棄をした場合は、その相続に関しては初めから相続人にならないことになります。CさんとDさんが相続放棄すると、この二人は相続人ではなくなるのですから、Aさんの相続人は、配偶者であるBさんだけになるように思われます。

 

しかし、実はそういうことにはなりません。配偶者は常に相続人になりますが、配偶者以外の相続人は子がいる場合は子が第一順位の相続人となります。また、第一順位である子がいない場合には第二順位へ、ここもいないと第三順位の相続人へと相続権が移っていくのです。よって、相続放棄により子が相続人にならないような場合では、被相続人の親が生きていれば親が相続人となりますし、親が亡くなっていれば、被相続人の兄弟姉妹、兄弟姉妹も死亡している場合にはその子(甥姪)が代襲して相続人となるのです。

相続放棄により、薄情な叔父Eが相続権を獲得

今回の事例においては、被相続人Aさんの両親はすでに亡くなっていましたが、実はAさんには仲の悪い弟Eさんがいたのです。息子Cさん・Dさんが相続放棄をしてしまったので、子の二人は初めから相続人ではないことになり、第三順位の相続人であるEさんが相続権を得てしまいました。

 

Aさんと不仲であったEさんは、相続手続きには非協力的です。加えて、Bさんとの話し合いにも応じてくれません。Bさんは自宅不動産に住み続けたいので不動産を相続したいこと、今後の生活のこともあるので預貯金についても相続したいことを必死にEさんに伝えました。ですが、Eさんは自分自身が法律で認められている法定相続分については相続権がある旨を主張して譲歩してくれません。

 

相続人間の任意の話し合いによる遺産分割協議ができない場合は家庭裁判所に遺産分割調停という申立てを行う必要があります。

 

結局、Bさんは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになりました。遺産分割調停のなかでも、EさんはBさんが遺産を相続することには応じてくれず、最終的にEさんに対して法定相続分である遺産の4分の1に相当する金銭をもっていかれることになりました。Eさんには遺産の4分の1を相続する権利が法律的にあるので、その後の生活などの事情があるにせよ、裁判所はBさんが全財産を相続することを認めるわけにはいかないのです。

相続放棄の要否には慎重な判断が必要

今回、CさんとDさんはよかれと思って相続放棄を行ったわけですが、法定相続人の順位が変わってしまうことを考慮せずに手続きしてしまったために、このような悲劇が起きてしまいました。

 

相続放棄は、被相続人が非常に大きな借金をのこして亡くなってしまったような場合において、相続人をいわれのない債務から救済する制度ではありますが、使い方を間違うとこういった悲劇が起こり得ます。そのため慎重に考えてから行動を起こさなければなりませんが、手続きの期限は非常に短く、3ヵ月間しか申請できません。葬儀等でバタバタしていると本当にあっという間に過ぎ去ります。

 

相続放棄の手続自体はそれほどむずかしいものではありませんが、今回の事例のように目の前の手続きだけを見るのではなく、様々なリスクを検討することが大切です。一度は専門家に相談されることをおすすめします。

 

 

佐伯 知哉

司法書士さえき事務所 所長

新築か中古、駅近か郊外、木造か鉄骨…賢い経営者が選ぶのは

新築神話に騙されない! 大切なのは「利回り」

新築物件か、中古物件かということで迷う人も多いでしょう。前提として、新築であろうと、中古であろうと、最も大事なことは利回りが高いことです。ですから、物件価格が相対的に安くなる中古物件のほうが、有利だということがいえます(最近では新築も利回りが上がってきていますが)。

 

では、逆に新築物件はどのようなメリットがあるのでしょうか。皆さんは経営者ですので、減価償却という考え方には慣れていると思います。この減価償却は、不動産投資にも使えます。新築物件の場合、法定耐用年数が木造は22年、重量鉄骨は 34 年、RC造は47年と決められており、これらの数字で建物価格を割れば、毎年の減価償却費用が計算できます。

 

築浅の物件であるほど、残された減価償却期間が長いですので、実際には出ていかない経費として長期間にわたって計上できることになります。ただし、別の見方をすると、長期間で償却するので、毎年の計上金額は少なくなるともいえます。

 

さらに、新築物件は設備が新品ですので、修繕リスクが低いといえます。経験上、新築物件は、実需用の物件と同様に、新築プレミアムが加算されていることが多く、割高である可能性が否定できません。過去に取引実績があり、完全に信頼できる不動産販売会社があるならば、新築物件もよいでしょう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

しかし、「今回が一棟目」という本連載の読者の皆さんは、おそらくまだ不動産販売会社とそこまでの信頼関係を築けていないはずです。「新築のほうがお客さんもすぐにつきますし、家賃も高く設定できますよ」と言われると、もっともらしく聞こえます。

 

もちろん、販売会社がそのように言う理由も嘘ではありません。新築のほうが部屋を借りる人は気持ちがいいし、人気があるのは間違いないでしょう。それでも一度立ち止まって、借りる人の気持になって考えてみてください。同じようなグレードの部屋があったとき、新築物件かどうかは本当に重要でしょうか。それより家賃のほうが気になりませんか?

 

個人差があるので一概にはいえませんが、家賃のほうが大事だと言う人は、思いのほか多いものです。実際、入居者が入りやすいといっても、そこまで格段に変わるかと聞かれると、微妙なところです。強気の賃料設定ができるといっても、市場価格と比べて格段に上げられるかというと、やはり数千円程度しか高くできません。

 

ですから、新築物件の場合、すでに住んでいる人はゼロなので、満室になるまで、あるいは想定の範囲内まで埋まるのに一定の時間がかかります。その間は、キャッシュが入ってこないことになります。他の物件からのキャッシュがあるのなら、まだ安心ですが、入居者が入るまで、持ち出しは不安だと思います。

 

しかも客付けを行う不動産販売会社は、過去に取引のある大家さんの物件を優先して紹介する傾向があります。もし、ふたつの新築物件があって、一方の大家さん(投資家)とは過去に取引している実績があり、もう一方のオーナー(投資家)とは初めての取引という場合、他の条件が同じなら、やはり前者を優先するのです。

 

実績がゼロの皆さんであれば、すでに住民がいる中古物件のほうが、リスクは小さいといえるのです。

家賃下落は恐ろしい…値崩れしない都心駅近が無難

駅から遠い物件よりも、駅近くの物件、それも徒歩で10分、ファミリー向けならば徒歩で 15 分圏内がお勧めです。その理由は、家賃下落リスクが小さく、売却時の資産価値が下がりにくいからです。

 

もう少し詳しく説明しましょう。わかりやすい例が、2022年問題です。1991年の生産緑地法の改正によって、 30年間営農するかわりに、税制面で優遇措置を受けられた土地がたくさんありました。これらの土地が市場に入ってきて、戸建ての宅地となったり、マンション用地になったりするといわれています。その結果、住宅供給が過多となり、不動産価格が下落すると見られています。

 

こうしたときに、大きく値崩れしないのが駅近の物件なのです。また、駅から遠い物件というのは、自家用車を所有しているのが前提になります。自動車の利用を前提とした街の設計になっていることが多いのですが、ここ10年ほど、自動車離れが進んでいます。

 

特に今の20〜30代は、自動車の保有率が下がっています。加えて、高齢者による深刻な自動車事故も目立ってきていることから、これからの10年で60代以上の車離れも進行すると思われます。郊外の一戸建てに住んでいた高齢者が、駅近くで便利なマンションやアパートに引っ越すという流れがくるのです。

 

もちろん、都心近郊の駅であることも大事です。それも乗降者数が多い駅がいいでしょう。乗降者数が少ないということは、それだけその土地には住民が住んでいないということになります。家賃相場は需要と供給のバランスで増減しますから、乗降者数の多い駅の方がよいでしょう。

地方の物件はなぜお勧めしないのか

田舎の物件を推奨する不動産投資法もあります。これまでにも見たとおり、田舎の物件は利回りが高い傾向がありますので、それ相応のメリットはあるといえます。しかし、これから人口減少社会に入るにあたって、田舎はかなり経済的に厳しくなることが予想されています。つまり空室リスクも家賃下落リスクも、都心近郊に比べて圧倒的に高いということです。

 

そもそも田舎の物件は何がメリットなのでしょうか。不動産販売会社からよく聞く営業文句として、「積算が取れるので、お勧めですよ」というもの。積算とは、土地と建物の価格を足したものです(土地価格は路線価×土地面積で、建物価格は再調達価格×建物面積×(法定耐用年数 −築年数)÷法定耐用年数)。

 

どういうことか。田舎の物件で、土地が広い方が積算が高くなって、銀行からの融資が引き出しやすいため、「お勧めですよ」と言っているのです。ただ、実際に融資がおりて購入してみたら、どんどん価値が下落していくことに気がつくはずです。価値が下落しにくい土地自体には都心ほどの価値はないので、建物が古くなればなるほど、全体の価値が急激に下がっていくからです。

 

しかも、最近では地方の積算の高い物件の方が融資がおりやすいというメリットも減ってきているようです。というのも、銀行は積算よりも、実体を見る収益還元法を重視するようになってきたからです。Wゲインシートの使い方でも言っているのですが、「残債額が土地値になったら安心」ということがあります。最終的に更地にして売ることを考えて、土地値になるのがいつかを考えておくとよいでしょう。

 

そうなると、都心や都心近郊は土地値が高いので、比較的早くそこにたどり着いて、安心できます。でも、田舎は土地が安いですから、いつまでも土地値にならないということがおこります。結局、いつまでも安心できません。Wゲインシートは、インカムゲインも大事ですが、キャピタルゲインすなわち売却益も重要です。なので、地方の物件、田舎の物件よりも都心近郊をお勧めしているのです。

意外にメリットも多い木造物件

曽我ゆみこ著『経営者ための初めての不動産投資戦略』(プレジデント社)
曽我ゆみこ著『経営者ための初めての不動産投資戦略』(プレジデント社)

地方か都心かということのほかにも、RC造(鉄骨コンクリート造)・S造(鉄骨造)か、木造かという判断軸もよく耳にします。RC造とは鉄筋コンクリート造の略称で、3〜7階建て程度のマンションによく使われる構造です。S造とは鉄骨造の略称で、3〜5階程度のマンションによく使われる構造です。木造は戸建てやアパートなどに用いられる構造です。

 

一般的なメリット・デメリットでいうと、RC造・S造は建築コストが高い半面、防音、耐火、耐震に優れ、一方、木造は防音、耐火、耐震に優れていないものの、修繕コストや、更地に戻すときの解体費が安いというメリットがあります。そうした建物としての特徴を踏まえた法定耐用年数が法律で定められており、先ほども触れましたが、RC造は47年、S造は34年、木造は22年とされています。

 

では、このRC造・S造と木造とでは、どちらがよいのでしょうか。比べる観点は、「家賃相場」「返済期間」「取得後の経費」「売却のしやすさ」です。家賃相場としては、木造のほうが安く、RC造・S造のほうが高い傾向にあります。建築コストがRC造・S造のほうが高いことに加え、需要(人気)もあるからです。

 

しかし、5000万円の木造の建物と1億円のRC造・S造の建物の同サイズの部屋を比べたときに、家賃を2倍にできるかといえば、それは難しいでしょう。大きく見積もっても2割増し程度で、一般的には1割増し程度の差にとどまります。

 

借入金の返済期間は、RC造・S造のほうが長く、木造のほうが短く設定されます。というのも、金融機関は融資期間を設定する際に、法定耐用年数から導き出すからです。私がお勧めしている投資法は、投資の初期段階では毎月の返済金額をなるべく抑え、手残りを多く取ることで、2棟目、3棟目と物件を増やしていき、全体のリスクを下げるというものです。

 

ですから、できれば最初は25〜30年という長い返済期間を設定することで、月々の返済金額を少なくしたいのですが、木造の場合は、難しくなります。もちろん銀行は建物だけで評価するわけではないので、都心近郊で駅近の物件であれば、残存耐用年数に近い返済期間を設定してもらえますが、土地値がほとんどないようなところでは、よりシビアな設定になることもあります。

 

次に、物件取得後の経費についてです。固定資産税・都市計画税といった税金はRC造・S造のほうが高く、木造のほうが安いでしょう。これは毎年かかってくる税金となります。

 

ただ、それ以上に違いが生じるのは修繕費です。木造の場合に比べ、RC造・S造は大規模修繕のコストが大きくのしかかってきます。一般に、大規模修繕は10〜15年のスパンで行うといわれていますが、「屋上防水」「外壁塗装」「消防設備」「給排水管」などがあり、それぞれで修繕が必要になるタイミングが異なります。

 

いずれにしても大事なことは、中古のRC造・S造を購入するときに、きちんとメンテナンスが施されてきたかどうかを見ること。というのも、コンクリートというのは、メンテナンスを怠ると、一気に劣化するものだからです。特に屋上防水と外壁塗装について、まったく何も触っていない状態だと、結構な金額の修繕費になってしまうこともあります。

 

売却のしやすさについては、次の購入者側の事情を考えてみるとわかりやすいでしょう。買い手は多くの場合、銀行からの融資を受けようとします。木造だと、法定耐用年数が短いため、先ほどもお伝えしたように融資期間は短くなります。つまり、売りにくいといえます。

 

ただし、木造の場合、解体費用が安いため、RC造・S造に比べて土地として売るということが視野に入りやすくなってきます。場所がよければ、木造は売りやすいともいえます。この点については、後ほど詳しくお伝えしますが、売るときを考慮したよい土地であるかどうかも重要だといえます。

 

ここまで見てきたように、RC造・S造と木造には、それぞれにメリットとデメリットがあり、優劣はつけがたいものです。ただ、1億円以上の物件ということを考えたときに、なかなか木造アパートで優良なものは出てきません。数千万円程度が多いのですが、その場合、RC造・S造以上にたくさんの建物を持たないと、収益は上がってきません。

 

ここで考えたいのが、複数の建物を持つということは、物件探し、融資づけ、管理など、その分だけ手間がかかるということ。最終的に5億円程度の不動産投資をしようと考えている場合、単純計算をすると、5000万円の木造だと10棟が必要ですが、1億円のRC造・S造だと5棟で済みます。

 

もちろん棟数が多いほどリスクヘッジになるという考え方もありますが、本業を抱えている皆さんにとって、物件数と投資額の兼ね合いも考える必要があります。

 

曽我 ゆみこ
化粧品会社経営
投資家

サザエさんの街「世田谷・桜新町」20年後も有望視されるワケ

かつて「東京の軽井沢」といわれた成熟した街

「桜新町」は東京都世田谷区の中央部に位置する、東急電鉄田園都市線の駅です。

 

この街を有名したのは、いまなお国民的アニメといわれる『サザエさん』。原作者の長谷川町子さんが昭和時代の初期、この街に住んでいたことから、1985年に「長谷川町子美術館」が開館すると、キャラクターの銅像が設置されたり、サザエさんのオリジナルグッズを販売したりと、街をあげてサザエさん推しで地域活性化が図られました。駅から美術館まで続く桜新町商店街は、通称「サザエさん通り」。道中にあるセブンイレブンは、もともと酒屋で、『サザエさん』に登場する「三河屋さん」のモデルといわれています。

 

もともとこのエリアは、東京信託株式会社(現:日本不動産)によって計画住宅地として開発された歴史ある街。当時は「東京の軽井沢」といわれ、人気を集めたといいます。当時の面影をみせるのが、駅の南側エリア。かつての計画住宅地で、エリアのなかでは古い住宅地が広がります。

 

一方で、駅北側は比較的新しく開発されたエリアで、道幅も比較的広く、整然とした街並みが広がります。駅周辺には商店街のほか、スーパーやドラッグストア、ファストフード店やカフェなどの飲食店が程よく集積。日常のものならすべてが揃う、利便性を兼ね備えた街です。

 

また駅から徒歩20分弱のところには、数々の馬事関連の施設が揃い、東京五輪の競技場のひとつにもなっている馬事公苑があります。ほかにもバードウォッチングが楽しめるとファンの間で人気の「武蔵野自然林」などもあり、休日もゆったりと過ごせるスポットも。

 

成熟した住宅地、人情味あふれる商店街、そして緑豊かな公園。桜新町は、バランスのとれた住環境で、世代問わず、支持されている街です。

 

桜新町駅(北口)/PIXTA
桜新町駅(北口)/PIXTA

 

■東京メトロ半蔵門線直通で都心にダイレクトにアクセス

「桜新町」から「渋谷」へは、東急田園都市線で10分。「渋谷」ではJRや東京メトロ副都心線や銀座線に乗り換えて多方面にアクセスできるほか、半蔵門線直通で「表参道」や「永田町」「大手町」など、都心の主要エリアにも乗り換えなしでリーチすることができます。

 

利用できる鉄道路線は1本ですが、そのほか、バスで目黒方面や成城学園方面にアクセスできます。

平均家賃、不動産価格は平均値を上回る

■桜新町の人口構造

国勢調査を中心に、桜新町エリアの人口構造をみていきます。

 

「桜新町」のある世田谷区の人口は90万人強。東京都の中で最も人口の多い自治体です。世代別でみてみると、都や23区平均よりも、15歳未満人口、高齢者人口が低かったりしますが、際立った違いはみられず、東京都の平均値に似た構造をしています(図表1)。一方で「桜新町」周辺も、世田谷区の平均と似たような構造をしています。桜新町エリアを歩けば、平均的な東京の姿がみられます。

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表1]「桜新町」周辺の人口動態出所:平成27年「国勢調査」より

 

世帯の状況をみていくと、単身者の割合は23区も世田谷区も「桜新町」周辺も似たような状況で、2世帯に1世帯は単身者世帯という状況。一方で、単身の高齢者世帯に焦点をあてると、世田谷区は東京都や23区平均よりも3%近く低く、また「桜新町」周辺ではさらにその割合は下がります。いわゆる独居老人の少ないエリアだといえるでしょう(図表2)

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表2]「桜新町」周辺の世帯の状況出所:平成27年「国勢調査」より

 

持ち家率は、23区平均と比べて、4ポイント近く高く、2世帯に1世帯は持ち家というエリア(図表3)。またそれに関係するように、5年定着率も、駅近の利便性から「桜新町」周辺では若干低下するものの、世田谷区では5割ほどとなっています(図表4)

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表3]「桜新町」周辺の5年定着率出所:平成27年「国勢調査」より
出所:平成27年「国勢調査」より
[図表4]「桜新町」周辺の5年定着率出所:平成27年「国勢調査」より

 

 

■不動産マーケットの状況

桜新町エリアの家賃相場をみていきます。駅徒歩10分の1Kの平均家賃は7.43万円、11分を超えると6.34万円。駅近のエリアでは世田谷区の平均を4,000円近く上回っていますが、駅から離れると区の平均値に近づいていきます。「桜新町」周辺の駅距離による家賃下落率は区平均を下回る85.33%。エリア選定がより重要視されるエリアだといえます(図表5)

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(9月10日時点)
[図表5]「桜新町」駅周辺の1K平均家賃出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(9月10日時点)

 

1平米当たりの中古マンションの取引金額をみていくと、世田谷区は東京と平均を上回る81万円/㎡。さらに「桜新町」周辺は、都平均を10万円近く上回る、84万円/㎡で、平均よりも資産価値が高いと評価されていることがわかります(図表6)

 

出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
[図表6]「桜新町」周辺の中古マンションの取引金額出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成

 

過去5年間の中古マンションの取引件数をみていくと、季節により変動はあるものの平均13件程度の取引きが行われています。またコロナ禍の影響下でも2020年第1四半期は15件と、過去5年の平均値を上回る取引きがされています。いまのところ、コロナ禍の影響をさほど受けていないマーケットだといえそうです(図表7)

 

出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
[図表7]「桜新町」周辺における、中古マンションの取引数の推移出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成

安定的に人口は増加、自然災害リスクも少ない

■将来人口と災害リスク

不動産投資において、人口は重要なファクターとなりますが、日本は現在、人口減少期で東京も例外ではありません。今後、不動産投資において、エリア選定がより重要になります。

 

山手線外のエリアでは、23区内でもあっても人口減が予測されるエリアもみられるようになりますが、「桜新町」周辺はどうでしょうか。黄色~橙で10%以上、緑~黄緑0~10%の人口増加率を表し、青系色で人口減少を示すメッシュ分析でみていくと、桜新町エリアでは、緩やかながら安定した人口増加率を示す黄緑の色が目立ち、今後の不動産投資においても盤石であると考えられるでしょう(図表8)

 

出所:地域経済分析システム、国土交通省「メッシュ別将来人口推計(平成30年推計)」
[図表8]2015年~2040年「桜新町」エリアの人口増減率出所:地域経済分析システム、国土交通省「メッシュ別将来人口推計(平成30年推計)」

 

一方で不動産投資に大きな影響を与える、災害リスクはどうでしょうか。東京都による「地震に関する地域危険度測定調査」では、東京の地盤を12種類に分類し、地震の際にどのような被害が出るのかを町丁別に評価していますが、桜新町エリアは、形成された年代が古く、洪積層を中心とした地盤である「台地1」に分類され、揺れにくい地盤といわれています。各評価項目でも評価は「1~2」、総合評価も「1~2」と、東京都では地震には強いエリアだといえそうです(図表9)

 

出所:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」より ※地震に対するリスクを1~5の5段階で評価。数字が小さいほどリスクも小さくなる
[図表9]「桜新町」周辺の地震リスク出所:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」より
※地震に対するリスクを1~5の5段階で評価。数字が小さいほどリスクも小さくなる

 

また世田谷区による「洪水・内水氾濫ハザードマップ」を確認すると、大雨の際にエリアの一部に内水氾濫の危険性があるものの、おおむね、水害リスクにも強いエリアだといえそうです。

 

■まとめ

アニメ『サザエさん』のイメージが強い「桜新町」は、成熟した住宅地と比較的新しい住宅地が混在するエリア。日常に困らない程度に商業が集積し、緑も近いという住環境で、世代問わず住みやすい環境が魅力です。

 

多くの項目で東京都、23区平均と同等の値を示す一方で、住環境の良さから家賃や不動産価格は平均を上回り、資産価値の高さがうかがえます。

 

また地震や水害のリスクも低いので、投資家にとっても安心して投資を検討できるエリアだといえそうです。

住宅ローン額に焦った末…「腐動産」投資した45歳パパの末路

成功する人がいる一方、失敗する人もいる

資産運用の手段として不動産投資は株式やFXに比べてローリスクだといわれています。確かに不動産投資によって、経済的自立を成し得てアーリーリタイアを実現した人、本業以外にもう一つの収入源を確立した人などの成功者は少なからずいます。

 

しかし一方で、失敗により人生が狂ってしまった人も多数いるという現実を知っておかなければなりません。いくら不動産投資がローリスクとはいえ、それはきちんとした投資判断がなされた物件を購入した場合の話であり、間違った購入の仕方をすればそれはハイリスクに豹変するわけです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ローリスクという言葉に惑わされ、安易にはじめてしまう初心者の方ほど失敗するといってもいいでしょう。いくつか実際にあった失敗例を紹介します。

 

【事例1】Aさん 40歳 会社員(メーカー勤務) 独身 京都府在住

 

Aさんは京都府内の大手メーカーに勤めるサラリーマンです。同僚の勧めで、6年前から不動産投資をはじめました。

 

Aさんの同僚はすでに首都圏に3室の新築区分マンションを保有しており、節税ができることや不労所得を得ていること、ローンが終われば資産として手元に残り、将来の年金代わりになる、などのメリットをAさんに話していました。

 

何か安定的な資産運用ができないかと考えていたAさんは、同僚の話を聞いてすぐに乗り気になり、しばらくして同僚から不動産販売会社の営業マンを紹介されたそうです。

 

「自己資金をほとんど使わず、月々わずかの費用負担で投資ができます。さらに部屋は売主である不動産会社が借り上げて家賃保証するので、毎月安定的に家賃が入ってきますので安心です」との説明を受けたAさんは、新築区分マンションを購入することにしました。

「将来の年金を確保できます」信じていたら事件が…

実際に購入してみると、毎月1万円近く手出しが発生する状態でしたが、その営業マンからは「今から毎月少しずつ負担することで将来の年金を確保できますし、確定申告すれば所得税・住民税の一部が戻ってきますので安心してください」と説明を受けていました。1年目は不動産所得が赤字となりましたが、給与所得との損益通算で税金還付がありました。

 

その後、すぐに追加で1室購入することになったのですが、1室目の購入から3年が経過したころ、ある事件が起きました。

 

家賃保証の契約を更新するにあたり、不動産会社から賃料相場の下落に伴い、保証家賃の金額を10%下げてほしいと連絡が入ったのです。それを聞いたAさんは困惑しましたが、「もし条件に納得がいかなければ契約を終了してもよい」といわれ、しぶしぶその条件で契約更新することにしました。もう1室についても同様に保証家賃減額の話が入り、すべて承諾することにしたそうです。

 

さらに、同時期に今度はマンション全体の管理費・修繕積立金の値上げの話も出てきました。当初から保証家賃からローンの返済費・管理費・修繕積立金を引くと、1室あたり毎月1万円程度の手出しがありましたが、これらの条件をのんだ結果、今ではトータル4万円となっています。

 

大手企業に勤務しているAさんは何とか支払いを続けられていますが、これ以上物件を保有してもメリットはないと考え、現在は2室とも売りに出しています。しかし、売値はローンの残債よりも低い査定しか付かず、足りない部分は貯金から一括返済しなければいけない状況で、売るに売れない状態です。最初に購入した物件の2回目の家賃保証の更新時期を迎えるAさんは、早く物件の買い手が現れるのを待ち望んでいます。

 

【事例2】Bさん 45歳 地方公務員 既婚(奥様、お子様2人) 大阪市在住

 

Bさんには大学進学を控えるお子様が二人います。住宅ローン(借入3,500万円)を抱え、ただでさえお金にゆとりがあると感じていないなかで、教育費の負担が重くのしかかることに頭を抱えていました。収入を増やすために副業をやろうにも、公務員という立場もあり、諦めていました。

「年収300万円から年収2,000万円へ!」甘い言葉に…

そんななか、ネットサーフィンをしていたところ不動産投資を勧める記事を見る機会がありました。「年収300万円から年収2,000万円へ。経済的安定を手に入れました!」という、成功体験を交えた広告を見て、Bさんも自分でもできるかなと考えるようになり、不動産会社が主催するセミナーに参加することにしました。

 

セミナーでは、不動産投資は立地で決まるということが強調され、さらに利回りを求めるなら中古の区分マンションがよいという趣旨の内容でした。また、中古区分なら投資金額も1棟物件に比べ少額で済むのでリスクが小さいというのもセールスポイントでした。

 

セミナー終了後には個別の相談会がセットで用意され、そこでBさんは大阪市内で金額1,500万円の中古区分マンションの提案を受けます。営業マンからは「投資の鉄則は、小さくはじめて大きく育てるのです。まずは中古区分マンションからはじめて、経験を積んでから規模を大きくしたいなら1棟物件に移行したらいいですよ」と教えられ、まずは1戸を購入することにしました。

 

家賃が口座に入ってきたときには不動産オーナーになった実感がわき、うれしく感じたそうです。その後、その不動産会社から追加の物件紹介があり同規模の物件を2戸追加で購入しました。総投資額は4,500万円を超え、購入資金は全額融資を受けました(フルローン)。

 

家賃収入から借入返済、管理費・修繕積立金・賃貸管理会社に支払う手数料を引くと、3戸合わせて月々2万円台となりました。固定資産税・都市計画税は年4回の支払いがあるため、通年では20万円弱の手残りとなります(所得税・住民税控除前)。

 

Bさんとしては、これでは今後の教育費の足しにもできないと感じ、再度の購入を試みますが、その不動産会社からは、「融資の枠がいっぱいとなり追加の購入はもうできません」と伝えられました。当初の話では、賃貸経営の実績を積めば1棟物件を購入できると聞いていたので話が違うと感じました。

退去続出の悲劇が…「不安で寝られない」の末路

他の不動産会社数社にも回りましたが、そこでの回答は高金利の某地方銀行の融資を利用すれば追加で1億円程度は購入できますよと、物件を紹介されましたが、4%以上の金利に対し物件の利回りが低く、投資に踏み切ることができませんでした。

 

そして、追加の投資ができないなかで、購入していた区分マンション2戸で退去が立て続けに発生しました。3カ月以内にすべて入居が決まりましたが、その間は毎月10万円以上の手出しがあり、不安で寝られなかったそうです。Bさんは今でもまた空室が出ることに不安を抱きながら、追加の投資もできない状態が続いています。

 

※本記事は2018年3月刊行の書籍『改訂版 はじめての不動産投資成功の法則』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、ご了承ください。

不動産投資、知っておくべき成功させるためのポイント

不動産投資は賃貸業であり賃貸経営

不動産投資
(画像=PIXTA)

不動産投資にはその対象物として、「区分マンション」や「一棟モノのアパート・マンション」といったものから、商業ビルやオフィスビル、ホテルや民泊医療・介護施設、物流倉庫等、様々な需要に対応するものがあります。

どれも建物を他人に貸し、その賃料を得ることを生業とするわけで、その基本は「不動産賃貸業」と言えます。

大家の資格

不動産賃貸業は他人にモノを貸すので、そこに貸し借りの契約行為が存在します。

不動産を持っているオーナー側は、建物のメンテナンスや修繕、家賃の滞納や未払い金の回収など、様々な事象に対応することになります。つまり、不動産投資は「投資」という名称がついていながら、基本は「大家業」あるいは「賃貸業」であることを認識しないといけないのです。

いわゆる大家業を専業で行える人は、基本的には不動産賃貸業を熟知していることや時間的な余裕が求められます。したがって、建物の貸し借り以外に何をしなければいけないのかをよく知っていて、それに対応できる時間がなければ大家業を勤めるのは難しいことです。

例えば、物件を持っていても空室では当然、家賃収入は入ってこないため、入居者探しにマーケティングやプロモーションをしなければなりません。入居者が見つかれば、その契約の手続きと共に入居前の準備、実際に家賃収入が入ってきたら、後々、収支計算をすることになります。物件の管理や、設備のチェック、入居者からのクレームの連絡があればすぐに対応を迫られます。空室リスクは常にあるので情報を収集し、賃貸経営の知識はもちろん、トレンドを随時チェックし、人脈作りも大切です。自分ではできない仕事は業務委託するにしても、リフォーム関連業者や税理士や弁護士とのやりとりをするには、それぞれの担当者と対等に話し合える知識が求められるのです。


不動産投資の曲がり角で、どうする? ーー損切りするか、保有すし続けるか。
不動産投資の曲がり角で、どうする? ーー損切りするか、保有すし続けるか。
(画像=不動産投資の曲がり角で、どうする? ーー損切りするか、保有すし続けるか。)

「本業が別にあって時間がない」あるいは「大家業の内実についてよく知らない」など、不動産投資での大家業を専業することが難しい人は、その仕事を肩代わりしてもらう必要があります。

それが、いわゆる不動産賃貸の管理業を行っている業者で、委託するという行為が発生するわけです。

とくに、サラリーマンが不動産投資を行うと、大家業ができない人が大半ですから不動産賃貸の管理委託をしてもらうことになります。

その場合は、相場として家賃の5%程度を管理委託料として支払い、タスクを肩代わりしてもらいます。それ以外の仕事は自分で行う必要があります。

すべての管理を委託するサブリースならば、家賃の10%前後を管理委託料も含めたサブリース料として支払うことになり、自分の手取りが減ります。ローンを組んで家賃収入を返済に見込んで物件を購入しているなら、こうした管理委託に関する手数料も長期的な収益を考えていくうえで考慮すべき点です。大家業の内実をほとんど知らず、「何もしなくても、たとえ空室になってもきちんと収入が入ってくるのでお勧めですよ」と言われるがまま言い値の管理委託料を払ってしまうと、赤字が一向に減らない賃貸経営の状況に陥ってしまいます。

そもそも不動産投資とは、どんなスキームなのか

不動産投資
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

それでは、不動産投資とは、どのようなスキームとなっているのでしょうか。その仕組みについて、一般的なものを簡単にご説明しましょう。

スキーム

不動産投資は、不動産を貸し出して家賃収入を得るという単純なスキームです。

その手順は次のようなものです。

  1. 不動産(一棟アパート・マンションや区分マンションなど)を購入する(金融機関でローンを組む=他人資本を活用する)
  2. 賃貸物件として貸し出す
  3. 家賃収入を得る(インカムゲインを得る)
  4. 家賃収入でローンを返済する(だから家計には響かない)
  5. 売却する(キャピタルゲインを得る)

どの不動産投資会社のパンフレットを見ても、おおよそ似たような説明がなされています。

「不動産投資とは、他人資本(銀行ローン)を利用して、家賃収入(インカムゲイン)をローン返済に充て、資産を構築する投資である」といった具合です。

「年金代わり」または「ローンでキャッシュフロー極大化」

そして、2つの方針をアピールします。

ひとつは、「購入した不動産を持ち続け、ローンを完済後に丸々入ってくる家賃収入を年金代わりにする」というもの。これは、区分マンションのセールストークでよく見られるものです。

もうひとつは、「一棟マンションを購入し、キャッシュフローを極大化して次々に別の一棟マンションを買い進めていく」というもの。いわゆるレバレッジを効かせた投資ができるということで、ローンを組めるだけ組むやり方です。

生命保険代わり

物件の購入でローンを組む際には「団体信用生命保険」に加入することが推奨されます。団体信用生命保険とは、住宅ローンを契約している人がローン返済中に死亡、あるいは働けないほどの重度の障害を負った際、ローンの残りを代わりに払ってくれる住宅ローン専用の生命保険のこと。それに加入しておけば、生命保険としての機能があると謳われています。

このように、不動産投資会社のパンフレットには「節税効果」「生命保険代わり」「年金代わり」「資産をたくさん持てる」といった言葉が並んでいます。それによって、将来への不安や期待に対してソリューションを打ち出しているかのようなイメージが描かれているのです。以前までは、「キャピタルゲイン(売却益)」という言葉も共に並んでいましたが、それを強調する不動産投資会社は少なくなりました。今は、物件価格そのものが高騰している時代のため、売却益が発生しにくい現状を踏まえて、どこも安請け合いできないようです。

成功ポイント

「不動産投資を成功させるためのポイント」としては、

不動産投資の曲がり角で、どうする? ーー損切りするか、保有すし続けるか。
(画像=不動産投資の曲がり角で、どうする? ーー損切りするか、保有すし続けるか。)

などが、重要であると解説されています。

パンフレットや不動産投資の本などでは、次の点がおしなべて強調されています。

  • 空前の低金利時代にあっては、お金を借りる方が有利
  • 自己資金は必要ない。フルローンを最長期間で組むのがいい
  • 不動産投資は実物投資なので、ローリスク・ミドルリターンである
  • 時間のないサラリーマンには適した投資である

とくに、資金のない20代~30代をターゲットにした場合、必然的にこのようなことが強調されるのだと思います。

パンフレットを見てみると、資金がなくてもローンを組んで「ローリスク・ミドルリターン」で運営していく投資商品であるイメージが強調されていることがよくわかります。

一見すると株や投資信託といった投資商品と並ぶ投資商品に見えますが、そこに大きな落とし穴があるのです。

不動産投資の曲がり角で、どうする? ーー損切りするか、保有し続けるか。
寺岡 孝
1960年東京都生まれ。アネシスプランニング株式会社代表取締役。住宅コンサルタント。住宅セカンドオピニオン。大手ハウスメーカーに勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入・売却などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、これまでに2000件以上の相談を受けている。東洋経済オンライン、ZUU online、スマイスター、楽待などのWEBメディアに住宅、ローン、不動産投資についてのコラム等を多数寄稿。著書に『不動産投資は出口戦略が9割』『学校では教えてくれない! 一生役立つ「お金と住まい」の話』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

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首都直下地震で液状化?「港区・台場」投資エリアとしての価値

空き地が広がっていた埋立地が、20年で人気観光地に

「台場」は東京都港区の南部、東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)が走るエリアです。「新橋」を出発し、レインボーブリッジを渡ったゆりかもめは、「お台場海浜公園」駅を経て「台場」へ。ここまでが港区で、以降は江東区内を走ります。また台場エリアのもうひとつの玄関口である東京臨海高速鉄道りんかい線「東京テレポート」駅は、首都高速を跨いだ江東区側に立地します。

台場は江戸幕府がペリーに脅威を感じ、東京湾に建設した海上砲台。ペリーは2度目の来航の際、この砲台をみて、横浜まで引き返したといわれています。10程度あった砲台は、埋立地に埋没して消滅したり、船舶の往来に邪魔だからと撤去されたりして、現在は第三台場と第六台場だけが残っています。

 

現在、多くの施設が建つ台場エリアですが、最初に建った大規模なものは、1974年、品川区東八潮に開館した「船の科学館」。その後、台場エリアの13号埋立地の埋め立てが完了し、北部は港区、西部は品川区、南部は江東区になりました。

 

東京都は、一帯を臨海副都心に指定し、企業を誘致したり、世界都市博覧会を構想したりと開発を進めます。しかしバブル崩壊などを受けて、世界都市博覧会は中止となり、企業誘致の多くも白紙に。しばらく台場エリアは、空き地だけが広がる場所でした。

 

しかし、1997年にフジテレビが新宿区河田町から移転してくると、テレビドラマの効果などもあり知名度が徐々にアップ。1996年「デックス東京ビーチ」、2000年「アクアシティお台場」とレジャースポットも併設する大型商業施設のほか、大規模ホテルが誕生すると、観光地として注目されるように。2002年のりんかい線の全線開通により交通の利便性も向上すると、オフィスや商業施設のほか、居住施設も次々と誕生していきます。

 

首都高を超えた江東区側にも「パレットタウン」、「ダイバーシティ東京」、「大江戸温泉物語」など、人気スポットが続々と登場。このコロナ禍で少なくなっていますが、台場エリアは20年足らずで、多くの外国人観光客も来街する、東京有数の観光地へと成長しました。

居住施設やエリアが絞られる、限定的なマーケット

■2路線利用できる立地…観光客が多く、電車は混雑

台場はお互い接続はしていませんが、ゆりかもめと東京臨海高速鉄道りんかい線が利用できるエリアです。ゆりかもめで「新橋」までは14分ほど。りんかい線を利用すれば、「大井町」には7分、山手線と接続する「大崎」には11分ほど。大崎から埼京線に直通する電車であれば、「渋谷」20分、「新宿」25分と、乗り換えなしにアプローチできます。

海を隔てた観光地、というイメージが強い台場ですが、都心や山手線の西側エリアに乗り換えなしにアクセスできるなど、交通手段はしっかりと確保されています。しかし埼京線直通のりんかい線は本数が少なかったり、観光客で電車が混雑していたりと、ストレスを感じる場面が多いかもしれません。

 

■台場の人口構造

国勢調査を中心に、台場地区の人口構造を分析していきます。

 

台場のある港区の人口は24万人強で、台場にはそのうち2%強の5,000人ほどの人が住んでいます。観光地的要素が強く、また居住施設も限られているため、人口そのものも多くありません。

 

居住施設の多くがファミリーをターゲットにしたもの。もともと港区は生産労働人口が多く高齢者が少ない自治体ですが、台場の若年層の割合は区の平均を大きく上回る17%強。東京都のなかでも若さあふれるエリアです(図表1)

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表1]「台場」周辺の人口動態出所:平成27年「国勢調査」より

 

世帯の状況をみていきます。単身者世帯の割合は、23区平均が50%程度ですが、台場エリアは30%弱。20ポイント近くも下回ります。高齢単身者率も23区平均の四分の一程度で、台場エリアがいかにファミリー層主体の地域であることがわかります(図表2)

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表2]「台場」周辺の世帯の状況出所:平成27年「国勢調査」より

 

住民の多くは賃貸で、持ち家比率は20%以下。23区平均を30ポイント近く上回る、賃貸主体のエリアです(図表3)。特に「公営・都市再生機構・公社の借家」が目立ち、民間の賃貸物件はかなり限られます。5年定着率は23区平均よりも大幅に低く35%強。この結果も、賃貸率の高さからくるものだと考えられます(図表4)

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表3]「台場」周辺の持ち家、貸家比率出所:平成27年「国勢調査」より
出所:平成27年「国勢調査」より
[図表4]「台場」周辺の5年定着率出所:平成27年「国勢調査」より

 

■不動産マーケットの状況

台場の家賃相場をみていきます。前出の通り、台場エリアはファミリー向けの物件が主体で、単身者用の物件はほぼゼロです。そこで1LDKに注目して家賃相場をみていくと、駅徒歩10分以内で20万円超え。港区の平均は下回るものの、都内でも家賃水準の高いエリアです。また居住施設のあるエリアは限られ、駅徒歩10分を超える物件はほとんどありません(図表5)

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(9月7日時点)
[図表5]「台場」駅周辺の1LDK平均家賃出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(9月7日時点)

 

中古マンションの取引価格をみていくと、港区の平均は23区平均を50万円以上も上回り、都内でも不動産価格の高いエリアです。それから比べるとお台場エリアはリーズナブルですが、23区平均を10万円以上も上回っています(図表6)

 

出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
[図表6]「台場」周辺の中古マンションの取引金額出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成

 

また過去5年の中古マンションの取引数をみていくと、物件そのものが限られているため、取引件数自体多くなく、四半期に2~4戸程度が安定的に取引されてきました。2020年第1四半期の取引件数はゼロ。これはコロナ禍の影響と考えられ、今後、回復するかが焦点となります(図表7)

安定的に人口増加、地震リスクも低いが…

■将来人口と災害リスク

不動産投資において、人口は重要なファクターとなりますが、日本は現在、人口減少期で東京も例外ではありません。今後、不動産投資において、エリア選定がより重要になります。

そのようななか、台場エリアは居住施設やエリアが限られていますが、安定した人口増加が予測されている街です。黄色~橙で10%以上、緑~黄緑0~10%の人口増加率を表し、青系色で人口減少を示すメッシュ分析でみていくと、高い人口増加率を占める赤色が目立ち、23区のなかでも人口流入が続くと予測されています(図表8)

 

出所:地域経済分析システム、国土交通省「メッシュ別将来人口推計(平成30年推計)」
[図表8]2015年~2040年「台場」エリアの人口増減率出所:地域経済分析システム、国土交通省「メッシュ別将来人口推計(平成30年推計)」

 

物件が限られるとはいえ、人口増加が予測されている台場エリア。しかし海に囲まれた埋立地という立地のため、災害リスクが気になります。

 

東京都による「地震に関する地域危険度測定調査」では、東京の地盤を12種類に分類し、地震の際にどのような被害が出るのかを町丁別に評価していますが、台場エリアは沖積低地の中でも台地よりの地域で、地震の際も被害の少ない「沖積低地2」に分類。各評価項目でもリスクの少ない「1」の評価で、地震リスクは低いエリアだといえます(図表9)

 

出所:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」より ※地震に対するリスクを1~5の5段階で評価。数字が小さいほどリスクも小さくなる
[図表9]「台場」周辺の地震リスク出所:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」より
※地震に対するリスクを1~5の5段階で評価。数字が小さいほどリスクも小さくなる

 

また港区のハザードマップを確認しても、地震の際の津波、大雨の際の浸水の被害も想定されていません。しかし不安視されるのは、地震の際の液状化。首都直下型地震の際、お台場エリアは「液状化の可能性が高いエリア」に分類され、また海溝型の大地震でも同様の評価がされています。

 

■まとめ

台場は、近年、急速に観光地として発展する一方、「商・職・住」が一体化したエリアとして評価されています。

 

物件数や居住エリアは限られていて、限定的なマーケットではありますが、今後も人口増加が予測され、物件が所有できれば安定的な不動産経営が期待できるエリアです。

 

一方でコロナ禍によって観光客は大きく減少。人口の推移予測も変化する可能性があるので、注視する必要があるでしょう。

自民党総裁選の行方と日本株式市場への影響

来る自民党総裁選…日本株式市場にはどんな影響が?

社内外の投資のプロをお招きし、今のマーケットを語り合うという番組、Pictet
Market Lounge。第20回はピクテ投信投資顧問株式会社 運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト、糸島 孝俊氏との対談です。


萩野:ピクテ・マーケットラウンジへようこそ。本日は弊社のストラテジスト、糸島との対談です。

 

糸島:よろしくお願いします。

 

萩野:今回のトピックは、なんといっても自民党総裁選挙ですね。告知は9月8日ですよね。

 

糸島:そうですね、8日告知で、選出されるのは14日とのことです。候補はご存じの通り、菅さん、岸田さん、石破さんの3名です。ですが、思い切って言ってしまうと…といってもまあ当然ですが、99%、菅さんで決まりかなと思います。

 

萩野:うん。

 

糸島:今回、最大派閥の細田派、麻生派、竹下派、そのあとに、二階派、石原派…というように、ほぼすべての派閥が支持したわけですけれども、最初に二階派が動いたということが大きくて…

一見さんお断り? コンサル料で数百万? 不動産投資の闇に絶句

莫大なコンサル料は払えない…とはいえ専門家が必要

【経営者・Aさんの事例 ~どうやって私は優良物件に出会ったか~】

 

都心から1時間ほど離れた街で、約50人の従業員を抱えるサービス業の経営に携わるAさん。40歳を目前にして子どもができたこともあり、将来の先行きが不安になりました。

 

「現在、私自身の収入は月80万円ほどあります。ボーナスを含めるとだいたい年収1000万〜1200万円です。平均年収に比べれば多いかもしれませんが、私たちのような中小企業は、ちょっとしたことでも業績はがくんと落ち込みます。大企業の給与所得1000万円と違って、先行きが明るいとは言い切れません」

 

そうしたなか、持っている資産を活用し、本業とはまったく別の収入源を確保しようと考え、Aさんはビジネス書を読み漁ったそうです。

 

「半年で50冊以上、年ベースでいうと100冊以上のビジネス書を読みました。不動産投資を筆頭に、化粧品販売業、コインランドリー経営、コンテナ倉庫の運営、飲食店、移動販売など、業種をあまり絞らずに、手当たり次第に学んでいきました」

 

たくさんの書籍を読むうちに、不動産投資に芽があると感じたAさんは、不動産投資セミナーや勉強会に通い始めます。なるべく古い中古物件を購入し、リノベーションをして客付けをしていく方法、都心部の区分マンションを自分でリフォームして転売する方法などがあるなか、Wゲインシートを用いた私(著者:曽我ゆみこ氏)の不動産投資法を見つけたそうです。

 

「中古物件の市場は、過熱気味だと思っていたので、とにかくスピードを重視しようと考えました。そこからはビジネス書を読む時間をゼロにして、不動産情報を探し続けました」

 

インターネットを中心に、不動産情報を手当たり次第に探していったAさん。しかし、なかなか数字の合う物件にはたどり着けなかったようです。

 

「考えてみれば、そんなにすぐに見つかるはずがないんです。条件のいい物件なら、オーナーは売りたいと思いませんし、たとえ何らかの事情で売りに出されたとしても、すぐに百戦錬磨の不動産投資家が手を挙げるでしょうから」

 

Aさんはしばらくして、考え方を改めました。

 

「時間があればじっくりと自分で考えながらやって、実績を積み上げていくこともできるかもしれない。でも、不動産投資はそうではない。どう考えても、じっくりとやっていたら、いつまでも初めの一歩を踏み出せない。それならば、情報を持っている人の協力を仰いだほうが早いはずだ」

 

そして、Aさんは物件探しに長けている人を頼り、「優良物件を紹介してほしい」とお願いしたそうです。そこには次のような狙いがあったともいいます。

 

「会社の経営もそうなのですが、自分がやるべき仕事と、誰かに任せる仕事というのがあります。その意味で、自分が素人なりに、時間をかけて物件探しをするよりも、物件探しに長けている人にお願いをしたほうが、時間にレバレッジをかけられる。そう考えました」

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

もちろんAさん自身で、不動産販売会社に行き、物件を紹介してもらったこともありました。銀行にも行き、具体的な融資の話をしたこともありました。しかし、「一見(いちげん)のお客さんはなかなか相手にされないと感じました」とAさんが語るとおり、うまくいきませんでした。Aさんは続けます。

 

「一人だけではなく、不動産投資のお手伝いをしてくれる方は複数人にお会いしました。ある人からはコンサル料として数百万円がかかると言われ、それは無理だとお断りしました。実際に購入させてもらったところは、成果報酬というかたちでしたし、良心的な値段だったので、お願いすることになりました」

投資界隈でも一見さん不利…初心者の勝機は

曽我ゆみこ著『経営者ための初めての不動産投資戦略』(プレジデント社)
曽我ゆみこ著『経営者ための初めての不動産投資戦略』(プレジデント社)

初めにAさんが紹介されたのは、不動産販売会社が売り主の一棟RCマンション。その方が懇意にしていた不動産販売会社のつながりで、物件情報を市場にオープンする1週間前に話がきたものだといいます。Wゲインシートに実際に数字を入れてみたところ、OKでした。

 

「これでいこうと、すぐに銀行の審査に移りました」とAさん。融資審査に入りましたが、初めてということもあり、金融機関の担当者との手続きで時間がかかり、物件情報がオープンになってから動きだした別の投資家に取られてしまったそうです。

 

「本当にタッチの差でした。『別の買い手に決まってしまいました』という連絡を頂いた次の日に、銀行から『審査が通りました』と報告があって……」

 

Aさんの分析では、その投資家は、金利が高いけれど、迅速に審査が終わるノンバンク系だったのではないかと考えています。

 

「売り手の不動産販売会社も、『◯◯さんの知り合いなら』ということで、2〜3日は〝待った〟をかけてくれていたのですが、それでも勝てませんでした。そのときに、やはり一見さんでは立ち行かないと確信しました」

 

Aさんは引き続き、同じ人にお願いしました。数カ月後、次の物件を紹介されたそうですが、今回は金融機関の担当者にも「迅速に手続きをお願いします」と念押しをしたと語ります。その結果、購入することができました。

 

「その物件の減価償却は22年だったので、20年や25年返済でもいいと考えていたのですが、キャッシュフローを残すために融資期間を30年に設定しました。物件の場所は横浜市です。私が住んでいるエリアではないのですが、東京、千葉、埼玉、神奈川の都心に近い場所なら問題ないと考えていたので、心配はしていません。頭金は物件価格の10%にしました」

 

ちなみに、キャッシュフローを残すという考え方は、今後さらに物件を増やしていく際に有利になるのを睨んでのことだとAさんはいいます。不動産投資という副業を手に入れたことで、2つの効果を身にしみて感じているとAさんは続けます。ひとつ目は、精神的に楽になったということ。Aさんは次のように話します。

 

「本業の先行きがとにかく不安でしたから、こうやって別の収入源が手に入ったことで、すごくストレスが減りました。基本的に経営者といっても、従業員の生活を守らないといけないわけですから、下手なことはできないわけです。冒険ができない。常に何かに縛られてる。でも、不動産投資のほうは、自分のお金で自分の責任でやっていることなので、好きにできる。本業と不動産投資で、うまく心の平静が保てるということです」

 

もうひとつは、視野が広がったということ。

 

「副業というか、複数のほうの複業という意味で、自分の経営者としての視野が広がったとも感じています。やはり、普段の仕事ではいつもと同じ相手と仕事をしているわけです。従業員はもちろん、取引先もそうです。そうなると、『景気が悪い』とか『人が採れない』とか、同じような話をずっと耳にし続けるんです。当然、それではどんどん視野が狭くなっていきます。そのようなときに、全然別の業種の人たちと仕事ができると、『自分はなんて狭い世界に生きていたのか』と気づくことができます。これもすごく大きいですね」

社長自ら草むしり…渾身の経費節減策とは

もちろんAさんは、これまで培った経営者としての経験を、不動産投資でも役立ててもいます。代表的なのが、物件の周りの掃除についてです。管理会社に一任してしまうのではなく、なるべくお金をかけないよう工夫を凝らしています。

 

「たぶん虫がたくさん出るだろうなと思っていたら、案の定多くて、定期的な片付けが必要だということがわかりました。それで、どのくらいの作業量と時間がかかるのかを調べるために、実際に自分で草むしりをして、ストップウォッチで測りました。そのデータをもとに、シルバー人材センターの契約状況を確認して、これくらいの金額と時間だったら、作業してもらえる人が見つかるだろうという目星をつけて、担当者とも打ち合わせを済ませました」

 

普通、こうした視点を最初から持ち合わせている不動産投資家はいません。さすが、経営者は違うなと感じさせられます。

 

 

曽我 ゆみこ

化粧品会社経営

投資家

不動産投資の1軒目、50万円からできる「地方高利回り投資」の注意点とは


不動産投資を始めるにあたって、まずはどのような物件を買うのがよいのでしょうか。自己資金が少ない場合、地方の物件から始めるという選択肢もあります。不動産会社での営業を経験し、自身も不動産投資で成功した黒崎裕之氏による著書『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』(日本実業出版社)より抜粋して紹介します。

まずは自己資金を200万円貯める

最初の物件を買うにあたって、自己資金をどれくらい用意すればいいのでしょうか。これは現金買いでもいいですし、日本政策金融公庫からお金を借りてもいいです。もっともいいのは手元に現金があることですが、資金が用意できない人はカードローンを使ったり、親族に頭を下げて借りたりといった方法はあります。 田舎のいいところは不動産の価格が安いことです。しかも注目する人が少ない。だからこそ、田舎ほどチャンスがあると考えています。私が所有する茨城県の物件は、200万円で買いました。大阪で買っている物件も100万円程度です。100万円くらいなら、かなりの人が自己資金として用意できると思います。あるいは、親族に頭を下げてまわれば貸してもらえる額ではないでしょうか。 このような経験から考えると、用意すべき自己資金は最低100万円として、足りない分を借ります。余裕を見て200万円を用意できればよりいいでしょう。 いずれにしても最初に買う物件は、とにかく安い物件です。自己資金が潤沢でない人は戸建てからスタートするという選択肢になります。資金に余裕が持てるのであれば、小ぶりなアパートからはじめるのもいいでしょう。 最初はスモールスタートが鉄則です。そして1軒目を買うには、現金でも、融資を使って購入するのでも、どちらでもいいと考えます。なぜかといえば、利回り重視で買っていくため、それが20~30%もあれば、金利の負担は大きなものではないからです。 自己資金200万円といいましたが、じつは不動産自体は50万円程度でも流通していますし、100万円の物件もあります。自己資金に関していえば一応200万円あれば安心ですが、それすら用意できない人は50万円程度の物件を買ってはじめることもできるのです。 また、ローンを使うのであれば、日本政策金融公庫や不動産の無担保ローン、そして簡単に借りることはできないかもしれませんが、地方銀行や信用金庫でも借りられます。なかには「ボロボロの物件の築古にお金を貸してくれるのか」と心配になる人もいるでしょう。ですが、建物に価値はなくても、土地の価値は残るので、土地の担保価値を評価しているので借りられるのです。

「修繕スカウター」を発動させる

地方高利回り投資においてもうひとつ大切なのは、修繕の費用はどれくらいかかるのかを自分で判断することです。しかし、これは誰でも簡単に判断ができるわけではありません。人には向き不向きがあります。ここでは「こういう人は不動産投資をやってはいけない」という判断にもかかわるポイントを挙げます。 まず、建物を見た瞬間に修繕費用がいくらかかるかの判断ができない人は、少なくとも、億近い物件をフルローンに近い条件で購入する投資法は危険です。大規模なRC造マンションであればわからないのも仕方ありませんが、対象が木造の戸建てやアパートだったら、ざっくりいくらかかるかを購入前に把握できなくてはいけません。 というのも、安く購入できるアパートや戸建てはだいたいリフォームが必要だからです。 そして、「ここをこう直したらこれくらいかかるかな」という目利きができなければ、リフォーム業者に不当に高い請求をされても気付くことができません。激安物件を購入する人はだまされないと述べましたが、リフォームは別です。小規模物件であろうと、ボッタクリに遭遇するリスクがあります。 そこで、物件を見た瞬間に、ある程度の修繕費用の検討ができなくてはいけません。 私はこれを「修繕スカウター」と呼んでいます。建物のなかに入った瞬間、クロスがいくらでCFがいくらで、トイレがいくらで、キッチンがいくらなど、これがわからないなら、その時点で投資をすると危険です。 もちろん、不動産投資をこれからはじめようという人が「修繕スカウター」を発動させることは難しいと思います。まずは、大家仲間の物件で修繕を学ばせてもらいましょう。 千三の否定をしましたが、ここでも同様です。何も不動産を1000件見る必要はありません。修繕について学べばいいと思います。大家仲間で同じような物件の修繕をしている人がいたら、それをそのままトレースするのが一番です。

アメリカ不動産投資…いま、「戸建」の人気が高まっているワケ

以前は、管理が難しく人気がなかった「戸建」の運用

ご存じの方も多いとは思いますが、REIT(リート)とは、不動産投資信託を指し、不動産投資を行う業者に資金を提供し、利益を配当してもらうという金融商品です。一棟まるごと買う不動産投資などと比べると、より小口でも投資ができるという特徴があります。今回はこのREITの側面からアメリカの不動産投資を見てみましょう。

 

REITにも扱う不動産によって種類があります。アメリカでは、戸建の不動産運用は、1990年代までは敬遠されていました。人気があったのは、マンション・アパートの賃貸運用や学生/シニア向けのアパート運用などでした。

 

戸建の運用が敬遠されていた理由は、その建物の形態によるものでした。物件が1戸1戸散在しているので管理が大変だからです。マンション・アパートなら、ひとつの建物、あるいは複数の建物でも一箇所に何戸も設置されているので管理が容易です。なかでも特定の入居者をターゲットにした運営はやりやすかったため不動産投資として人気があったわけです。

 

とはいえ、戸建の賃貸は、もともと1件あたりの賃料は高く、借り手も比較的収入が安定しているので、家賃の滞納が少ないといったメリットはありました。

「IT技術の進歩」で戸建の管理が楽になった

この戸建運用の事情は、2000年代後半から変わってきます。2008年の金融危機は、資力が十分ではない人達にも融資をして安易に住宅を購入させたサブプライムローンの破綻が発端でした。それ以降、住宅ローンの審査が厳しくなり、以前ほど簡単には家を買うことができなくなったため、持ち家比率が低下していきました。特に若年層が家を買わずに、戸建であっても賃貸を好む傾向が出てきました。

 

一方IT技術が進み、物件が散在していても不動産の管理がしやすくなりました。遠隔操作で鍵を開けたりすることもできるようになったからです。それによってアパートと同じような一括運営が容易になってきました。そうなると戸建住宅のメリットも注目され、ポートフォリオ的に運用されるようになってきました。

 

一括運用が安易になり、戸建に注目が集まるように (画像はイメージです/PIXTA)
一括運用が安易になり、戸建に注目が集まるように
(画像はイメージです/PIXTA)

 

物件管理ソフトウェアの会社で、2004年に設立された『Buildium』社(ボストン)や『AppFolio』(サンタバーバラ)は2012年頃から急成長を遂げています。この流れのなかで、戸建賃貸運用に特化した戸建REITが登場しました。

「アトランタ・ダラス・フォートワース」が狙い目

アメリカの既存の有名なREITで3強と言われるものは、築浅高級アパート中心の『Equity Residential』(時価総額約2.5兆円)、世界最大の物流施設REIT『PROLOGIS』(時価総額約7.2兆円)、世界最大のデータセンターREIT『EQUINIX』(時価総額約6.5兆円)です。

 

新興の戸建REITは、まだそこには及びませんが、『Invitation Homes』や『AMERICAN HOMES』が急成長をしていています。両社とも大手機関投資家が株主となっており、『Invitation Homes』は時価総額が約1.5兆円という規模になっています。

 

この戸建REITは現在のコロナ禍にも強く、3月には一旦大きく値を下げましたが、その後はV字回復を遂げつつあり、7月中旬の時点で、コロナ前の80%くらいまで値を戻しています。もちろんこの先どうなるかはまだ分かりませんが、新型コロナの状況の見通しが明るくなれば一気に値上がりしそうな勢いです。

 

なお、Invitation Homesはジョージア、テキサス、アリゾナに保有棟数が多く、American Homesはジョージア、フロリダ、テキサス、カリフォルニア、アリゾナに保有棟数が多くなっています。両社とも最大市場はアトランタで、またダラス・フォートワース圏も取り扱いが多く、オープンハウスが力を入れているエリアとも少なからず重なります。

戸建REITの人気で物件価格の上昇も期待できる

このように戸建REITは現在人気が高まりつつある金融商品です。オープンハウスで販売しているアメリカ不動産は、日本にいながら現地の物件を直接所有するスタイルであり、REITとは異なりますが、戸建REITが狙っている物件、エリアとは競合する立場にあります。

 

つまり、弊社が扱っているアトランタ周辺、ダラス・フォートワース近郊は人気が高いエリアであり、今後も値上がりが期待できるということは、アメリカで人気の戸建REITの動向からも裏付けられているのです。

 

 

 

株式会社オープンハウス

ウェルス・マネジメント事業部


消滅可能性都市から復活「池袋」投資エリアとして有望か?

「消滅可能性都市」のイメージを払拭するのに躍起に

東京でも有数の繁華街である「池袋」。JR、西武鉄道、東武鉄道、東京メトロの4社が乗り入れるターミナル駅で、JR駅の1日の乗車人数は56万人強。私鉄各線の乗降数は、計150万強です。そんな巨大ターミナルを有する豊島区が、2014年、「消滅可能性都市」のひとつにあげられ、大きな話題になりました。豊島区に物件をもつ不動産オーナーのなかには「すぐに所有物件を売らないと」と焦った人もいるのではないでしょうか。

 

そもそも「消滅可能性都市」とは、増田寛也元総務大臣を座長とする日本創成会議が「2010~2040年にかけて、20~39歳の女性の数が5割以下になる自治体」として定義したもので、少子高齢化に苦しむ地方都市を中心に全国896自治体がピックアップがされました。

 

豊島区が選ばれたのは、「転出入が活発であり、定住率が低い傾向にある」「単身世帯の割合が多く、その半数が若年世代である」という理由から。人口増加率などから考えると、すぐに消滅する危機に瀕しているわけではありませんが、地域イメージとしても悪く、緊急の対策が必要となりました。

 

豊島区の動きは行政には珍しく、非常にスピーディなものでした。すぐに緊急対策会議を開催し、翌2015年には約8,800万円を予算化し対策に乗り出します。さらに2016年には「女性にやさしいまちづくり担当課」を設置し、課長ポストを民間から募集します。このような対応もあり、昨今、池袋を中心とする豊島区は、「子育てしやすい街」として子育て世代の流入が増えています。

 

対策として行われたひとつが、ワンルームマンションの規制です。企業のオフィスや大学の多い豊島区では、単身者向けにワンルームマンションが建つ傾向が強かったのですが、一方で、ワンルームが多いと若年層の定住が進まず、高齢化が進むという悪循環が生まれていました。

 

そこで豊島区では、29平米未満のワンルーム9戸以上の集合住宅を課税対象にしました(対象物件等、5年毎に見直し)。このような施策も功を奏し、豊島区では順調に人口が増えています。

 

また近年、池袋周辺で注目されているのが、大規模な再開発。2015年、南池袋の一角に誕生した「豊島区新庁舎」は、区民の税金を投入せず建てられた全国の初の試みとして、連日マスコミでも話題になりました。そして旧区役所と隣接する豊島公会堂跡地には、個性豊かな8つの劇場空間を有する複合商業施設「ハレザ(Hareza) 池袋」がオープン。さらにテレビドラマ『池袋ウエストゲートパーク』の舞台である「池袋西口公園」は、劇場公園としてリニューアルしました。ほかにも「池袋」駅東口からサンシャインシティまでの約2キロをLRTで結ぶ計画なども検討されています。

 

子育て世代への人気の高まり、再開発による都市の更新など、明るい話題が事欠かない池袋。不動産オーナーからも熱い視線が集まっています。

単身者と高齢者人気が高い「池袋」周辺

そんな「池袋」周辺を、不動産投資の観点からみていきましょう。

まずエリアの人口構造をみていきます。直近の2015年の国勢調査によると(図表1)、豊島区の人口は29万人強。その内訳を見ると、23区平均よりも高齢者比率、そして外国人比率が高いことがわかります。また「池袋」周辺には、区の三分の一の人口が集中。生産年齢人口である15〜64歳と65歳以上の世代が多く、15歳未満の子どもが少ない傾向にあります。

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表1]豊島区、「池袋」周辺の人口動態出所:平成27年「国勢調査」より

 

またエリアの世帯の状況をみてみても(図表2)、駅周辺では単身者層、そして単身の高齢者層が多くなる傾向にあります。「池袋」駅周辺は日本有数の繁華街を形成し、その利便性から、交通利便性を重視する単身者層や高齢者層に好まれ、一方で、子育て世代からは敬遠されがちです。

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表2]豊島区、「池袋」周辺の世帯の状況出所:平成27年「国勢調査」より

 

ただ、近年、再開発が進み、「南池袋公園」など、家族にも人気のスポットが駅周辺にもできています。駅周辺での子育てのしやすさも知られてきているので、世帯の構成は今後大きく変わる可能性があるでしょう。

「池袋」周辺は、不動産取引も活発

賃貸マーケットの状況をみていきます(図表3)。最寄駅からの賃貸物件1Kの平均家賃は、駅10分以内で7.96万円、11分以上が6.57万円。利便性の高さの割に家賃がリーズナブルと人気が高まっていることも頷ける家賃相場です。豊島区の平均と比べ、駅周辺は家賃が高い傾向にありますが、駅から離れると区平均を下回ります。「池袋」周辺では、駅距離に対して家賃の下落率が大きいエリア。駅から離れると築古の物件の比率が高くなり、家賃水準を押し下げていると考えられます。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(9月2日時点)
[図表3]豊島区、「池袋」駅周辺の平均家賃出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(9月2日時点)

 

次に賃貸物件の築年数の分布をみていきましょう(図表4)。豊島区で最も多いのが、1980年代、築年数30〜40年ほどの賃貸物件 。また2011〜2015年でも賃貸物件の建築ブームが起きていて、築10年以内の比較的新しい物件も豊富なエリアだといえます。

 

出所:総務省統計局 平成30年「住宅・土地統計調査」より
[図表4]豊島区における賃貸物件の築年数の分布出所:総務省統計局 平成30年「住宅・土地統計調査」より

 

このような豊島区の中古賃貸物件の取引価格(図表5)は、1平米あたり90万円強。23区平均を15万円ほど上回ります。都内でも有数の繁華街を要する池袋の存在が、取引価格を押し上げていると考えられます。また過去5年間の中古マンションの取引数の推移をみてみると(図表6)、季節によって変動はあるものの、緩やかな上昇トレンドにあり、「池袋」周辺は不動産投資においても安定した人気を誇るエリアだということがわかります。

出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成

[図表5]豊島区における中古マンションの取引金額出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
[図表6]「池袋」周辺における、中古マンションの取引数の推移出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成

顕著な人口増加も、エリア隣接地域で人口減を予測

最後に不動産投資において、重要なファクターとなる、将来人口の予測をみていきます。日本では、人口減少のトレンドに入っていますが、東京においても例外ではありません。そのようななか豊島区では、2015年の総人口を100としたとき、2030年には101.0、2040年は101.5、2045年には100.9と国立社会保障・人口問題研究所は予測。

 

また黄色~橙で10%以上、緑~黄緑0~10%の人口増加率を表し、青系色で人口減少を示すメッシュ分析(図表7)で「池袋」周辺をみていくと、駅周辺は人口増加を示す暖色系の色が広がっています。一方、駅北側や、駅西側のエリア、「要町」駅周辺のエリアでは、人口減少を示す青色系の色が目立ちます。駅から離れると単身者ニーズも小さくなる傾向にあるので、ターゲットを見据えた物件選びがより重要になるエリアだといえるでしょう。

 

出所:RESASより作成
[図表7]2015年~2040年「竹ノ塚」エリアの人口増減率出所:RESASより作成

 

消滅可能性都市にあげられた豊島区の中心である池袋ですが、そのイメージを払拭しようとする行政の素早い対応で、近年、ファミリー層の増加が目立っています。また不動産投資においてメインターゲットになりやすい単身者層からも、その利便性から高い支持を集めているエリアです。

 

実際、不動産の取引価格や取引数からも、現在の人気は明らかで、また今後の人口増加も顕著と予測されているので、不動産オーナーにとっては有力な投資候補となりえるエリアだといえます。ただ駅北側や西口の駅から離れたエリアでは、人口減の予測も出ているので、エリアや物件の選定には、十分な分析と検討が必要です。


中古住宅250万円…3重苦「鳩山ニュータウン」住民の苦悩

住民減少、高齢化、空き家化の「鳩山ニュータウン」

都心居住への流れは、都心の不動産を見事に活性化させることに成功しました。東京中央区の月島や晴海、江東区の東雲や港区の台場に続々建ち上がるタワマンにデベロッパー各社は活路を見出し、不動産価格は高騰していきました。

 

都心に人が戻るということは、都心にあった商業施設の活性化にもつながりました。休日のデパートに人が戻り、新たな需要を見越した物販や飲食店がオープンするなど、「働く人だけ」の街だった東京都心の彩りが大きく変わったのです。郊外住宅の憂鬱都心居住の流れは、これまで都心に通うサラリーマンの牙城であった郊外住宅の価値を著しく損なうものとなりました。

 

住民減少、高齢化、空き家化の三重苦の「鳩山ニュータウン」。(※写真はイメージです/PIXTA)
住民減少、高齢化、空き家化の三重苦の「鳩山ニュータウン」。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

埼玉県比企郡鳩山町。東武東上線「高坂」駅からバスで10分ほどのところに1970年代から90年代にかけて開発、分譲された「鳩山ニュータウン」があります。この街は新日本都市開発(2003年8月に特別清算)が開発した埼玉県を代表するニュータウンです。

 

「高坂」駅から「池袋」駅までは急行で52分。大手町などの都心に出るにはバスや乗り換え時間も含めればドアツゥドアで約1時間半の距離です。

 

鳩山ニュータウンが売り出されたのは、日本経済が急成長を遂げた時代。90年代に売り出されたニュータウン内の松韻坂地区は戸当たり1億円を超える分譲価格が付いたことでも、当時大変な話題になりました。

 

そんな鳩山ニュータウンは、現在どんな状態になっているのでしょうか。鳩山町の人口統計を見るとニュータウンを構成する「松ヶ丘」「楓ヶ丘」「鳩ヶ丘」の3地区の人口は、2000年には9979人であったものが2017年12月では7256人、17年間でなんとその数は27%も減少しています。

 

さらに今後は減少の一途をたどり、2040年には人口は5100人にまで減少する見込みになっています。問題は人口だけでなく、激しく進行する高齢化です。2015年で総人口に占める65歳以上の高齢者の割合はすでに44.1%にも達しています。この数値は全国平均の27.3%を大幅に上回っており、2040年には53.9%となんと住民二人に一人以上が高齢者になることが予測されているのです。

 

現在は空き家こそ、ニュータウンが属する鳩山町全体ではまだ8.9%(2013年住宅・土地統計調査)と県全体の空き家率 10.9%を下回っていますが、今後人口の多くを占める高齢者が一斉に亡くなると、多くの住宅が空き家になることが予測されるため、この街が将来にわたって存続できるのか危ぶまれます。

首都圏郊外の中古売り出し価格は250万円

住民の減少、高齢化と空き家化の進行は、タウン内の商業施設が撤退する要因となります。今全国の地方都市で話題となっている街の「孤立」化は、遠くない将来、首都圏のニュータウンでも着実に生じてくる問題になってきているのです。問題は商業施設のみならず、学校の統廃合、医院の閉鎖などが、これらの郊外住宅地で確実に起こってくることを意味しています。

 

牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)
牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)

鳩山ニュータウン内の瀟洒な家を眺めていると、なぜここで育った子供たちや孫たちが「故郷」に戻ってこないのだろうと訝りますが、戻りようがないのです。この街に現代の共働き世帯が暮らせる条件は何一つ揃ってはいないのです。

 

こうした現象は、当然ですが不動産価格にも如実に反映されます。鳩山ニュータウン内の中古戸建て住宅は、場所や物件によりますが、現在では売り出し価格は600万円台にまで落ち込んでいます。

 

郊外住宅の価値下落は何も鳩山ニュータウンに限った話ではありません。千葉県や神奈川県でも、都心までの通勤が1時間を超えるようなエリアでは不動産価格は大幅な下落を示しています。

 

平成バブル時にこれらのエリアで住宅を購入した層は、購入時の価格のおおむね1割から2割程度の価格にまで落ち込んでいる、というのが実態です。

 

また郊外住宅といえば戸建て住宅ばかりが想像されがちですが、今や首都圏の代表的ベッドタウンである千葉県の松戸市や船橋市で、私鉄の支線や駅からバスでアクセスするようなマンションになると、築30年程度のものであっても中古の売り出し価格が250万円程度と「くるま一台分」くらいの値段になっているような事例も珍しくなくなっています。

 

そしてこの現象はどうやら2020年以降の四半世紀で、さらに明確な「流れ」になっていくことが予想されます。

 

団塊の世代の多くが郊外に住宅を買い求めたのは、地価が高騰した1970年代から90年代はじめにかけてでした。都心の土地は高すぎて手が出ない中、人々は都心から放射状に延びる鉄道沿線に住宅を探し求め、郊外の環境の良い戸建て住宅を選択し、1時間から1時間半の通勤に耐え、定年退職まで住宅ローンの負担にも耐えて「家」という財産を手にしてきました。

 

ところが、多くの住民がリタイアして、残された現在の状況は、子供は帰らず、老朽化した住宅と、老いた住民だけが取り残されるという取り合わせになっています。将来予測を見る限り不動産価値が上昇する可能性は小さいといわざるをえません。

 

今回の不動産バブルは郊外住宅にはまったくなんの影響も与えていませんし、今後も値上がりなど望むべくもない状況なのです。

 

牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役

融資期間は長ければ長いほどよい? 「不動産投資で失敗する人」の共通点


不動産投資を始める際には、知っておかなければならないことが多くあります。不動産会社での営業を経験し、自身も不動産投資で成功した黒崎裕之氏による著書『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』(日本実業出版社)より抜粋して紹介します。

不動産業者があっせんするグレーな融資戦略

収益専門の不動産会社が増えたことによって、グレーな融資戦略も珍しくなくなりました。金融機関に借入状況を隠す「1物件1法人スキーム」や、通帳のゼロを増やすような「エビデンス改ざん」などです。後者のなかには、投資家の定期預金にあたかもたくさんの資産があるように見せかける悪質な方法もあります。 同時決済で借金の履歴を見せないという手法もあります。1億円の物件を2つ決済して、片方は代理契約にしておくと、金融機関はお互いに見抜くことが難しくなります。買ったあとに、はじめて気付くわけです。 そこまでいかずとも、特定の金融機関しか融資が引けない物件もあるので、その銀行の評価に合わせて紹介する業者もいます。ただ、そういった物件を買ってしまうと、売るときに困ります。例えば、今問題になっている新築シェアハウスの場合は、家賃の未払いや空室も問題になっていますが、そもそもシェアハウスは「寄宿舎」であり、アパートのような「共同住宅」ではありません。もともと「寄宿舎」には融資が付きにくいため、いざ売却しようとしても買主が見つからないという話をよく聞きます。 しかも今の潮流としては、借りられる限度額まで、できるだけ長い期間で借りるというのがスタンダードです。そうしないと、キャッシュフローが出ないからです。 ところが、融資期間を伸ばせば伸ばすほど残債は減っていきません。仮に購入から5年が経って売りたくなったとしても、残債が減っておらず、借りた金額とほぼ同じ額が残っていて、物件を売却しても残債が残ってしまう……ということになりかねません。つまり5年後には家賃も下落していて、購入時と同じ利回りで売ることができず、自分がイメージしていたものとはまったく違う姿に変わっているのです。

「0円で買える!」はリスクの裏返しでもある

2015年ぐらいから、購入すると破産するほどの赤字を負う可能性のある物件が普通に売り出されるようになりました。 その背景には、「現金を1円も使わずに買える」ことが大きな要因になっています。 投資の収益専門の不動産業者と話をしていると、「できるだけお金を使いたくない」「そもそもあまりお金を持っていない」という顧客が圧倒的に多いと聞きます。 たしかに、現金を貯めるのは大変ですし、将来のためにためておきたいという気持ちもわかります。また、“現金を使わない信仰”に拍車をかけているのは、それで成功している不動産投資の先駆者の存在があります。お金を使わず、わずか数年で規模を大きくしたという話を鵜呑みにして、「自分も同じように高速で億の資産を築きたい!」という人が増えています。 ところが、そういった短期間で規模を拡大する投資戦略は、「資産上」はすごそうに思えますが、実は儲かっておらず、キャッシュフローもあまり出ていないケースがあったりします。「1円も使わずに資産○億円」というフレーズは、聞こえはいいですが、楽して買った分、失敗する可能性は高いという上級者向けの投資手法です。 もちろん、成功している投資家もいます。いいタイミングで購入して、金利も途中でレートダウンや借換えを行ない、高収益に変えている人などです。 つまり、時間をかけて勉強をして、圧倒的な行動力でメガ大家、ギガ大家になった人がいる一方、勉強をせず、業者探しも1~2物件の行動量しかないため、不動産会社にだまされて損をする人もいるという、まさに不動産投資家の二極化が進んでいるのです。 賢い投資家は、「0円で買いたい」というニーズが広がっている状況を見て、買いではなく売りに転じています。不動産投資で利益が確定するのは売却時ですし、規模を拡大するには高値で売却してキャッシュを作る必要があります。それを勝者たちは知っているのです。 私もある物件を相場の3倍で売却したことがありますが、情報とコネクションがあれば、それくらいの高値での売却も不可能ではありません。 黒崎 裕之 元大手不動産営業マン兼、低リスク・高利回りで不動産を運用する個人投資家。 首都圏の築古不動産投資専門コミュニティ「Zero One Club」を主宰。石川県金沢出身。 家業が不動産を扱っていたが、過去に家族が不動産の取り扱いに失敗し1億円を超える相続税を課され、その支払いに大変苦労した。 その経験から、同じ轍を踏むまいと上京後に不動産の世界に飛び込み、「買う人の気持ちのわかる営業マン」として数々の営業成績を残す。 新築マンション販売時は常に全社10位以内の上位成績を誇り、半期での営業成績トップも複数回記録。 個人投資家としても自己資金を使わずに不動産投資をはじめ、現在アパート9棟、区分2室、戸建て7軒、部屋数約65室、借入れ約8000万円、平均利回り30%で運用中。ただ売るだけでなく、不動産を買う側の心理の理解にも努めるべく不動産投資を実践している。

ひどい話だ…「住宅ローン破綻した人」3つの明確すぎる共通点

頭金がない、不動産仲介料や税金までローンに頼る…

筆者は、1990年、22歳で不動産業界に入りました。90年といえば、まさに不動産バブル崩壊が始まった年であり、それまでの不動産ビジネスとは180度違う方向性が求められました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ちょうどバブル崩壊の時期とも重なって、筆者は、不動産投資に失敗して破綻していくお客様や住宅ローンの支払いに困っている人の窮状を目の当たりにしてきました。

 

大学教授や弁護士の先生にご協力いただいて設立した「一般社団法人 全日本任意売却支援協会」での筆者の経験からすると、たとえば次のような人がマイホームの購入に失敗してしまうことが多く、住まいが競売にかけられる、もしくは任意売却に至るのです。

 

●住宅ローンの返済に無理がある人

長い間、任意売却を支援してきた筆者は、様々な人に話を聞く機会がありましたが、中でも印象的だったのは、金融機関の住宅ローン担当者の「住宅ローンで破綻する人で最も多いのは、頭金のない人です」という言葉でした。

 

不動産購入には物件価格だけではなく、不動産の仲介料や各種の税金など、様々な経費がかかります。「フラット35」や10割ローンといった国の政策を利用し、金融機関が物件価格の100%を融資してくれたとしても、自己資金がない人はそれでもまだ不足してしまうわけです。

 

結局、そうした諸経費もローンに頼らざるを得なくなり、資金計画に無理が生じると、ローン破綻してしまいがちになるということです。貯金がない、金銭感覚に問題がある、貯金できないような綱渡りの家計をやりくりしているようでは、そもそも返済は不可能でしょう。

 

●夫婦間のトラブルがある人

マイホームのローン破綻でもうひとつ目立つのは、離婚など夫婦間のトラブルが原因になって、破綻してしまうケースです。たとえば、夫がローンを払い続けるという条件で別居、離婚したものの、元夫がローンを滞納してくるケースが目立ちます。何も知らずに住み続けていた奥さんの元に、大量の督促状などが届くようになったり、最悪のケースでは、いきなり裁判所から競売の通知が来たり、挙げ句の果ては退去命令まで来るようになってしまいます。

 

いずれにしても、夫婦間のトラブルは住宅ローン破綻には大きな影響を与えます。我々も、相談には必ず奥さんを同伴するようにとお願いしています。様々な事例を見ていて感じるのは、世の中の大半の夫婦の主導権は奥さんが握っていること。その奥さんの了承がなくては、どんなトラブルも解決に向かわないということです。

無理な資金計画はローン破綻に陥る要因

●事業の失敗、解雇など収入源が不安な人

このケースも多いパターンです。自営業者が事業に失敗する、あるいは会社が倒産して失業してしまった。そんな人がローン破綻に陥るケースが多いのも事実です。特に、ここ10年以上のデフレ時代は事業に失敗した自営業者のローン破綻が目立ちました。

 

事業の羽振りが最も良い時点でマイホームを購入する人が多く、ピーク時の年収がずっと継続すると信じて、無理な資金計画を立ててしまうのが原因です。事業での資金繰りの悪化、そしてローンの返済、という具合にダブルで資金が不足することになり、あっという間に破綻に陥るケースも珍しくありません。

 

収益不動産にせよ、ワンルームマンションや自宅にせよ、ローンを組んだ以上は毎月きちんと返済していかないと、ローンの滞納になります。では、その住宅ローンを滞納するとどんな運命が待ち構えているのでしょうか。ここでは、ローンを滞納した後にどんな事態が待っているのかを紹介しておきましょう。

ローンを3か月滞納すると「回収」のステージに

まずは、当然のことながらローンを滞納すると銀行から「督促」が入ります。封書などが郵送されてきますが、場合によっては直接訪問を受けて、ローンの返済をするように迫られます。それをさらに無視して滞納を続けると、金融機関にもよりますが、通常は3か月を超したあたりから、回収業務に入るところが出てきます。

 

回収業務は、当初は融資を担当した金融機関の支店の担当者であったりしますが、そのうち債権回収部門の別会社に移ります。債権回収部門というのは、取り立てを専門に行っている企業のことで、その金融機関の系列子会社になります。会社名も銀行名の後ろに○債権回収会社とか△保証会社という具合に、ひとめでその金融機関の系列会社であることが分かるはずです。

 

こうした債券回収会社は、その金融機関に属していた社員がほとんどで、なんとなく恐いイメージがあるかもしれませんが、実際のところは法的な手続きに沿って淡々と業務を推進していくイメージです。

保証会社にローン債権が移管すると…

金融機関によって、回収業務の方法が異なるとすれば回収のスピードです。銀行などにとって、ローンの滞納は放置すれば「不良債権」になってしまいます。不良債権の増加は、銀行経営にとっては自己資本比率の低下を意味し、経営上大きなマイナスとなり、バブル崩壊以後はそのスピードが求められるようになりました。

 

特に、都市銀行などは海外業務を展開している関係もあり、不良債権を放置しておくことができないシステムになっています。実際に、都市銀行などは住宅ローンを3か月間滞納すると、先に紹介した債権回収会社や保証会社に「ローン債権」そのものを移管してしまいます。

 

こうなってしまうと、「期限の利益の喪失」という名目で分割払いが認められなくなり、回収会社から「一括返済」を求められるようになります。分割で払えないのに、一括では払えるわけがありませんから、あとは借金をしている「債務者」とお金を貸している「債権者」という関係になります。

 

「保証会社に債権が移ったのですが、ここからローン減額などの交渉はできるでしょうか」といった相談をよく受けますが、この段階まで来ると極めて困難であり、残りは次の2つしか選択肢はなくなります。

 

①競売・・・債権者が裁判所に申請して、物件を強制的に競売にかけて債権処理してしまう方法です。

②任意売却・・・競売を避けて、債権者の了解を得て、競売以外の方法で売却する方法です。

実は矛盾だらけ…役に立たない「偉大なる投資家の20の名言」

投資家の指針となった、株式投資の「20の名言」

株の世界には、昔から言い伝えられている数多くの名言が存在します。そんな名言の一部をご紹介し、その意味を簡単に説明したいのですが……。それらのなかにはお互いが矛盾するものや、実践することが難しいと思われるものも少なくありません。

 

ですから、そんな数々の名言について考え直し、それらをどう捉えればよいのかも、一緒に考えてみましょう。まず、昔から言い伝えられている株の名言を20種類選び、その意味とともに紹介していきます。

 

株式投資に名言はつきもの(※写真はイメージです/PIXTA)
株式投資に名言はつきもの(※写真はイメージです/PIXTA)

 

[名言1]

素人がプロに勝てるのは時間である

:機関投資家などのプロは、顧客からの要望で短期的利益を狙った売買をしがちです。しかし個人投資家は、自分なりのじっくりとした売買ができるので、その点に優位性があるという意味です。

 

[名言2]

他人を頼るべからず、自力を頼むべし

:他人の意見に流されず、自分の意思を貫くことが株売買には重要だという意味です。

 

[名言3]

辛抱する木に金がなる

:一時の株価変動で一喜一憂せず辛抱することが、結局は利益になるという意味です。

 

[名言4]

天まで届く相場はない

:永遠に上がり続ける上昇相場などないという意味です。

 

[名言5]

三割高下に向かえ

:評価損益が三割上昇・下降した時点で手仕舞いしておくのが堅実だという意味です。

 

[名言6]

知ったらしまい

:良い材料も悪い材料も、公表された時点で材料出尽くしなので、手仕舞いしておくのが堅実だという意味です。

 

[名言7]

全面高したあとの相場は怖い

:あらゆる銘柄が買われた全面高の状況から下げるときは、買い支える銘柄がないため厳しい下落になるという意味です。

 

[名言8]

二番底は黙って買え

:安値の後の反発、そしてその後の二回目の安値こそが本当の底であるから買いだ、という意味です。

 

[名言9]

「もう」はまだなり、「まだ」はもうなり

:「もう」天井(底)だと思っても「まだ」であり、「まだ」天井(底)でないと思っても「もう」であることに気をつけろ、という意味です。

 

[名言10]

今の姿ではない、今よりさらによくなるかを見よ

:現状で判断して買うと高値掴みをしてしまうので、今よりさらによくなるかを考えるべきだという意味です。

 

[名言11]

ついた値段は正しい

:「効率的市場仮説」的なことで、市場で売買されついた価格はやはり妥当なのだという意味です。

 

[名言12]

相場は夢と現実の間で揺れ動く

:実際の業績と今後への期待によって株価が変動する様子を表した言葉です。

 

[名言13]

形あるもの、動きあるものには訳がある

:株価の変動には必ず何らかの理由がある、という意味です。

 

[名言14]

相場は思った通りには動かない

:理屈通りには動かない株式市場の不確実性を表した言葉です。

 

[名言15]

卵は一つの篭に盛るな

:卵を一つの篭に盛ると割れるときにまとめて割れてしまうので、篭を分ける、すなわち分散投資をすすめる言葉です。

 

[名言16]

遠くのものは避けよ

:自分がよく知らないものに投資をするなという意味です。

 

[名言17]

株を買うな時を買え

:時流に乗った企業の株を買うべきであることと、好内容株もタイミングが悪ければ高値掴みになることを表す言葉です。

 

[名言18]

人の行く裏に道あり花の山

:出来高の少ない低位株にこそお宝がある、という意味です。

 

[名言19]

麦わら帽子は冬に買え

。冬に夏用の麦わら帽子を買っておくように、先を見越してまだ注目されていない銘柄を買っておくことで利益を得られる、という意味です。

 

[名言20]

割高に売りなし、割安に買いなし

:高PER(低PER)など一見割高(割安)に見える株も、実は成長性がある(ない)ため、安易に割高(割安)だと判断してはいけない、という意味です。

「株の名言」に疑問を呈してみる

確かにどの名言も、納得できる要素を持っていると思えます。しかし、よく考えると、名言同士に矛盾があったり、現実的に難しいことがあったりすることに、お気づきではないでしょうか?

 

たとえば、「3-辛抱する木に金がなる」などは、短期の株価変動でのむやみな売買を戒めているようですが、「4-天まで届く相場はない」「5-三割高下に向かえ」「6-知ったらしまい」などでは、適度なところでの手仕舞いをすすめているようです。

 

また、「10-今の姿ではない、今よりさらによくなるかを見よ」とありますが、「11-ついた値段は正しい」とあります。これも、矛盾しているように思えます。

 

さらに、「12-相場は夢と現実の間で揺れ動く」「13-形あるもの、動きあるものには訳がある」などでは株価の予測が可能であると言っているようですが、「14-相場は思った通りには動かない」ではそれを否定しているようで、これも矛盾しています。

 

他に、「18-人の行く裏に道あり花の山」「19-麦わら帽子は冬に買え」では注目されていない銘柄を買うことの優位性を述べているようですが、「20-割高に売りなし、割安に買いなし」では不人気の割安株を否定しているようで、これも矛盾ではないでしょうか。

 

そもそも、「2-他人を頼るべからず、自力を頼むべし」では他人に流されないことをすすめていますが、流されているか・いないかの判断が難しいのです。

 

また、「9-「もう」はまだなり、「まだ」はもうなり」「10-今の姿ではない、今よりさらによくなるかを見よ」などと言っても、本当の天井や底を見抜くことや、将来のことを予想するのがどんなに難しいかは、ある程度経験のある投資家の方でしたらおわかりでしょう。

 

そして、「15-卵は一つの篭に盛るな」とは言いますが、集中投資がうまくいけば大きなリターンを得られるのに対して、買う銘柄を増やしてリスクを分散すれば、リターンも小さくなりがちです。その点はどうすればよいのでしょうか?

 

このように、1つ1つは納得できる名言の数々も、よく考えると素直に納得できない点が少なくないのです。

結局は「バフェットの名言」がしっくりくる

最後にもう1つ、ウォーレン・バフェット氏の名言を紹介しておきます。

 

「少額でいいですから、投資をしてください。本を読むだけではダメです」

 

結局、そういうことなのではないでしょうか。

 

名言という言葉による情報は、ある面では真実を示しているのかもしれません。しかし、相場の状況も投資家個人の状況もそれぞれですし、不変でもありません。ですから、どんな時も、どんな投資家にも通じる名言というのは、決してないのではないでしょうか。

 

結局、名言を心に留めておきながらも、実践の中で自分だけの投資法を確立していくことが、何より大切なのかもしれませんね。

 

まとめ

株の世界には昔から言い伝えられている数多くの名言が存在しており、それら1つ1つには、確かに納得できる要素があります。

 

しかし、それぞれが矛盾しているものや、実践することが難しいものも少なくありません。

 

ですから、それらを心に留めておきながらも、実践の中で自分だけの投資法を確立していくことが、何より大切だといえるのではないでしょうか。


東証1部上場「あなぶき興産」が運営する不動産クラウドファンディング「ジョイントアルファ」より第9号ファンドのお知らせ

[穴吹興産株式会社]

1口10万円から全国各地の不動産への投資が可能。優先劣後出資システムを採用することで投資家の毀損リスクも低い不動産投資

あなぶきグループの穴吹興産株式会社(本社:香川県高松市、代表取締役社長:穴吹忠嗣、証券コード:8928)は、地域に眠る良質な不動産への投資活動を活性化させることを目的とし、厳選された商業施設や投資用マンションなどに少額から手軽に分散投資できる、不動産投資特化型クラウドファンディングプラットフォーム「ジョイントアルファ[JOINTO α]」にて、第9号ファンドとなる「アルファアセットファンド高松兵庫町」の情報を公開しましたのでお知らせいたします。













<対象物件は商店街に面する区分店舗>
本ファンドの対象物件は、高松市兵庫町に所在する築13年の分譲マンションの1階区分店舗です。高松市中心部のアーケード街の中で、最もJR高松駅から近い兵庫町商店街に面しており、中央通りから東西にアーケードが連なっており、お買い物やおみやげ選びにも大変便利で活気と賑わいに溢れています。

高松兵庫町商店街HP
http://www.hyougomachi.com/ 






<不動産特定共同事業法に基づく不動産クラウドファンディングスキーム>
オンラインでの不動産クラウドファンディングは、「不動産特定共同事業法」の電子取引の認可を受けた事業者だけが出来るサービスで、ある特定の不動産を特定の期間だけ組合、または出資者で共同所有し、その利益(損益)をシェアするという投資方法です。
通常の不動産への直接投資の際にハードルとなる、「初期投資の大きさ」や不動産を取得した後に悩みとなる「賃貸管理の手間」などを解消した新しい投資不動産投資のカタチです。1口10万円から各地の不動産への投資が可能となっており、優先劣後出資システムを採用することで投資家の毀損リスクも低い不動産投資です。






<ジョイントアルファ[JOINTO α]サービス概要>




※「ジョイントアルファ」で投資を行うためには、会員登録および口座開設手続き等が必要となります。

海外不動産投資ができる人口増加率の高い国は?5ヵ国紹介


不動産投資で空室率を下げるためには、人口が増えているエリアで投資するのが有効な手段です。人口が増えているエリアで投資すれば、住宅需要も高まっていくことが予測されるためです。

日本国内であれば個人でもインターネットで検索すれば比較的簡単にデータを収集できますが、海外のデータとなると、どこから情報収集すればよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、海外で人口増加率がプラスになっている国と、各国の中で特に人口が増えているエリアについて紹介します。

1.海外不動産投資ができる人口増加率の高い国5選

日本からの不動産投資が可能なうえに人口増加率が高い各国について、特に人口が増加しているエリアや特徴を解説します。今回ご紹介する人口増加の高い国は下記の5ヵ国です。

  • アメリカ
  • オーストラリア
  • フィリピン
  • カンボジア
  • マレーシア

国全体の人口が増加している場合でも増加しているエリアが偏っていたり、増加の要因が自然増加ではなく海外からの転入増加であるなど、国やエリアによって増加要因は異なります。

それぞれの特徴の違いを把握しておくことで、賃貸需要の動向を知り、不動産投資の意思決定をする際に役立てることが出来るでしょう。

1-1.アメリカ

アメリカは人口増加率がプラスで推移している先進国の1つです。なお、世界銀行「Country Profile」によると2018年の人口増加率は0.5%でした。

ただし、アメリカは世界で3番目に国土が広く、人口の増減については州によってバラつきがあります。2018年の統計で最も人口が多いのは、カリフォルニア州とテキサス州でした。フロリダ州とニューヨーク州がその後に続いています。

アメリカで最も2018年〜2019年の人口増加率が高かったのは、テキサス州のLeanderです。Leanderはテキサス州の州都オースティンの北側に位置しています。年間の人口増加率は12%でした。

2番目に人口増加率が高かったのは、ノースカロライナ州のApexです。Apexはノースカロライナ州の中央部に位置しています。年間の人口増加率は10.1%でした。(※US Census Bureau「The 15 Fastest-Growing Large Cities – By Percent Change: 2018-2019」を参照)

なお、近年で最も人口が増加しているのはテキサス州です。州別の人口増加率(人口増加数)では、2018年までトップ15のうち半数をテキサス州の都市が占めていましたが、2019年になってテキサス州の都市は4都市に減っています。

テキサス州の人口増加はだんだんと落ち着きを見せはじめている状況です。ただし、人口増加が落ち着いてきている中でも、ダラス北部のFriscoはここ数年常にトップ15のランク内に入っています。長期間に渡って人口増加を続けていると言えるでしょう。

一方、平均年齢がアメリカ全体で少しずつ上がって来ている点には注意が必要です。不動産投資のような長期投資を検討する際は、現時点での人口推移だけでなく将来の人口推移にも注意しながらエリア選定を進めていくことが大切です。

【関連記事】【7分で分かる】アメリカで不動産投資を始めるための10のステップ

1-2.オーストラリア

オーストラリアでは、2018年の推計人口増加率が1.5%でした。世界銀行の「Regional Population Growth, Australia, 2018-19」によると、1990年以降1.2%〜1.6%を保っているので、オーストラリアでは長期間にわたり人口が増えていると考えられます。

2018年〜2019年の大都市別人口統計において、最も人口が増えたのはメルボルンです。メルボルンの人口増加率は2.3%でした。2番目に人口が増えたのはブリスベンで2.1%増加、3番目はシドニーで1.7%人口が増加しました。

さらに細かな地区単位で見ると、2018年〜2019年で最も人口が増えたのは、メルボルン南東部のクランボーンというエリアです。クランボーンは1年間で約7,800人の人口が増えており、2番目はシドニー南西部のレッピントンで人口が約5,300人増加しました。(※Australian Bureau of Statistics「Components of population change by capital city」を参照)

なお、人口の自然増加数が最も多かったのはシドニーで、メルボルンは2番手となっています。メルボルンの人口増加に最も寄与したのは、自然増加ではなく海外移住者による転入です。

海外移住者と自然増加数との割合で見ると、オーストラリア南西部のリゾート地であるパースは、1年で27,405人の人口が増えていますが、そのうちの約半数が自然増加によるものでした。

また、キャンベラも年間で6,305人の人口が増えていますが、パースと同じく半分程度が自然増加によるものです。

メルボルンとシドニーは、他の都市に大差をつけて人口を増やしていますが、国内の人口移動による増加数が極めて少なく、増加数の半数以上を海外移住者が占めています。

どの都市でも国内の移動者が極めて少ないなか、ブリスベンでは国内の移動者が増加数のうち3分の1程度を占めています。

海外からの移住者を入居者ターゲットにするならば、メルボルンもしくはシドニー、オーストラリア人をターゲットにするならばブリスベンが投資先として検討できるでしょう。

1-3.フィリピン

世界銀行「Country Profile」によると、フィリピンにおける2018年の人口増加率は1.4%でした。1990年以降、約30年に渡って人口増加率がプラスで推移しているものの、増加率そのものは段階的に下がっています。

まだまだ人口は増え続けると見られている一方で、その勢いは今後横ばいになっていくか可能性があると言えるでしょう。ただ、総人口は2018年の統計ですでに1億人を超えており、人口密度もこの30年で約1.8倍になりました。

人口増加率が高くても人口密度が低いと、不動産投資において入居者を探す難易度が上がります。人口密度が上がっている点から、フィリピンでは空室リスクが下がってきていると考えられます。

都市単位での人口推計を見ると、フィリピンで人口が最も多いのは首都マニラです。次いでマニラの北東に位置するカローカン、マニラ南東部のマカティと続きます。

マニラとカローカンの2都市だけが人口100万人を超えており、カローカンの人口はマカティの約2.6倍、マニラはマカティの約3倍です。また、カローカンもマカティも首都マニラから近い場所に位置しているので、フィリピンも人口の大半が首都に集中していると考えてよいでしょう。

また、フィリピンでは2015年時点での年齢中央値が24.3歳で、若い人が多いのも大きな特徴です。

【関連記事】フィリピンで不動産投資を始めるメリットとデメリットは?手順も解説

1-4.カンボジア

世界銀行の統計によると、2018年のカンボジアにおける人口増加率は1.5%です。2010年時点の統計でも1.5%なので、2010年代に入ってからは横ばい状態になっていると推測されます。

例えば、フィリピンの人口増加率は1.4%でカンボジアとほぼ同じですが、カンボジアの人口密度はフィリピンのほぼ4分の1程度です。また、人口増数についてもフィリピンの人口はカンボジアの人口の6倍以上であり、フィリピンのほうが、カンボジアよりも人が混んでいます。(※世界銀行「Country Profile」を参照)

カンボジア国内での人口分布を見ると、首都プノンペンとプノンペンに隣接している県に人口が集中しています。

なお、2019年のプノンペンにおける人口は約213万人で、国全体の約14%に該当します。2番目に人口が多いのはプノンペン南東のカンダールで、人口は約120万人です。カンダールの人口もプノンペンの半分強なので、カンボジアでは人口が首都にかなり集中していると考えてよいでしょう。(※カンボジア政府統計「General Population Census」を参照)

1-5.マレーシア

マレーシアでは、2018年の人口増加率が1.4%となっています。2000年までは2.3%でしたが、2010年には1.7%と1%台に入っているので、急速な人口増加も少し勢いが落ち着き始めていると言えます。(※世界銀行「Country Profile」を参照)

人口密度を確認すると、マレーシアの人口密度はカンボジアとほとんど同程度の水準であることがわかります。一方、マレーシアの総人口はカンボジアの約2倍です。

マレーシアは国土が広く、広範囲に人口が分散していることが分かります。実際、マレーシアの国土面積はカンボジアの約2倍であり、高い人口密度が形成されにくい環境であると言えるでしょう。

マレーシア国内の人口分布を見ると、首都クアラルンプールが位置するセランゴール州が最も人口が多く、2番目はサバ州です。セランゴール州の人口数はサバ州の約1.7倍となっています。(※マレーシア政府統計「Demographic Statistics First Quarter 2020, Malaysia」を参照)

まとめ

都市別の人口を確認していくと、アメリカやオーストラリアなどの先進国では、人口が各都市に散らばっている一方、フィリピン・カンボジア・マレーシアなど新興国では人口が首都に固まっていることがわかります。

また、総人口や人口密度といった統計を比較すると、フィリピンはカンボジア・マレーシアよりもかなり高水準です。人口密度は不動産投資における空室率にも影響するので、フィリピンでは空室が比較的発生しづらいと考えられます。

この記事で取り上げた国の中では、アメリカ以外の国々で人口増加率はほぼ同じでした。しかし、上述した人口密度や不動産市場の拡大状況なども考慮すると、フィリピンは他国よりもアドバンテージを持っているといえるでしょう。

    不動産会社代表「ライバルよりも高く土地を買え」そのワケは?

    不動産は、長く愛されなければ意味がない

    ――今回は、シーラが開発した「シーフォルム西新宿五丁目」をテーマにインタビューを進めさせていただけきたく思います。よろしくお願いいたします。

    では早速本題に入らせていただきますが、「シーフォルム西新宿五丁目」のコンセプトからお聞かせ願います。

     

    *2020年1月末時点で建築より7年経過したシーラが手掛けた投資向けワンルームマンション。→https://www.syla.jp/syforme/nishi-shinjuku-5chome/

     

    湯藤:「シーフォルム西新宿五丁目」は、都会的なイメージをコンセプトに、シャープでスタイリッシュなデザインが特徴です。シーフォルム西新宿五丁目に限らず、モノづくりをする上でシーラが最も大切にしていることは、「時間が経っても廃れない」「長く人に愛される」。流行のデザインだけに固執してしまうと、いざ流行が過ぎてしまえば、お客さまに興味を示されなくなってしまいます。いつまでも人から愛され続けることが何より大切だと考えています。

     

    ――長く人に愛されるデザイン」について、より詳しく教えていただけますでしょうか。

     

    湯藤:シーラの考える「長く人から愛されるデザイン」は、無駄な装飾を控えて極力シンプルであることです。素材にもこだわり、使用するのはコンクリートとウッド、ステンレス。一部にタイルやガラスを組み合わせています。

     

    歴史に残る建造物はどれも無駄な装飾はせずにシンプルかつ時間の経過とともに色あせない素材を使っています。コンクリートとウッドは、時間を経るごとに古くなるのではなく、味を増す素材です。そこへステンレスやガラス、タイなどをプラスすると、今っぽさのあるスタイリッシュなデザインに仕上がります。

     

    ――新宿という土地柄的に、都会的なデザインを好む方は多いと感じます。「長く人に愛される」ことは、家を借りる方にとっても、不動産投資をする方にとっても大切なことなのですね。

     

    湯藤:そうですね。我々の取り扱う物件は、投資家である「お客さまの大切な資産をお預かりしている」という面もあります。将来のための資産形成を現金だけではなくて不動産でも資産形成するためには、短期的に儲かるというよりも長期間に渡り家賃収入が安定して得られるような物件でなくては意味がありません。もっといえば、今より将来、家賃収入が上がるくらいでなくてはならないとも考えています。

     

    ――価値がどんどん上がっていく物件……凄いですね。一般的には、新築プレミアの乗っている新築の家賃収入から数年経つと下がると言われています。その中で、家賃収入を上げ、資産価値を上げるということは並大抵のことではできないことだと思います。

     

    *新築物件だけに上乗せされた価格のこと。一般的に新築プレミアムは、物件価格の1~3割程度というのが相場とされる。物件の場合、一度でも人が住むと中古という扱いとなり新築プレミアムはなくなることが一般的である。

     

    湯藤:そうです。他社様の物件で築10年くらい経ったものと、同年数経過したシーラの物件とを比べてみても、正直シーラはレベルが違うなと感じます。もちろん、それだけ費用をかけて作っていますから、一線どころではない差が生まれるのは当たり前かもしれませんが。

     

    以前「安く物件を作った方が、お客さまも安く購入できて、喜んでいただけるのかもしれない……」と思ったことがありました。しかし、長期的に考えた時にそれは間違っているなと気づいたのです。不動産は“不動の財産”とも言われるように、今日買っていただいて、明日すぐに結果がでるというものではなく、長期的なスパンで結果を出すべきもの。ですので「ただ安ければ良い」というものではないのです。

    シーラの考える3つの立地条件とは?

    ――シーラは「都心」「駅近」「利便性」この3つの立地条件にこだわり物件を開発されていると聞きました。その理由についてお伺いできますでしょうか? また「シーフォルム西新宿五丁目」を例に、どうして西新宿を選んだのかについてもお聞かせ願います。

    湯藤:西新宿は、シーフォルムを建築した当初と比べても、さらに都市開発が進み、今でも街全体が成長し続けているエリアです。開発の進む理由は、まず一つ目に、日本の中でもトップクラスのターミナル駅である新宿駅があること。二つ目に、数多くのオフィスビル群もあること。

     

    人が生活していく上で重要となる「駅(交通の弁の良さ)」と「働く場所」。この2つが西新宿には揃っています。生きていくために人は働かなければなりませんし、住む場所を決める際には通勤のしやすさも重要となります。都心であればなおさら、電車で通う方がほとんどですから、駅と職場は切っても切り離せない関係にあります。

     

    ――なるほど。私の西新宿のイメージは、オフィスが多く確かに通勤する方も多いと感じますが、「人が住む」イメージは正直ありませんでした。しかし、シーラの場合は、単身者向けのワンルームマンションを販売されていますし、働く世代の20代、30代の方が住むと想定した上で西新宿は住む環境としてベストということですね。

     

    湯藤:そうですね。単身者が、住環境の中で最も重要視する条件は「利便性」です。これがファミリーマンションともなれば「環境」が大きく順位を上げてきます。例えば、日当たり、眺望、周辺の買い物施設が充実していることや学校、公園が近くにある、緑が多いなどですね。しかし、単身者ともなると、条件はがらりと変わってきます。

     

    ――なるほど。どういった人を対象としている物件かということで、「利便性」の持つ意味や優先順位が大きく変わってくるということですね。単身者の方であれば、平日は会社勤めで不在が多く、休日はゆっくり起きたい人もいるでしょうから日当たりがすごく求められることもない。

     

    西新宿という場所を考えれば、通勤も便利となり、都内で遊ぶという意味でも駅の利便性は抜群なので単身者にとって非常に良い条件が揃っていますね。

     

    ちなみにシーラは、都心にこだわって物件を作っていらっしゃいますよね。この点についても詳しくお伺いできますでしょうか。

     

    湯藤:先ほどから申し上げている利便性とも繋がってくるのですが、乗降客数の多い駅の周辺に不動産を持っておくと、かなり強い。その点からみても、やはり都心はベストなエリアです。土地を選ぶ際には、駅の乗降客数を必ず調査してから場所を決めてもいます。

     

    ――土地を仕入れる前の段階で駅の利用客を先ずチェックされているんですね。

     

    「シーフォルム西新宿五丁目」に関していえば、ターゲットとなる単身者の望む「都心」「駅近」「利便性」を満たし、通勤のしやすさ、さらに今後も人が増え続ける可能性も西新宿にはあることから資産価値は今後もさらに高まって行くと予想されますし、投資物件という観点からみても「シーフォルム西新宿五丁目」は素晴らしい物件ですね。

    土地の仕入れから開発、販売、管理までサポート

    ――シーラの特徴として、土地の仕入れから建築、販売、そしてその後の管理までトータルでサポートする体制かと考えています。特に一番最初の工程である土地の仕入れに関しては、都心にこだわるとなると他の不動産会社とライバル競争も激しくなるでしょうし、買い付け自体かなり難しいのではと思っています。

    湯藤:そうですね。土地の仕入れはとても難しいものです。ライバルがたくさんいればいるほど、当たり前ですが難しさは増していきます。しかし、ライバルの中で一番高く買えば難しさは減りますよね。

     

    ――確かに…。

     

    湯藤:土地のオーナー様は、自分の大切な資産を1円でも高く売りたいと思っていらっしゃいます。これは当たり前のことです。一方で、シーラにとってライバルよりも常に高値で買い続けるのはリスクが大きい。ならばどうすれば良いのかというと、営業努力だと考えています。

     

    ――営業努力とは?

     

    湯藤:どこよりも早く情報収集を行い、どこよりも早く結論を出し、オーナー様と交渉をする。無論、オーナー様にシーラの会社や人を気に入り信頼していただく努力も必要です。我々は「三方よし」の精神を大切にしていす。我々が満足して終わりではなくて、オーナー様も喜び満足していただくような答えを導き出さなくてはなりません。

     

    ――なるほど。

     

    湯藤:さらに、他社が買わないような物件を敢えて購入するのもシーラの特徴であり、強みです。「この物件にはマンションは建たないだろう」と誰もが思う、一見開発リスクの高い物件を購入してマンションを建てる。それができてしまうのは、高い技術のメンバーを揃えて、外部業者との確かな信頼関係も構築してきたワンチームの体制だからこそです。事前調査も念入りに行い、他社には思いつかないようなシーラ独自の答えを導き出しているからこそともいえます。ここには、10年間積み上げてきた実績もあります。

     

    ――凄いですね……。もう少し深く聞かせていただきたいのですが、他社とは圧倒的に違うシーラ独自の観点とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

     

    湯藤たとえば「シーフォルム西新宿五丁目」でいえば、使われていない不要道路を取り除くことで建築の制限を取っ払い、予定よりも大きなマンションを建てることに成功しました。もちろん近隣住宅の方々には事前に交渉を行い、同意を得てから実行します。

     

    新宿五丁目はライバルも多く、競争の激しい場所でした。しかし、他社と違った観点に着目し、「こうすればもっと良くなるのではないか」など様々なイメージを膨らませていく。それにより他社では思いつかないような新たな発想が生まれます。ライバルと同じ目線で物事を考えていては絶対に勝てません。今ある土地をいかに安く購入するかを考えるのではなく、その一歩先にある答えを掴む。道路を撤廃する方法さえ見つかれば、大きなマンションを建てられる。するとライバルの中で一番高値で土地を購入したとしても、ちゃんと採算は取れるわけです。結果、オーナー様にも喜んでいただき、我々にとっても嬉しいと、まさに三方よしとなるわけです。

     

    ケースバイケースによって様々な方法や考え方がありますが、不動産会社にとって一番大切なものは何かと聞かれれば、私は「開発力」だと答えます。いかに良い場所に、良いものを作れるか。それを実現さえできれば、正直なところ、営業しなくても売れるでしょう。

     

    他社が導き出さない回答を見出し、他社にはできない開発を行う。土地の購入は安くありませんし、難しさもあります。それなりに時間もかかり、買いたいと感じる物件にそう多く出会えるわけでもありません。しかし、少しずつ、着実に努力を積み重ねることを惜しまなければ必ずや結果は出ます。

     

    ――ただ安く仕入れて自分たちだけが得するのではなく、得た利益をきちんと物の価値へと転換することによって、さらに資産価値を高めていくということですね。なるほど、凄い考え方です。

     

    「シーフォルム西新宿五丁目」でいえば、すでに完成して7年ほど経過しているかと思うのですが、新築の時よりも家賃が上がっていると聞き驚きました。ここまでのシーラの理念や物件開発の考えを、そのまま実現できている物件なのではと感じています。

     

    湯藤:そうかもしれません。先ほどもお話ししたように、新宿は年々進化し続けており、7年前よりもオフィスが増えて、人口も増加しました。土地自体の価値が上がれば、価格も同然上がりますよね。ただ、その中に、シーフォルムという要因も確かにあるとは思っています。

     

    ――新宿の価値も上がってはいますが、シーフォルム自体の価値もそこには当然入っていますよね。

     

    湯藤:そうですね。加えてシーラは「新築プレミアム」を敢えて価格に反映させていないので、その点も家賃増加要因の一つではないかと考えています。

     

    ――新築プレミアムについて、シーラの考えをぜひお聞かせいただきたいのですが。

     

    湯藤:今まで誰も使っていない、できたばかりの部屋を高くても借りたいとお考えになる方はたくさんいらっしゃいます。しかし、一度人の住んだ部屋はどれだけ現状回復の工事を行っても新築同様にはなりませんよね。

     

    ――確かにそうですね。しかし投資家からすると、新築プレミアムを設定した方が当然利益が上がると思うのですが……あえて設定しない理由は何なのでしょうか?

     

    湯藤:新築プレミアムの適用期間は主に2年間と短いのです。その期間が過ぎた後、いざ賃料が下るとなると、投資家の方は「同じ賃料をキープしたい」とどうしても思ってしまいます。

     

    さらに、新築プレミアムを設定すると、次の借り手が決まりづらくなってしまう可能性もあります。そうなると、賃料を下げるのか、はたまたこのまま借り手が見つかるまで待つのかなど、余計な心配をしなくてはならなりません。シーラの不動産投資の考えは長期保有です。そのため短期的な利益を重視する新築プレミアムよりも、今住んでいる人が退室したら次がすぐに決まるような良いサイクルを作り空室リスクを下げることの方が長期投資の観点では重要であると考えています。

     

    結局のところ、数カ月空きが出てしまうと、それこそ新築プレミアムで得たプラスαの賃料よりも、マイナスの方が大きくなってしまいます。空いたらすぐに入ってもらえるような状況を作る方がトータルでみても損をしなくて済みます。これは、我々の考えるお客さまへ対する思いの形であり、配慮であり、一つの答えでもあります。

     

    ――確かにそうですね。プラスの収入を得ることばかり考えてしまいがちですが、長期投資の観点では「損をしない」「損をするリスクを減らす」方が重要ですよね。

     

    最後に、今回のインタビューのテーマとして取り上げさせていただいた「シーフォルム西新宿五丁目」について、湯藤様はどのように評価されますか?お話を伺ってみても、素晴らしい結果を得ていらっしゃると感じました。

     

    湯藤:「シーフォルム西新宿五丁目」は、十分に費用をかけて満足のいくデザインに仕上がりましたし、西新宿という街自体も、この7年で大きく進化し、さらに魅力的な場所へと成長しました。全てにおいて、とても素晴らしい物件ですし、シーラだから実現できたと強く実感しています。


    大田区某所・家賃6万円・新築アパートが「空室だらけ…」の謎


    新築なのに内見の予約すら入らない…

    【大手の会社に依頼しても空室が埋まらない】

    大田区の某私鉄駅から徒歩圏に新築アパートを購入したのですが、竣工後3カ月経っても空室が埋まらず、内見すら入らない状態で困っています。財閥系大手の管理会社に任せていますが、まったくレスポンスがありません。募集家賃は6万3000円で、物件の間取りは13平米と狭いものの、都内新築物件としては適正の範囲内だと思います。

     

    (※写真はイメージです/PIXTA)
    (※写真はイメージです/PIXTA)

     

     

    ◆物件と管理会社がミスマッチを起こしている

     

    オーナーの最大の悩みは「空室が続くこと」です。空室が埋まらない限り、想定していた家賃収入も絵に書いた餅となります。

     

    ひと口に空室といっても、その原因をひもとくと、単純な努力不足なのか、オーナーさんの知識がないのか、管理会社にやる気がないのか、賃貸ニーズがないのかと、さまざまな原因が複合しています。

     

    原因が管理会社そのものにあるのなら問題点が可視化できますが、難しいのは、一見きちんとした管理会社を選んでいるにもかかわらず、空室が埋まらない場合です。この場合、「物件と管理会社がミスマッチを起こしている」可能性が考えられます。

     

    今回のアパートはいわゆる狭小物件で、どちらかというと属性の高くない人たちをメインターゲットとしている物件です。大田区に多い中小企業に勤めている人や、フリーターの入居が圧倒的に多いのです。しかし、物件を管理していた大手管理会社は属性の低い人に対する審査基準やノウハウを持っていませんでした。

     

    その会社が管理している他の物件を見るとよくわかります。募集物件の多くが、自社で販売した一等地に建つ分譲マンションであり、物件購入者からの「転勤で住めなくなったので貸し出したい」といったニーズに対応するため管理業務を受けるケースが多いのです。つまり、この物件のメインターゲットとはかけはなれた高級賃貸物件をメインとしている管理会社だったのです。

     

    たまたまそのオーナーさんは、以前に別の物件のマンション管理をお願いしたことから、今回の新築アパートもそのまま管理をお願いしたとのことでした。管理会社側も、これまでのお付き合いもあるので断らずに受けたのでしょう。こうした経緯から、物件が持つニーズと管理会社の得意分野がミスマッチを起こし、空室期間が長引いていたのです。これはオーナーさんにも管理会社にも双方にとって不幸なケースと言えます。

     

    その他の失敗例でいえば、駅前の一等地に路面店が多数あるような大手不動産チェーンを管理会社にしたケースがあります。オーナーからしたら、大手で店舗数も多く安心感があるのですが、なかなか入居が決まりません。

     

    その理由は多くの大手不動産チェーンでは、自社で物件情報の囲い込みをしているケースがあるからです。レインズにも出さないし、スーモやホームズといった不動産ポータルサイトにも情報を出しません。物件にもよりますが、基本的には自社のホームページだけに掲載して、そこで集めるお客さんしか付けてくれません。

     

    大手では自社が管理する物件やサブリース物件が最優先されます。課せられた数字に対するプレッシャーも強いので、これは仕方ない面もあります。

    大田区の新築アパートの空室が埋まらなかったワケは…

    ◆空室を埋める「合理的」なテクニック

     

    やはり今の時代、能力の優れた管理会社の定義は「空室をどれだけ埋められるか、きちんと入居付けができるか」、そのために「物件の特性から賃借人となるターゲット層を絞り込み、集客のための施策を打てるか」という点になります。オーナーに対してきちんとした合理的な説明や提案をしてくれるのが優秀な管理会社といえます。

     

    「熱意に押されて管理を任せてみたところ、たしかに管理はしてくれるけど、空室を埋めてくれない」と嘆くオーナーさんは少なくないです。提案といえば家賃の値下げや、お金のかかるリフォームばかり。オーナーのコスト負担で物件の収益力を改善させるのは、あくまでも最終手段です。まずは募集に対してきちんと「合理的な提案」ができる業者と付き合うべきです。

     

    首都圏には賃貸仲介専門でやっている不動産業者があります。彼らの強みは「管理は一切しないし、売買も一切しない」、その代わりに賃貸仲介業務だけに特化した組織づくりをしている点です。人材教育も仲介に絞って行いますし、会社の制度や仕組みが、そうつくり込んであります。ホームページや宣伝広告にも大きな予算をかけています。

     

    彼らは手間を惜しまず、自社のホームページや不動産情報のポータルサイトにマメに募集を出しています。たとえ他社と同じ物件を掲載するにしても、自社に来てもらえるようなキャッチコピーを考えたり、物件写真を自分たちで撮り直したり、更新日付を工夫して上にくるようにしたりしています。

     

    また、オプション料金を払えば検索結果画面で上位表示させることできるので、ポータルサイトにお金を払うことで、自社に入居者を取り囲めるようにしています。

     

    ですから、私たちがスーモに物件掲載して「客付けを頑張っています」とオーナーにアピールするより、そこは営業力に優れた業者さんにお任せして、その会社のネームバリューで客付けしてもらったほうが、結果的に入居者さんが早く見つかります。街の客付け業者さんと正面から張り合うよりは、良い関係を持つべきです。

     

    先ほどの、大田区の新築アパートの空室が埋まらなかったのは、管理会社が仲介会社に合わせるという発想がないことも原因です。

     

    ◆管理会社の正しい選び方

     

    賃貸管理業務というのは手間こそかかりますが、業務内容そのものは難しいものではありません。では、そんな管理業務をどの会社に任せるのか、管理会社選びで大事なのは「その会社が良い管理会社かどうか」という点です。客観的に判断する材料としては、次のようなものが参考になります。

     

    ●管理のエリア・・・地元に注力しているか。無理に範囲を広げていないか

    ●管理サービス・・・低価格だけを売りにしていないか

    ●管理物件の内容、委託したい物件と同じようなグレードの物件の管理実績があるか

    ●オーナーの課題を積極的にヒアリングし、柔軟な提案をしてくれるか

    ●管理業務委託契約の条文を確認し、解約ペナルティが重くないか、オーナーに一方的に不利な内容がないか

     

    賃貸経営の成功には、優秀なパートナー選びが重要です。オーナーさんの判断の物差しはどうしても値段になりがちです。たしかに値段も大事ですが、それ以上に、

     

    ① 管理の内容が、管理会社にとっても効率的かどうか

    ② 提案内容に納得できるかどうか

    ③ 自分がどれだけ動かなくて済むか

     

    この3点が大切です。

     

    ひと口に不動産オーナーといっても、さまざまなタイプがあります。自分で徹底して管理したい人は、「人に任せることがストレスに感じる」から自分でやるのが合理的なのです。「自分の物件が気になって仕方ない」という人が足繁く物件に通ったり、「自分でいろいろやりたい」という人が自主管理でDIYをするのもいいでしょう。反対に入居者からの細かなクレーム対応をストレスと感じるなら、管理会社を入れるべきでしょう。

     

    物件管理を任せるにあたり、管理会社の実力を見極めるのは、簡単なことではありません。実際にあった例ですが、管理戸数を実際より多く見せて、規模をアピールしたり、管理サービスの優秀さを謳うものの、任せてみれば実態はまったく違っていたり、現場の担当者によって対応が大きく異なるなど、受託営業にのみ力を入れている業者もあります。先ほどのポイントを参考にして、不安なことが一つでもあれば、やめておいてもいいかもしれません。

    名古屋・築5年マンション「部屋はカビだらけ…」スラム化の謎

    不動産業者の「煽り文句」にまんまと乗せられた

    【相談内容】

    1年半前にロバート・キヨサキの『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んで不動産投資に興味を持ちました。さっそくいくつかセミナーに参加して、複数の業者さんから物件情報をもらうようになりました。

     

    今年の5月頃にオーバーローンで融資可能な名古屋の築浅RC造マンションを紹介されて購入したのですが、そのときに業者さんから「すでに何人か希望者がいるので、購入希望があるならすぐ買付証明を出してください」と言われ、物件を見ることなく決めてしまいました。それまで購入に迷っていて買えなかったことが度々あったので焦っていたのも理由です。

     

    買い付けから融資の審査も無事に通り、念願のマンションオーナーになれたのですが、購入後に見に行ってみると築5年にしては薄汚れていて、エントランスはゴミだらけ。駐車場も雑草が伸びていて粗大ゴミが放置されています。2つある空室のうち1つはカビだらけでボロボロの状態でした。

     

    見ずに購入する人も結構いると聞いていたのですが、物件がこんなにひどい状態というのはわかりませんでした。

     

    (写真はイメージです/PIXTA)
    (写真はイメージです/PIXTA)

     

     

    ◆「買いたい病」にかかった投資家は焦りすぎる

     

    これは典型的な「買わされてしまった失敗」です。業者から「購入したいなら、すぐ買い付けを入れてください。早いもの順ですから!」と煽られ、焦って購入して後悔しています。このようにスピードを重視することは、結果的にリスクにつながります。車のスピードを出しすぎたら事故を起こす確率が上がるのと同じです。

     

    1億円以上の大きな買い物をするのに、即答を求められるのがそもそも間違っていると思います。たしかに迅速な判断は必要ですが、「買いたい病」にかかってしまって、いろいろなことが冷静に考えられないのであれば、いったんストップすべきでしょう。

     

    不動産における失敗の怖いところは、数百万、数千万円の損失になることが珍しくないことです。仮に資金を補塡してリカバリーすることができたとしても、想定もしなかった損失に対して、保有を続けることに不安を抱えてしまう方もいらっしゃいます。また、収支が合わず赤字になったときに、月々の給料から補塡することになりますが、その支払いも何十年も続くとなれば、精神的にも持ちこたえられる人は非常に少ないと思います。

     

    持ちこたえれないので売却するとなると、損切りで売ることができればいいですが、状況によってはそれもままなりません。売ることもできず、また物件で稼ぐこともできず、まさに八方ふさがりになってしまうのです。これらの失敗に陥る大きな原因は、物件を見ることもせずに「たぶん大丈夫」と買ってしまうことから起こります。

     

    不動産業者からすれば重要事項説明をすれば、法律上は義務が果たせます。「しっかりとした修繕計画を添えたうえで販売しなくてはいけない」という決まりはありませんから、買う側の責任になるのです。

     

    やはり、しっかりとお金の勘定をしないといけません。共有部分の清掃や草むしり、リフォームにコストがかかるのは当たり前です。これらの金額をあらかじめ見積もったうえで、しっかりキャッシュフローが出る物件を選びましょう。

     

    ◆物件は必ず、自分の目で確認する

     

    物件の状態を知るには、現地で調査することが必要です。最近は現地へ足を運ばずに買う人も多いですが、それだけリスクが高いものをつかまされる可能性が高くなります。

     

    物件を見ない人の理由として、「見てもわからないから」「見ていたら間に合わないから」という投資家の声も聞きます。例えば、六本木ヒルズのひと部屋が売りに出て「2億円で利回り5%出ます!」と言われれば、立地も建物への心配も楽観的に考えられるので、もしかしたら見に行かないかもしれません。

     

    そういった区分マンションのオーナーチェンジの物件の場合では、部屋の中に入れませんから、外観だけを見て帰ってくるだけです。それに投資家は建築に関しては素人ですから、配管がどのようになっているのかなどは見てもわかりません。

     

    それよりは、管理組合にある書類を確認して、これまで大規模修繕がどれくらいされているのか、今後の計画はどうなっているのか、また修繕積み立てがどれくらい貯まっているのかを確認するのが良いと思います。

     

    しかし、アパート・マンションなど一棟物件は必ず自分の目で確認しましょう。少なくとも物件の状態に関しては、現地へ行けばわかるものです。専門的な知識がなくても、共有部にゴミがあふれていないか、スラム化していないか、自転車が放置されていないか、くらいは確認できます。

     

    では、いざ現地に行ってみたら駐車場が荒れていて雑草が生い茂っていたとします。ベランダを見ると入居者が置いた放置ゴミが多く、ポストの中を覗くと、それこそ督促状が詰まっている人もいるわけです。このような人が住んでいるのなら、家賃も払っていないかもしれません。こうした懸念に対しては、しっかりと裏を取ってチェックする作業を怠らないことです。

     

    特に一棟物件は、どのように管理をされていたのかで、建物の状態が変わるものです。築10年程度にもかかわらず荒んでいる物件はありますし、逆に築50年でも花壇に花が咲き、よく手入れされた物件もあります。外から見れば築年数は経っていても、しっかりと掃除が行き届いていればわかります。共有部の電気もしっかりついて、ポストもキレイに保たれていれば入居希望者にも良い印象を与えます。そういった目に見てわかることこそ、しっかり確認して物件選びの判断材料にしましょう。

    業者の意見は様々!同じ地域でも複数回のヒアリングを

    ◆購入時のヒアリング方法

     

    自分で物件調査どころかヒアリングも行わずに、二言目には「業者さんが『この賃料で必ず入る』と言っている!」などと、業者の言うことを鵜呑みにしてしまう投資家は多くいます。

     

    それはどういう判断基準なのか、なんの根拠があって「入る」と断言できるのか。市場調査をした結果であれば理解はできますが、売買仲介の営業マンが言っているだけの話を鵜呑みにして買ってしまうのはどうかと思います。

     

    表向きの賃料でなく、必ず地元の不動産業者にヒアリングして、適正な賃料で計算し直しましょう。同じ利回りを取るのであれば、戸当たりの賃料が高いほど良いと考えます。

     

    ヒアリングに関しては、さまざまな投資の本にも書いてありますが、遠隔で購入する場合は電話で行うケースが多いでしょう。インターネットで「物件のある地名+賃貸」で検索すれば、客付け会社が出てくるか、もしくはアットホームなどの取扱業者が出てくるので、その上位3〜5社に電話をしてヒアリングします。

     

    自社で相場を調べる場合であれば、不動産業者同士、相手の手の内がわかりますから、聞き出すのはお手のものです。例えばA社に電話をして「神奈川県の相鉄線の某駅でアパート1棟10室を募集する予定なのですが、1Kで15平米だと、家賃はどれくらいするものですか? 5万円くらいはつくかなと考えていますが……」と聞くとしましょう。

     

    するとA社からは「いやいや、今のご時世なら4万円しかつかないよ」という返事。しかし、その後でB社に聞くと、「5万円くらいならいけるのではないですか」と答えました。

     

    このように、地域の不動産業者にもさまざまな見解があります。保守的なことばかり言う人がいれば、とてもポジティブな人もいます。どちらが良い悪いではなく、どちらもある意味で事実なのです。何人かに聞いて総合的に判断するのが一番です。

     

    そして、A社とB社の回答から、4万円から5万円まで幅があることを受け止めて、自分はどこまでリスクを負うか、平均値でいいのか、あるいは「リスクは負いたくないから、低めの家賃で見ておこう」といった判断もあるでしょう。そこは己を知って判断する必要があります。

     

    また、募集する際の条件や入居者の属性も併せて聞いておきましょう。礼金敷金はとれるのか、主にどんな職業、年齢の人が見込まれるのかなども必要な情報です。

     

    ヒアリングについては、「電話で聞く」「直接行く」の2種類がありますが、物件によっては、「レインズ※」などで表に出ることのないものもあります。地主が「周りに気づかれないようにひっそり売りたい」と希望した場合など、「あの物件を買うんです!」と、うっかり地元の人に言いふらしてほしくないケースもあるのです。

     

    ※レインズ・・・国土交通大臣が指定する不動産業者間のデータベースで、日本全国の売買情報、賃貸情報が掲載されている。全国どの業者であっても閲覧可能で、どの業者でも取り扱うことができる。

     

    そのようなケースでも、例えば、「これは表に出ていない売買情報で、購入はまだ確定でないので、具体的な住所は言えないのですが、〇〇町にある鉄骨で、築20年の1K物件の賃料相場を教えてください」とオブラートに包んだまま告げるのです。

     

    このようにしっかりと聞き出すと、相手もボカシながらも教えてくれます。地方で棟数が少なければ、言わなくても物件の見当がつくものです。そのため精度の高い調査ができるでしょう。

     

    これが東京になると件数が増えて探すのにも一苦労です。業者のヒアリングも「あくまで相場を教えてもらう」ということにとどまるケースがほとんどです。中には、直接ヒアリングを行う投資家で、「ライバル物件の内見をする」という人もいるそうです。「子供を一人暮らしさせたい」「転勤の予定がある」などといった理由をつけて内見を行います。

     

    ライバル物件そのものを調査して、家賃や募集条件だけでなく、どんな印象の部屋なのか、どの程度の内装なのか、設備は何があるのかまで調査できれば、それに勝るものはありません。

     

    そこまで市場調査ができているわけですから、そのような人であれば失敗する確率は少ないでしょう。このようにやり方はさまざまですが、何かしらの形で物件調査・ヒアリングを行いましょう。


    プロが考える不動産投資の利点「他の投資に比べて“経営”に近い」


    不動産投資のコンサルティングを行う株式会社アセットビルドの代表取締役であり、自身も投資のプロとして実績を積み上げてきた猪俣淳さん。前回までに聞いた「不動産のポートフォリオ」という考えは、その後の投資キャリアでさらに洗練されていったと言います。詳しく伺いました。

    工事着工前、まだ土地造成中の物件を購入した理由とは

    ――前回、2軒目の投資物件を購入したところまで伺いました。この時におっしゃっていたのが、物件ごとの数字ではなく、全物件を合わせたトータルのポートフォリオで見ていくということでしたね。 そうですね。全体のポートフォリオを見ていく手法は、以降も変わりません。たとえばローンを借りて物件を購入した場合、最終的には売却という出口を取ることが多いですよね。私の場合、市場を見ながら「保有を継続した場合のキャシュフローと比較して」ある程度の手取りを取れると見れば、すぐに売却して次に買う物件の頭金にしていきました。そうやって、スピーディに物件を買うサイクルを回し、不動産投資のポートフォリオを作り込んでいったのです。 ――さまざまな物件を揃えていったということでしょうか。 はい。たとえば2006年には、横浜市内の新築物件を5800万円で購入しました。といっても、まだ着工前、土地を造成している最中の購入でした。通常、工事着工前の物件は、完成済みのものに比べて売りづらいのがこの業界の常識です。建物がどんなものになるかイメージできないですし、全室空室の状態からスタートしないといけません。ただ、その分安く買えるメリットがあります。また、この物件は間取りや仕様を当初の計画から変更するなど、追加差額を負担することにより、自分の要望を反映させ物件をアレンジできたのも利点でした。 この物件を購入したのも、その時点で保有しているいくつかの物件に対し「これらの物件と組み合わせるためにこんな物件がほしい」とポートフォリオを作り込むためです。すべて保有物件との組み合わせを意識し、それに適した物件を購入していったのです。

    購入する物件は、自分の全体ポートフォリオを見ながら決める

    ――ポートフォリオを作り込むと。 株式会社アセットビルドの代表取締役 猪俣淳さん そうですね。たとえば不動産投資では、リスクとリターンを横軸・縦軸で表した、4つの投資分類が語られます。基本的に、リスクが低ければ低いほど想定できるリターンも低く、リスクを引き上げれば得られるリターンは高くなりますよね。そこで、低リスク低リターンの投資法を「コア型投資」と呼び、そこからリスク・リターンが高くなるにつれて「コアプラス型投資」「バリューアッド投資」「オポチュニスティック型投資」と呼ばれます。 ――不動産投資の4類型と呼ばれるものですね。 どれを好むかは人それぞれで構わないのですが、ありがちなのは自分が良いと思う型ばかりの投資をしようとするケースです。それで狙い通りの分類にいけば良いですが、不動産投資は自分の予測からズレるケースもある。コアプラスを狙ったがコアになった、バリューアッド狙ったがオポチュニスティックになったなど。 ――想定していたリスク・リターンからズレるということですよね。 そこで重要なのは、1個の分類だけ狙って物件を購入するのではなく、いろいろな投資分類を行う中で、最終的にポートフォリオ全体の数字が自分の好む分類に収斂することです。1軒1軒すべて狙い通りの分類に当てはめるのは難しいので、ポートフォリオを作りながら、全体トータルでのバランスが狙い通りの分類になることなんですね。 ――なるほど。 大切なのは自分の投資ポートフォリオ全体を合わせた時、どの分類にいるかを知ること。その上で、もっとコア型に寄せたければそういった物件を増やす。これがポートフォリオを作り込んでいくことですね。

    投資や金融も。31の資格を持つ中で感じる不動産投資の良さ

    ――ちなみに、猪俣さんは30以上の資格を持っていると伺いましたが、どんな資格なのですか? 不動産や建築、賃貸管理の資格はもちろんですが、投資や金融、保険の分野も持っています。何事も掘り下げたくなる性格なので、不動産投資をやる中で建築や投資、いろいろな分野を勉強したくなりました。それで資格が31種類にまで増えていったのです。 ――その中でいろいろな投資や金融全般の知識も身につけたと思いますが、猪俣さんが考える不動産投資の良さとはなんですか。 事業に近いということですかね。経営者に似ているというか。有名な本「金持ち父さん貧乏父さん」の中に、すべての職業を4つに分ける話がありますよね。「E:従業員」「S:自営業者・専門家」「B:ビジネスオーナー」「I:投資家」という。不動産投資は、IとBの中間あたりではないかと思うんです。 ――ビジネスオーナーと投資家の中間だと。 はい。他の投資に比べて、自分が関われる、自分の工夫で成果を上げられる要素が多いんです。たとえば先ほど話した着工前の物件も、すでに8室になるのは決まっていて、間取りも計画されていました。しかし、その計画では一部屋あたりの広さが周辺の競合物件より狭く、入居者募集に苦戦することが予想されたのです。そこでミリ単位で間取りを再検討し、バストイレ別にしたり、収納スペースを捻出したり、あるいはエントランス周りのバリューアップをしたりしました。 ――そういった自分の工夫ができるわけですね。 そうですね。リフォームやリノベで物件のバリューアップをして賃料を上げる、運営方法を改善して稼働率を高める、募集方法を工夫して空室を解消する、融資を見直して返済負担を下げる。自分自身の経営努力で利益率を高められる可能性はいくらでもあります。こういった部分の余地が大きく、それを自分の判断でできるのは不動産投資の良さではないでしょうか。 ――確かに、不動産投資ならではの良さかもしれません。 ただ、この辺りの采配や投資判断にもそれなりの知識が必要です。不動産投資を本格的にやられている方の中でも、それを系統だてて学んでいる方は意外と少ない。独自に手探りでやっているケースの方が多いかもしれません。 ――そうなんですね。 加えて、不動産投資は結果が出るまでの期間が長い投資です。物件を複数所有し、10年以上経ってやっと本当の成果が明らかになってきます。最初のうちの結果(たとえばキャシュフロー)が良くても、保有期間中のメンテ関連の出費や売却出口での損益など投資期間全体のパフォーマンスを見ない事には、実際に成功していたのかどうかということがわかりません。「不動産投資で成功している」という方の中には、取組みして数年の成果をもってして成功と定義づけるケースも少なくなく、そのやり方をそのまま鵜呑みにしてしまうと、希望していたような成果とはかけ離れたものになってしまう恐れもあります。 だからこそ、その人がどれだけ長く不動産投資をしているのか、あるいは入口から出口まで一通りの経験を踏んでいるかという点も、ひとつの注目すべきポイントということになると思います。そうして信頼できる人から基本を学ぶのが大切だということを付け加えておきます。

    独身50代男が「築古マンションで孤独死」遺体の腐敗は進み…

    男性の孤独死…部屋には臭いが染みついていた

    【入居者の孤独死】

     

    高利回りで購入した築古マンションで起こったトラブルです。このマンションには長く住んでいる入居者が複数いますが、高齢者や独身の男性が多いようです。つい先日、50代の男性の突然死がありました。連休だったこともあり、勤め先の人が様子を見に来るまで1週間ほどあり、遺体はだいぶ腐敗が進んでいました。

     

    (※写真はイメージです/PIXTA)
    (※写真はイメージです/PIXTA)

     

    部屋には臭いが染みつき、床がだいぶ傷んでいます。リフォーム業者に見てもらったところフローリングとその土台まで換える必要があるということ、また長期入居だったため水回りもすべて交換となり、総額で100万円以上かかります。

     

    身寄りのない方ではありませんが、独身でご両親が高齢ということもあり、損害を賠償する能力もなさそうです。管理会社に相談したところ、経年劣化分を含めると、請求できるのは一割程度とのこと。それも支払ってもらえる保証はありません。そうなると完全に赤字です。いったい、どうしたら良いのでしょうか。

     

     

    ◆高齢者ではなく中年のほうが孤独死しやすい

     

    入居者の死は、どんな物件であっても起こりうるリスクの一つです。よく高齢者に対して孤独死を心配される不動産オーナーが多いですが、後期高齢者ともなれば、介護サービスを受けたり、体調の問題から定期的に病院に通うなど、何かしら外部との接点を持ちます。地域の高齢者サークルに属していて、急に顔を見せなくなれば「どうしたのだろう?」と気にかける友人もいるでしょう。

     

    これが50代60代の単身者で身寄りがなければ、誰からも目をかけてもらえない可能性があります。とりわけ男性は、女性に比べてコミュニティに属さない人が多いようです。家族の存在がない、あるいは顔を出せないなどの理由から、どんどん世間から孤立してしまいがちです。

     

    孤独死はそのような人に起こりがちです。意外にも50代の独身男性が突然死するケースが多いそうです。

     

    何の前兆もなく働き盛りの人を襲う突然死は、「予期していない突然の病死」を指します。発症から死亡までの時間が24時間以内という医学的定義がされており、突然死の原因には、心不全、急性心筋梗塞、狭心症など心臓病によるものが多く、ほかに脳血管障害、消化器疾患などもあるそうです。突発的に倒れても、発見が早ければ助かることも多い反面、一人暮らしの部屋で誰にも看取られず亡くなるケースもあり、日数が経過してから遺体が発見されることもあります。

     

    一番の問題としては、遺体が腐敗すると一般的な原状回復リフォーム程度では、部屋が元に戻らないということです。遺体のあった床をはがしたところ、そのまた下地まで脂染みが人の形になっていると聞きます。もちろん、臭いも染みついて何カ月もとれません。こうなると特殊清掃や大がかりなリフォームを行わなくてはいけません。

     

    この孤独死の問題をより深刻にしているのは、亡くなった後に誰も頼れる人がいないときです。遺品の整理といった残置物の処理やリフォーム代金の請求などが行えず、困っているオーナーも多くいます。こうした孤立死の増加に伴い、リスクに備えるための保険もあります。

     

    ●「孤独死」保険補償の例

    ・原状回復費用保険金…遺品整理費用、清掃・消臭費用、死亡事故によって破損・汚損が生じた箇所の修復費用を1事故最大100万円まで補償。

    ・家賃保証保険金…空室期間や値引き期間の家賃を、最長12カ月間、1事故最大200万円補償。

    ・事故見舞金…死亡事故が発生したものの、破損・汚損等がなく、被保険者の費用負担が生じないなどで原状回復費用保険金の支払い事由に該当しない場合に5万円(定額)の見舞金を支払う。

    「瑕疵物件」と判断されない基準は…

    ◆「瑕疵付き物件」となるリスク

     

    孤独死でも、早急に発見されて病死ということであれば事故にはなりません。例えば、その日の午前中に亡くなり、午後に発見でもされて病院に搬送されるようなケースでは、瑕疵物件にはなりません。

     

    それは相当にまれなケースで、多くは遺体が腐敗するまで気がつかず、部屋の中から死臭が出てから初めて発見されるということが多いです。

     

    このように、時間が経過してしまうと、たとえ病気が原因で亡くなったとしても、警察からは不審死として扱われてしまうのです。これは本当に大きなリスクです。部屋で人が亡くなったことは、告知事項となり、入居募集の際、伝えなくてはいけません。そのため、家賃を3割程度下げて募集することになります。

     

    ※告知事項…「事前に知っていたら部屋を借りなかっただろう」と思われる事実のこと。一般的にはその部屋で自殺や殺人などが起きた場合に該当する。こういった部屋は「事故物件」「心理的瑕疵物件」「瑕疵付き物件」などと呼ばれ、事故の事実があれば、契約前に行われる「重要事項説明」で内容が知らされる。

     

    賃貸は入居者が回転していけば、告知をしなくてもよくなりますが、これが売買になると絶対についてまわります。売買するときには、事故があった事実を告げなければいけないため、一度事故が起これば、ずっと「瑕疵付き物件」として扱われます。そのため、買った値段では売れない可能性が高いのです。

     

    こうした入居者のリスクをしっかりと理解してから買っているのか買っていないのかにより、その人の投資計画における安定に大きく影響を与えてしまいます。

    安易な節税対策…おじいちゃんの置き土産が招く「一族崩壊」

    無理な借入金を行うと最後は身ぐるみ剥がされる?

    今回のバブルが崩壊すると、甚大な被害が予想されるのが、節税対策を施した(つもりだった)湾岸タワマンオーナーや郊外部のアパートオーナーです。

     

    いつの時代でも、無理な借入金を行なうと最後は身ぐるみ剝がされるというのは、真鍋昌平さんの漫画『闇金ウシジマくん』でも繰り返し描かれている世界です。借入金は予定通りに返済できているときには、自分の生活基盤が一段上がったかのような気持ちになれます。

     

     

    しかし、借入金はどんなに金利が低くとも、元本を返済しない限りは、返済の呪縛から逃れることはできません。そして元本を返済するだけの「稼ぎ」を確保するには、自らの事業が順調に稼げているかを常にチェックする必要があります。

     

    私は長らく不動産の仕事に関わってきて、相続を中心としたいわゆる「節税対策」の不動産投資の実態をつぶさに見てきましたが、どうも多くの不動産オーナーが節税対策を行なうことばかりに考えが集中して、借入金の返済について「深く考えていない」のではないかと思われるケースが多いことに驚いています。

     

    一方でメディアを中心に、こうした節税対策をセールスする側が、リスクに対する説明を十分に行なわず、高齢者などの不動産オーナーが「騙される」ことを社会問題として大きく取り上げる傾向にあります。

     

    もちろん、世の中には悪い業者も存在することは事実です。特に不動産業界は、業に携わる自分が言うのもなんですが、魑魅魍魎が跋扈する世界でもあります。

     

    しかし、たまたま訪ねてきたセールスマンの感じが良かったとか、とても人を騙すようには見えなかったというだけの理由で、何千万あるいは何億もするようなアパート投資やマンション投資を行なうのは、不動産オーナー側にも「事業」を行なう上であまりに見識がなく、そして無防備すぎるようにも見えます。

    アパート建設についていえば、たくさんの土地を所有するオーナーであれば、ほぼ必ず業者や銀行がやってきて有利な節税対策になるとのセールスを受けたことが一度や二度ならずあるはずです。実際に更地で所有したままで相続が発生するよりもアパートなどの賃貸建物を、借入金を活用して建設し、運用を行なった上で相続を迎えるほうが、相続税ははるかに安くなるというのはそのとおりです。

    サブリースには隠れた数々の契約がある

    しかしそのストーリーは、あたりまえですがアパート事業というビジネスが順調であることが大前提です。日本は少子高齢化が進行していることくらいは、誰でもが知っているはずです。そして、自分が所有する土地の周辺に、アパートニーズがどの程度ありそうか、そのくらいはセールスマンの口上を聞くだけではなく、よく考えて判断したいものです。

     

    自分のアパートを建設してから周りじゅうに同じようなアパートが建って驚いたなどという感想もよく聞きますが、業者が自分だけに耳寄りなアパート投資の話をしているはずがありません。エリア内の需給バランスと将来的なリスクくらいには目を配っておきたいところです。

     

    牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)
    牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)

    トラブルになりやすいのが、サブリースです。サブリースはアパート業者が一定期間アパートを借り上げて、賃料を保証してくれる仕組みです。だからアパート事業など何も知らなくとも安心、と考えがちです。たとえ空室が多くとも業者が保証してくれるからです。

     

    しかしアパート業者とて、商売です。こうした契約にはいろいろな条件を付して、大きなリスクを会社としてもとらないように工夫をしています。多くの場合は建物賃貸借契約期間とサブリース契約期間が異なることです。賃貸借期間は30年であってもサブリースによる保証は10年間だけだったり、保証金額も5年で変更できるといったものもあります。

     

    また、サブリース期間満了時には、指定された業者によるリニューアル工事を行なわなければサブリース契約を継続しない、といった条項も多くの契約内容に見ることができます。サブリースは業者にとっても大きなリスクです。当然そのリスクをどこかで穴埋めしなくては、商売にはならないのです。

     

    こうした契約内容をよく理解せずに、金融機関から言われるままに多額の借入金を調達し、アパート経営を始めたつもり、になっている不動産オーナーが数多く存在します。

     

    さて、不動産バブル崩壊が現実となった場合、こうしたアパートオーナーたちはどうなるでしょうか。まず、マーケットでの金利水準が上昇することによって、アパートローンの金利が上昇するリスクがあります。景気の悪化を受けてアパートの空室が増え、テナントの賃料が下落するリスクも顕在化します。

     

    サブリースだから安心と思っても、業者側から保証賃料の引き下げを求められるリスクもあります。「保証したじゃないか」と考えたいところですが、日本では借家法によって不動産の借主はサブリース業者であろうとも、法的にはきわめて有利に保護されています。

    安易な相続税の節税対策が招く一族の崩壊

    つまり、一般のマーケット相場に比べて著しく高い賃料を支払っている場合には、借家料の減額が法的にも認められるのが、日本の法律なのです。当然ですが、これまでの空室のリスクやマーケット賃料との乖離分を穴埋めしてきた業者側も、大きな損失をすでに被っているケースが多いのがバブル崩壊です。お互いさまとはいえ、不動産を実際に所有しているのはオーナー側です。事業上のリスクの顕在化に気づかされるのは、まさにこのバブル崩壊時だというわけです。

     

    賃料収入が下がり、金利は上がって返済できなくなる。こうしたアパートオーナーが続出することがバブル崩壊時には容易に予想されます。

     

    同様に、湾岸のタワーマンションなどを相続対策で購入した富裕層にも、大きなリスクが降りかかりそうです。タワーマンションは、上層階と下層階で販売価格に大きな価格差があります。相続時の不動産評価額はこれまで、マンションの階数には関係なく、土地は路線価額、建物は固定資産税評価額を基準に算定されてきたので、高層階ほど時価と評価額の乖離が大きく、相続税の節税に効果が高いと喧伝されてきました。実際に湾岸エリアに限らず、多くのタワマンで高層階は外国人投資家と相続対策のために購入した個人富裕層による購入で占められてきました。

     

    たしかに相続税の節税効果は高いのですが、バブルが崩壊して外国人投資家が「売り逃げ」を図ると、マンション相場は下落に向かいます。ところが、相続対策で買った人たちは、相続が発生しない限り節税効果は享受できないので、相場が下がっていっても「売るに売れない」状態に陥ります。

     

    問題なのはこうした層は、節税効果を高めるためにハイレバレッジ、つまり購入価格のほとんどを借入金で購(あがな)っていることです。価格が借入金の元本以下に下がれば、借入金を返済できなくなる恐れが顕在化します。

     

    そしてこれらの借入金の多くは、購入者が高齢であることから相続人である子供や孫を連帯保証人にしています。おじいちゃんが亡くなって、たしかに節税は享受できても、その後に残ったタワマンが売れない、賃貸に出しても思ったような賃料でテナントが入らない、などという事態を、購入時にはあまり想定していない可能性が高いのです。

     

    アパート投資もタワマン節税も根っこは同じです。子供や孫に相続税の負担をかけまいという親心が、多額の借入金という「とんでもない置き土産」を残して天国にいってしまう、「バブル崩壊」が「一族崩壊」につながってしまうのです。

     

    牧野 知弘
    オラガ総研 代表取締役


    住みやすくても治安が…「竹ノ塚」20年後も不安視されるワケ


    「竹ノ塚=治安が悪い」は本当か?

    「竹ノ塚」は、東京都足立区の北部位置する、東武鉄道伊勢崎線の駅です。東武伊勢崎線は「北千住」で東京メトロ日比谷線と相互運転を行っているため、都心にもダイレクトにアクセスすることができます。

    足立区のターミナル「北千住」までは9分、「秋葉原」28分、「銀座」42分、「六本木」53分(平日8時に「竹ノ塚」を出発した場合の目安)。「北千住」からは、JR常磐線や東京メトロ千代田線、つくばエクスプレスに乗り換えて、様々な都心主要エリアにアクセスできます。

    竹ノ塚は、高度成長期、日本住宅公団が駅東側の100ヘクタールの農地を区画整理し、のべ2800戸以上の団地を建設して発展した街です。その歴史を象徴するかのように、竹ノ塚駅を降りると、ロータリーを囲む巨大な団地がそびえ建ちます。

    また駅は各駅停車しか停まりませんが、バス便が発達。足立区北東部の花畑地区などを結ぶ、ターミナル的役割を担っています。

    駅周辺には、「ピーコック」や「イトーヨーカドー」のほか、全国区のドラッグストアや100円ショップ、飲食チェーンなど、お馴染みの店が集積する一方で、地元密着型の個店で構成される商店街「竹ノ塚 カリンロード商店会」があり、良好な買い物環境が広がっています。また物価の安さでも評判で、住宅情報誌では「住みやすい街」としても評価されている街です。



    一方で、夜になると別の顔をのぞかせるのが竹ノ塚。特に駅南東エリアは飲食店が集中する歓楽街で、50ほどのフィリピンパブが並び、フィリピン人コミュニティを形成していることから、通称「リトルマニラ」とも呼ばれています。

    そんな夜の街で、今年、新型コロナウイルスのクラスターが発生。思わぬところでフィリピン街の存在が広く知られるようになりました。また従来から竹ノ塚は、治安の悪さを指摘する声が多く聞かれます。実際はどうなのでしょうか。

    警視庁による、足立区全267町丁の犯罪認知件数(図表1)を見ていくと、区の平均は、17.8件/年。「竹ノ塚」駅周辺では、区平均をほぼ上回っています。特に駅東口を出て北側の「竹の塚6丁目」と、歓楽街となっている「竹の塚1丁目」は、区平均の5倍強と突出しています。

    犯行手口別に見ていくと、前出のエリアでは、歓楽街ゆえ粗暴犯が多く、お酒を飲んで楽しんだ際には、気を付けたほうがいいでしょう。またターミナル駅ということもあり、駅周辺では自転車窃盗が多発。実は足立区は、平坦な道が多く自転車利用者が多いということもあり、東京23区のなかでも自転車窃盗の多いエリアとして知られています。そこで足立区では、平成30年から自転車のカギがけが義務化。徐々にですが、その効果が表れています。

    出所:警視庁 平成31年(令和元年)区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数
    [図表2]「竹ノ塚」周辺の犯罪認知件数出所:警視庁 平成31年(令和元年)区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数

    高度成長期に誕生…大規模団地で高齢化が進行

    そんな「竹ノ塚」周辺は、不動産投資の観点でみていくと、どのようなエリアなのでしょうか。見ていきましょう。

    まずエリアの人口構造をみていきます。直近の国勢調査をみてみると(図表2)、「竹ノ塚」のある足立区の人口は67万人強で、東京23区のなかでは5番目に多い人口を誇ります。23区平均と比べると、子どもと高齢者が多く、労働者層は少ないという構造から、ファミリー層が多いエリアだということがわかります。

    一方、「竹ノ塚」周辺に絞ってみていくと、区平均と比較して、若者が少なく、高齢者が多いという傾向があります。高度成長期に造成された団地では、住民の高齢化が進んでいるため、このような結果になったのだと推測されます。また区平均よりも外国人比率のポイントが高いのは、前出の通り、フィリピン人コミュニティが構築されている点などが影響していると思われます。

    出所:平成27年「国勢調査」より
    [図表2]足立区、「竹ノ塚」周辺の人口動態出所:平成27年「国勢調査」より

    次に、世帯についてみていきましょう(図表3)。足立区では単身者世帯の割合が、23区平均よりも9ポイント近く低く、ファミリー層に選ばれるエリアであることがわかります。これは賃貸物件における世帯数と世帯人数の関係(図表4)からも明らかです。また「竹ノ塚」周辺では、区平均より若干、単身者が多く、なかでも単身の高齢者世帯が3ポイント近くも高いという結果に。団地入居者の高齢化が、地域の問題になっていると推測できるでしょう。

    出所:平成27年「国勢調査」より
    [図表3]足立区、「竹ノ塚」周辺の世帯の状況出所:平成27年「国勢調査」より
    出所:平成27年「国勢調査」より
    [図表4]足立区、「竹ノ塚」周辺の賃貸物件入居世帯の状況出所:平成27年「国勢調査」より

    中古マンションの取引数は上昇トレンド

    賃貸マーケットの状況をみていきましょう(図表5)。最寄駅からの1Kの賃貸物件の平均家賃をみていくと、足立区平均では、駅10分以内で5.96万円、11分以上が5.80万円。「竹ノ塚」だけに焦点をしぼっていくと、駅チカでは、若干区の平均を下回る程度。しかし駅から離れていくと、その差は大きくなっていきます。賃貸物件の家賃において、「竹ノ塚」駅周辺は、駅からの距離をうけやすいエリアだということがわかるでしょう。

    出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(8月19日時点)
    [図表5]「竹ノ塚」駅周辺の平均家賃出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
    会調べ(8月19日時点)

    次に賃貸物件の築年数の分布をみていきましょう(図表6)。足立区で多いのが1980年代に建てられた、築30~40年ほどの物件で、全体の5分の1強を占めます。一方で、2010年以降、新築物件の供給も盛んで、23区平均を上回っています。

    出所:総務省統計局 平成30年「住宅・土地統計調査」より
    [図表6]足立区における賃貸物件の築年数の分布出所:総務省統計局 平成30年「住宅・土地統計調査」より

    そんな足立区の中古賃貸物件の取引価格(図表8)は、1平米あたり30万円強。23区平均の半値以下で、お得感を覚えるエリアです。また竹ノ塚周辺の中古マンションの取引件数(図表9)は、この5年間、緩やかな上昇トレンド。活発な不動産取引がされているエリアだといえるでしょう。

    出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
    [図表7]足立区における中古マンションの取引金額出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
    出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成
    [図表9]「竹ノ塚」周辺における、中古マンションの取引数の推移出所:国土交通省 「土地情報総合システム」より作成

    23区でも人口減少幅が大きいと予測される足立区だが…

    不動産投資において、重要なファクターとなる、将来人口の予測をみていきます。日本では、人口減少のトレンドに入っていますが、東京においても例外ではありません。国立社会保障・人口問題研究所では、2030年、1388万2,538人をピークに、東京都でも人口減少が始まるとしています。23区は人口減少が緩やかとされていますが、足立区では、2015年の総人口を100としたとき、2030年には94、2040年には90を割り込むなど、23区のなかでも人口減少のスピードが最も速いとされている自治体のひとつです。

    「竹ノ塚」周辺に焦点を絞ってみていきましょう。黄色~橙で10%以上、緑~黄緑0~10%の人口増加率を表し、青系色で人口減少を示すメッシュ分析(図表10)によると、「竹ノ塚」周辺は、人口減少を示す青系色で染まっています。にぎやかな街の現状に反して、人口減少の波は避けられないと考えられています。

    出所:RESASより作成
    [図表10]2015年~2040年「竹ノ塚」エリアの人口増減率出所:RESASより作成

    治安について議論されること多いの「竹ノ塚」ですが、現在、周辺の不動産取引は活発で、投資家にも注目されているエリアだといえるでしょう。しかし今後23区のなかでも人口減少の幅が大きいという予測から、入居者ニーズを的確につかんでいくことが重要になっていきます。

    しかしコロナ禍によるリモートワークの浸透で、都心回帰の流れに変化が生じ、諸々の予測にも変化が生じる可能性が十分にあるでしょう。賃貸マーケットの動向に注視することが大切です。

    21年連続成長、終わる「フィリピン」経済回復は、いつか?


    アフターコロナに向けた「フィリピン」の状況は?

    世界で増え続ける新型コロナ感染者。世界で最も投資に適した国に選ばれたフィリピンでも、国内経済に大きな打撃を受けています。一方で、アフターコロナに向けた明るい見通しも見えてきました。フィリピン不動産を手がける株式会社GSRのスタッフが現状をレポートします。

    再び感染者数増加で、防疫措置強化へ

    7月下旬あたりから、再び、新型コロナウイルスの新規感染者数が増え始め、多いときには1日5,000~6,000人にもなりました。
    そのような状況を受けて、医療従事者から防疫強化の声が高まり、8月4日から防疫措置が再び強化されることになりました。たとえば、公共交通機関はほとんどが制限され、利用できるのは、会社が独自に手配したシャトルバスだけに限られています。

    現在の感染者(累計)は14.4万人、死亡者数は2,400人あまりです(8月13日現在)。感染者数はインドネシアを抜き、東南アジアで最も多い国になりました。これは検査体制が確立され、検査数そのものが増えたことが一因です。

    フィリピン中央銀行は景気の「ナイキ型回復」を見込む

    先日、GDPの速報値がでました。4~6月は、-16.5%。1981年以降、最もひどい数値となりました。それを受けて、政府は2020年度のGDP予測を-2~3%程度から、良くても-5%と下方修正しました。しかし7月以降は徐々に経済を動き出しているので、これ以上は悪くならないだろうというのが、政財界の見方です。

    またフィリピン中央銀行によれば、新型コロナウイルスのパンデミックによる経済の縮小は、2021年の第一四半期まで続く可能性があるとしています。そして経済の回復は、当初V字回復を見込んでいましたが、ナイキ社のロゴマークにちなんだ「スウッシュ型」という、緩やかなものになるだろうとしています。

    フィリピン経済は、2020年1~3月に-0.2%となり、84四半期連続の成長が止まりました。前回のマイナス成長は、アジア通貨危機のとき。逆に、米国同時多発テロやリーマンショックなども乗り越えて、21年間もプラス成長を遂げてきた事実は、いかにフィリピン経済が好調だったのかを物語っています。

    パンデミックの打撃を最小限に抑えるため、中央銀行は様々な措置を通じ、金融システムに1.3兆ペソを供給。「現状の金融政策で、当面十分であると確信している」としています。

    フィリピン不動産マーケット…回復のカギは?

    先日、世界で展開している不動産コンサルティング会社、コリアーズインターナショナルが、フィリピンの不動産マーケットの先行きを、以下のように見ているというニュースがありました。

    先行き不透明なwithコロナ時代…資産を堅実に増やすためには?


    新型コロナ感染拡大、収入への影響は?

    2019年、公的年金だけでは「人生100年時代」の老後資金が2,000万円足りないという、いわゆる「老後資金2,000万円問題」。さらに検証していくと、定年後、普通に生活していくには、夫婦でプラス2,000万円では到底足りず、老後破産を招きかねない事実が明るみになると、一気に将来への不安が広まりました(関連記事:『2,000万円では足りない!幸せの老後のために、いくら必要か?』)。

    さらに2020年に入ってからは、新型コロナ感染拡大によって景気が減退。会社員の収入にも影響を及ぼし、将来不安はさらに拡大しています。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、3月~6月の「きまって支給する給与」は以下の通りです。

    3月 263,176円(前年比0.0%)
    4月 264,393円(前年比-0.9%)
    5月 257,740円(前年比-2.0%)
    6月 262,095円(前年比-1.3%)*速報値

    3月以降、経済活動の縮小と連動するように前年割れが続いています。また、日本経済団体連合会が6/17に発表した「2020年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」によると、大手企業の夏ボーナス平均は92万5,947円、前年比では6%減少となりました。

    この様に、会社からの給与収入は安定していないという事実は、確定的なものです。

    中島「大企業社員や公務員になれば、一生安泰という考え方は、もはや過去のものだといえます。さらに、世界で爆発的な流行を見せた『新型コロナウイルス』をだれも予見できなかったように、今後も新たな脅威に晒されるかもわからないのです」

    ウイルス感染拡大が企業業績を直撃する事実が浮き彫りになったwithコロナ時代において、「給与の安定を前提とした資産形成」の手法について見なおすべきだという意見を耳にする方も多いことでしょう。

    コロナでも「実需が底堅い」といわれる不動産投資

    様々な種類の投資が存在しますが、比較的簡単に実践しやすいのが「株式投資」。ですが、値動きが激しすぎるという特徴のため、忙しいビジネスマンは、デイトレーダーのように1日中パソコンの前に張り付いているわけにはいきません。結果、リスクの高い投資だといえます。

    そこで、注目が高まっているのが「不動産投資」です。元々、2017~2018年にかけて政府が副業を推進したことで、「副業としての不動産投資」への関心は、日に日に高まっていました。そこにきて、このコロナ禍による景気減退によって、景気変動に強いという不動産投資の特徴が、より鮮明になったのです。

    不動産投資のなかで、特に景気変動に強いといわれているのが、マンションやアパートなど、住宅への投資です。そのニーズは一定数あるのは確実で、さらに新型コロナの流行によるテレワークの定着により、自宅に滞在する時間は増加。アパートやマンションの賃貸需要はさらに増すといわれています。

    そのようなマンションやアパートへの投資のなかでも、会社員にとって身近なのが、初期投資金額が少ない『区分マンション投資』。しかし不動産投資初心者が、その第一歩を踏み出すきっかけになりやすい『区分マンション投資』に対し、中島代表は、このように述べています。

    中島「『区分マンション投資』は基本的にキャピタル狙いの投資なので、売買のたびに経費がかかる上、手続きも大変です。少し儲けても、経費で飛んでしまうこともしばしば。具体的には、登記料や、取得税、仲介料等の経費がかかってしまいます。そもそも、毎月安定した収益が得られる保証はないですし、売買金額の大小に関係無く同じ手続きが必要で、面倒に感じる人も多いことでしょう。

    withコロナ時代で安定した収益を得るためには、キャピタル狙いからインカム狙いへとシフトする必要があります。頻繁に売買するのではなく、万一、仕事がなくなっても困らないように、売らずに所有し続けて確実にインカムが狙える投資が有効です」

    インカム狙いの不動産投資とは、どのような手法なのでしょうか。

    中島「それは『アパート経営』です。まず前提として、収入を得ながら不動産を手に入れることができます。借入れの返済をして余った家賃はそのままその月の収入になり、保有し続けることで、老後に向けた資産形成の一助になります。“備え”をした状態で老後を迎えることの安心感は計り知れません」

    次回以降は何回かに分けて、成功するアパート経営のコツをお話します。

    二重苦「コロナ×海外不動産節税の封じ込め」投資家の選択は…


    「海外不動産節税の封じ込め」×「コロナ」の二重苦

    ■コロナ渦で考える「ハワイ不動産最適化」診断

    2021年から海外中古不動産の減価償却による赤字を活用した、いわゆる減価償却節税が封じ込められることになった(関連記事『税制改正大綱発表、海外不動産節税スキームへの影響を最速解説』『税制改正…「海外不動産節税」封じ込めへの対策案を最速解説』)。

    しかしハワイ州ではロックダウン解除後も、離島間の移動後は2週間の自主隔離が義務付けられており、日本からは容易に立ち入りできない状況が続いている。日本にいる投資家はどう動いてよいかわからず、今は考えるのをやめている方も多いだろう。


    また、観光客がほぼゼロとなったことで実質的にホテルが封鎖され、ホテルコンドミニアムのオーナーは宿泊収入がゼロとなった。管理費などの持ち出しもみられることから、値下げによる売却ケースも目立ち始めた。

    さらに最も効果的な節税といわれている木造住宅(タウンハウス)に関しては、今後は日本人による節税目的の購入はなくなるため、ローカル(現地)での居住用実需のニーズに即した売却を考える必要がある。

    このように税制改正とコロナ渦で出口をどこに見つけたらよいのか迷っている投資家も多い。そこで本記事ではコロナ禍で考える「ハワイ不動産適正化」の方法を考えてみたい。

    ■ハワイ不動産オーナーをとりまく状況の変化

    令和2年度の税制改正により、2021年以降は海外中古不動産の減価償却から生じる不動産所得の赤字が、給与をはじめとしたほかの所得と損益通算ができなくなった。そのため節税スキームが有効な2020年を機会に売却するものと予想されていたが、コロナ騒動により売却の目途が立たなくなった投資家も多い。

    ハワイ不動産投資ブームが始まった2014年当時は、イリカイホテルを中心に中古ホテルコンドミニアムによる節税が注目された。ホテル運営会社が宿泊管理を行ってくれるため投資家自身は煩わしい思いをしない、いわゆる「ほったらかし」で確実な運用益と節税効果を得ることができた。さらにミリラニやカネオヘエリアを中心とした軍関係者向けの安定した賃貸収入を得られるアパート(タウンハウス)は、木造中古物件のため4年で償却できる。現地の銀行から高金利(ハワイでは通常の金利)で資金調達を行いレバレッジを狙う投資家もかなり見受けられた。

    (※写真はイメージです/PIXTA)
    (※写真はイメージです/PIXTA)

    その後日本では民泊新法が施行され、国税庁も「民泊は雑所得」との見解を公表、これにより一部ホテルコンドミニアムでは不動産所得が否認され、雑所得として損益通算できない修正課税も見られた。

    もともとハワイ不動産には、日本人富裕層やアメリカ本土の人々のリゾートとしての別荘実需が存在したが、節税目的の投資家が購入したことによりどんどん価格は上昇した。しかし日本人投資家が購入する物件と、ハワイローカルを含むアメリカ人が購入する物件はエリアが異なり、それぞれ別のルートで売買が行われていたため、節税目的で購入した物件は節税目的の日本人に売却するのが当たり前となっていた。

    今回の税制改正で節税できなくなっただけでなく、日本人投資家以外に売却をする前提で話を進める必要が生じた。空室状態でないと居住目的のローカルには売却しにくいので、契約更新時に空室にして待機しなければならない。

    またハワイ不動産ブーム(購入)からそろそろ5年経過する。「長期譲渡」に該当し、キャピタルゲイン課税の税率も20.315%(短期譲渡は39.63%)の適用を受ける方も多くなってきている。

    「今すぐハワイ不動産を売却」判断のポイントは…

    ■お持ちのハワイ不動産の投資結果を分析

    今お持ちの不動産を売却する場合、現状その投資家がどのような状況になっているのか把握しておく必要がある。急いで手当てをしなければないのか、そうでないのかを見極めるためだ。この場合の判断要素は以下の5つである。


    1.値上がり益
    2.節税効果
    3.利回り益
    4.為替差損益
    5.出口課税

    さらに銀行借り入れを行っている場合には、今後の金利情勢や低金利へのシフトが可能かどうかも判断要素に加わることになる。筆者は上記の4点を考慮し、現在価値で売却した場合の投資効果を計算できるシートを基にコンサルティングしている。

    [図表1][図表2]は、もともと5千50万円の自己資金で始めた不動産投資の結果、6年半で8千850万円まで増やすことがができた(約3千800万円の増加)実例である。


    [図表1]エントリーシート


    [図表2]計算シート

    コロナ渦での売り抜けが思うようにいかない場合、「どこまで下げて売却しても大丈夫なのか」の判断の1つとなるが、ハワイ不動産を売却するということは、ほかの財産(たとえば円預金)にシフトする点を忘れてはならない。つまり売却後にシフトする財産の成長性や安全性との比較した上での意思決定となる。

    コロナで本業の事業資金が不足したためハワイ不動産を売却する場合はともかく、コロナの影響を受けているのはハワイ不動産だけでないため、自分のほかの財産を含んだポートフォリオで判断しなければならない。

    特にハワイ不動産が初めての外貨での運用という方は、せっかく「長期分散投資」として海外投資を始めたのに、また日本に送金して円で運用するのか…という点についてじっくり考えてほしいところだ。

    次回は長期保有を前提とした「ハワイ不動産の法人化」について考えてみたい。
     

    内藤 克
    税理士法人アーク&パートナーズ 代表社員/税理士
    ハワイ相続プロジェクト・代表
    著書に『残念な相続』(日本経済新聞社)など


    コンテナ投資で業者がトンズラ お金を取り戻す難易度は?

    不動産投資の一種としてトランクルーム(コンテナ)投資があるが、そこで悪徳業者に引っかかって契約トラブルになった場合、どのように対処すればよいか。トラブルの実例をもとに弁護士の竹下正己氏が解説する。
    【相談】
     8か月ほど前に、実家の父のところに業者がやってきて、「コンテナを購入して貸し出せば、毎月のレンタル料が入る。元本は必ず戻る」と勧誘されたそうです。父は迷った挙句、老後の生活費の足しになればと契約。約100万円支払ってコンテナを購入したそうです。その後、業者からはレンタル料として毎月2万円が振り込まれていましたが、3か月前から振り込みがストップ。業者に連絡をしてもつながりません。詐欺だったのかもしれませんが、お金を取り戻すことはできますか。
    【回答】
     一般の人では、他人にコンテナのレンタルなどできませんし、普通の家ではコンテナの置き場所にも困ります。取引の仕組みは、業者からコンテナを買ってもコンテナはその業者に預けたままにし、業者に直接レンタルするか、もしくは業者が保管したままでレンタル先を紹介したり、仲介をすることで、毎月のレンタル料が収入として入ることを狙った取引だと思います。
     こうした運用では、買い主は現物のコンテナを見ないこともありそうです。お父さんの場合のように、連絡も取れなくなった業者が売り主では、そもそも売買目的物のコンテナが実在するかも疑わしいと思います。
     お金を取り戻すためには、契約を白紙にする必要があります。100万円を受け取っていながら、半年程度でレンタル料の支払いがとまり、連絡も取れないところからは、最初からお父さんをだました詐欺の疑いが濃厚です。詐欺であれば契約を取り消せますが、詐欺ではだました内容を特定し、業者にだます意思があったことが要件になるので、厳密な証明は簡単ではありません。
     しかし、お父さんのコンテナ売買は業者との消費者取引になります。消費者契約法では、消費者が取引する決め手になる重要な事項について業者が事実に反することを言い、消費者がそれを信頼して契約した場合には、不実告知を理由に契約の取り消しができます。
     例えば、業者がコンテナを売るときに、コンテナのレンタル市場について事実に反する楽観的見通しや誤った過大な相場を告げて、お父さんがそれなら元が取れると判断して契約したとすれば、不実告知として契約の取り消しができます。

    「毎日100円うどん」極貧の中卒青年、20代で果たした下克上


    中卒で就職…厳しい親方から教わった“人の道”

    僕が中学を卒業し、初めて就いた仕事は「現場仕事」でした。当時母親が経営していたスナックの常連の一人、現場職人の親方に声をかけてもらったのです。

    例えば大阪の道頓堀にある戎橋(えびすばし)。あの橋の改装が行われたのは、僕が17歳のときでした。橋の手すりにあたる高欄の部分はお好み焼きのコテになっていて、遊歩道から見上げた時に見える橋のパネル箇所やダウンライトのボックスはすべて、当時僕たちが手掛けたものです。

    中卒ながらも社員として雇ってもらっていたその会社は、今思えば一風変わった職場でした。

    親方は口が悪く、理不尽なことですぐに怒るような人でした。それからみすぼらしい恰好をした50代の職人が二人。ボロボロのアパートに住み、いつも家賃を滞納していました。そして僕を合わせた4人です。

    景気の良い時期には彼ら職人の給料は40万円ほどあったはずなのに、なぜか給料日3日目にはすべての有り金を使い果たしてしまう、そんなろくでもないような職人たちでした。過去に何があったのかは知りませんが、二人とも全部歯がない。吸うタバコは日に日に変わっていく―(給料日にはセブンスターだったのが、月半ばにはわかばに、そして月末にはエコーへ)。僕が社会人として最初に働いたのは、そんな環境でした。

    親方は当時の僕にとって、とにかく怖い人でした。例えば電話にワンコールで出ないだけでブチギレられる。夜中の2時でも電話に出られなかったら「おいこら、お前エラなったのぉ~」と言うような人です。

    しかし同時に、めちゃくちゃカッコいい大人でもありました。とにかく礼儀や男としての在り方に関してとても厳しい人なのです。教えてくれるしつけにはいつも一本筋が通っていて「男とはこういうものだ、男とはこうあるべきだ」と、そんな男としての生き方を一から十まで教えてくれた人でした。縦社会や横のつながり、そういう人間関係のルールについてもみっちり教えてくれたのです。

    社会に出ても恥ずかしくないように育ててもらった僕は、今でもその親方のことを師匠と思っています。外での酒の飲み方や人との縁を大事にすること、礼儀や不義理は絶対にしてはいけないことなど、古き良き時代の人の道について厳しく教わりました。

    そのおかげで僕は、周りの同世代よりも早い段階で人としての常識を身に付け、成熟することができました。

    最近になってよく考えますが、近頃「男としてこう生きたい」という理想を持つ人が少ないように感じます。「俺はこういう男になりたい」とか「自分のカッコいいと思う男はこういう男だ」とか、これだけは譲れないという理想像を持つ人が、減ってきているのかもしれません。

    そんな時代に早くから師匠と呼べる人に出会い育ててもらえたのは、今となっては良い経験でした。残念ながらその師匠も数年前に亡くなってしまいましたが、僕は今でも毎年欠かさず墓参りに行き、手を合わせています。それほど僕に大きな影響を与えてくれた親方。師匠の存在があって今の僕があるのです。

    「毎日100円うどん」の極貧生活、脱却のきっかけ

    そんな親方の下で働いていた19歳の頃、リーマン・ショックの煽りをモロに受け、仕事がまったく取れなくなる時期がありました。ニートでもないのに月1程度しか仕事が入りません。当たり前のことですが、もちろん収入は不安定になります。

    当時すでに嫁と子どもがいた僕は、これは何とかしなければ―という状況に陥ります。もともと大の車好きだった僕は、給料が20万円しかない頃からセルシオを乗り回すタイプの人間です。それが不景気になると、セルシオに乗っていながらガソリンスタンドで「1000円分だけガソリンを入れてください」と恥ずかしいことを言う必要に迫られました。家族で遠出をするとなるとセルシオでは燃費が悪いため、わざわざ友人にハイエースを借りる。それほど厳しい状況だったのです。

    当時の給料は雀の涙程度。嫁と子どもの食費や生活費、すべての支払いを済ませば、僕の手元に残るのはたったの2万円でした。1日1000円を握りしめ、タバコを1箱買えば500円とちょっとしか残りません。その残金で自分のご飯代を捻出しなければなりませんでした。

    昼飯には毎日はなまるうどんに行き、1杯100円のうどんに無料の天かすを山盛りにかけて食す。残ったお金で晩飯はカップヌードルとおにぎりを2個。余ったお釣りを貯めて、3日に一度はなまるうどんにちくわ磯部揚げをトッピングで乗せる。これが当時の僕にとって唯一のご馳走だったのです。

    1杯100円のうどんがご馳走だった
    1杯100円のうどんが唯一のご馳走だった

    「こんな貧乏生活から抜け出したい―」

    厳しい親方の下、毎日100円のうどんで過ごしていた極貧時代。そんな日常から脱するきっかけとなったのは、米国人気ドラマで観たセレブの世界でした。

    友人から面白いと聞いて家で観ていた『ゴシップガール』では、セレブなニューヨークの高校生たちが、僕とは正反対の華やかな青春を送っています。なかでも僕が影響を受けたのは、ドラマの登場人物の一人、チャック・バスという大富豪の御曹司でした。彼は毎朝リムジンに乗り、シャンパン片手に両脇に女を抱えて登校します。

    当時地元の居酒屋しか知らなかった僕は「シャンパン? そんな飲み物があるのか」と彼の生活スタイルに強い憧れを抱いたのでした。そしてドラマの設定では、彼の父親が不動産で財を成したことになっていたのです。「なるほど、不動産屋は儲かるのか―」当時の僕は素直にそう思いました。笑われるかもしれませんが、これが僕と不動産の出会いです。そしてこの出会いが後に、僕の人生を大きく変えることになります。

    金なし・コネなし・学歴なしの青年が受けた「洗礼」

    「チャック・バスのようなやつになりたい!!」

    とにかく当時の状況を変えたかった僕は、意を決して不動産会社の面接に向かいます。中卒、資格なし、経験なしの経歴をひっさげて…。

    しかし、当然の如く結果は散々でした。学歴もなくまともな社会人経験もない人間を、どこも雇おうとはしてくれません。

    それでも僕は、何とか自分の強みやほかの人との違いをアピールできればと知恵をふりしぼり、あえて志望動機や自己PRを履歴書に書かず面接に臨んだこともありました。しかしその想いも見事に砕け散る…そんな始末です。

    「なんで志望動機書いてへんの?」
    「想いが強すぎて書ききれなかったんです。この場でお伝えしようと思って」
    「書ききれへん場合はな、もう一枚書くねん」

    自分なりに工夫を凝らして臨んでいるにもかかわらず、そう言われて傷つく僕は次第にヒートアップし、面接で喧嘩腰になることもしばしば…。ほかの会社でも同じようなやりとりを繰り返しては物の見事に不採用。

    「僕は社会に必要とされてないのか…やっぱり現場仕事しか無理なのかな」

    当時はひどく落ち込んだものです。しかし世の中の景気は一向に良くならず、現場の仕事も入ってこない。一応社員だったため、日当1万円×13日分が最低保障されてはいたものの、それでは生活がままなりません。

    この状況を何とかしなければ―。

    不動産会社の面接にすべて落ちた僕は、不動産がだめなら車はどうかと考えたのでした。その理由は単純で「昔から大の車好き」だったからです。それまで面接を受けてきた不動産会社はすべて小規模だったため、当時大証二部に上場していた某大手中古車販売の会社なんて受かるはずもないかと思いつつ、応募してみたのでした。

    一次は40名ほどの集団面接で、全員が順番に志望動機と自己PRを喋らされます。みんなが丁寧に流暢な敬語で話すなか、当時正しい敬語すら知らなかった僕は、あえてあまり喋らないよう短い言葉でPRしました。

    「志望動機は車が好きだからです! 自己PRは誰よりも根性があります!」

    するとこれが功を奏したのか、奇跡的に受かることができたのです。そうして二次面接に進み、その場で出会った面接官が僕の第二の師匠となる人物でした。

    お洒落でカッコいいスーツを身にまとい、差し出された名刺の肩書きには、本部執行役員・営業所所長…。何だか分からないけどすごそうな肩書きがいくつも並ぶ彼の姿に、当時の僕は初めてサラリーマンでカッコいいと思える人に出会ったのです。しかも、めちゃくちゃ態度がデカい―。

    「お前、何しに来たんや」
    「あ、えっと面接です」
    「お前ヤンキーなんか?」
    「そんなことないです」
    「ヤンキーなんやろう、どうせ。ほんでなんでココおんねん」
    「どういうことですか? 一次面接に受かったんです」
    「うち中卒はあかんねん、お前なんでおんねん」
    「え⁉ 知りませんでした」
    「受かったんはたまたまや。たぶん手違いやわ」
    「そうなんですか…」
    「ほんでお前、そのネクタイなんや?」

    当時の僕はネクタイの結び方すら分からない人間でした。不動産会社の面接の時はすべて母親に結んでもらっていたのですが、この日に限って母親が家にいなかったのです。だからこの日初めて、自分でネクタイを結んでみたのでした。しかもYouTubeを観ながら、一生懸命動画を真似して結んだネクタイです。

    「YouTubeを観ながら結んだんですが…すみません、よく分かりませんでした。たぶん動きは合っていたんですけど、何か変ですか?」
    「お前それ、ネクタイ裏やないか」

    僕は映像を見ながら結んだことから、左右真逆の動きをしてしまっていたのでした。つまりネクタイの結び方が真逆になっていたのです。

    「裏なんですね…。僕、初めて自分で結んだんです」

    そんなやりとりを交わしていたら、少し場が和んだのでしょうか。

    「お前おもろいな。採用や!」

    と、想定外の回答をもらうことができたのでした。

    「ただでもな、うち中卒は雇われへん。上にかけあって、バイトからなら雇たるわ。とりあえず車と床磨いとけ。良いと思ったら社員にしたるけど、それは様子見てからやわ」

    バイトから―。僕は一瞬考えたのでした。今の現場仕事では最低保障が月13万円。

    「バイトっていくらですか?」
    「最低賃金850円じゃ。週休2日は絶対休ませなあかん」

    さすがは大手の上場企業です。労働環境がしっかりしていたため、8時間しか働けない。時給850円×8時間労働。ざっと計算すれば、手取り月12万5000円。これでは生活ができません。

    一旦家に持ち帰り、僕は真剣に悩みました。これまでの面接ではすべて不採用だったこと、今後も不安定な現場仕事を一生続けていくのは絶対に嫌であること、そして何より、暮らしを一変させたかったのです。

    「これで人生変えなあかん」

    意を固めた僕は、その会社で働くことに決めたのでした。しかし、その後待ち受けていたのは、地獄のような日々だったのです―。

    「絶対にのし上がる」地獄の日々、チャンスに気づいた

    中古車販売会社で最初に与えられた仕事は、販売用車の洗車と事務所の地面に這いつくばっての床磨きでした。入社したのは残念なことに真冬の1月。寒空の下、手がキンキンに冷えてものすごく寒いのです。敷地には150台くらいの車が並び、毎日のように黄砂が降る。やってもやっても終わりはきません。毎日1日10台以上の洗車。それが終われば床磨き。

    面接で出会った所長は横を通るたび僕の顔を見て

    「嫌やったらいつでも帰れよ」

    と、嫌味を言ってきます。

    「あざす」

    (俺、なんも言うてないやん…)

    今思えば、きっと僕の人となりを見て試していたのでしょう。当時の僕は腹を立てながらも歯を食いしばり、来る日も来る日も清掃に励むのでした。

    毎日同じ仕事を繰り返す日々。いったいこんなことをして何の意味があるのかと、心が折れそうになることも何度もありました。

    当時、仕事とは別でお世話になっていた先輩には、しょっちゅう「こんな仕事辞めたい」と愚痴をこぼします。しかし先輩はそんな僕の姿を見て、いつも励ましてくれたのでした。

    「辞めたかったら辞めていいんじゃない? でもここで辞めたら、この先ずっと同じことの繰り返しだよ」

    人格者であり日頃からリスペクトしていた彼にそう言われるたび、僕は「いいよやってやるよ」と何度も自分を奮い立たせては、洗車と床磨きに取り組むのでした。

    そうして3ヵ月くらい経った頃、僕はふと気づいたのです。3ヵ月も続いているのだから、これはいつか社員になれるチャンスがあるのではないかと。そこから、僕の中であるスイッチが入ったのでした。

    「いつか自分も正社員になって、営業マンとして活躍してやる―」

    そんな気持ちを秘め、床を磨く僕の横で商談する社員の営業トークを一言一句漏らさぬよう、頭に叩き込んでいくことにしたのです。

    そこから営業トークを盗む日々が始まりました。今思えばとても怪しい状況だったと思います。社員とお客さんが話す後ろで、床磨きをしながらスキルを盗んでいるのですから。

    そんな状態で半年が経過した頃、突然所長から「明日から正社員や。営業として現場に立て」と言われたのです。

    僕は待ってましたとばかりに、それまで密かに培ってきた営業トークを武器に、車を売りに売りまくったのでした。絶対にのし上がるという思いと、これまでのウサをはらす勢いで僕は喋り倒し、初月で当時所属していた支社の10人中3位という営業成績を打ち出すことができたのです。全国で420人中30位。初任給でもらった給料は55万円でした。半年前まで現場仕事で汗をかき、しんどい思いをしてやっと20万円を稼いでいた僕が、車好きという理由だけでこんなにもらえるのか。

    もっと勉強したら、もっと上に行けるんじゃないか―?

    お金を稼ぐ効率を考えるようになったのは、その頃からでした。この職場で最も多く給与をもらうにはどんな営業成績を上げればいいのか。歩合率などをすべて計算し、何をどうすれば一番効率よくお金を稼げるのかについて考えるようになったのです。

    そうして営業スキルを磨きに磨いてみた結果、瞬く間にトップセールスマンへと上り詰めることができたのでした。正社員になった翌月には、営業成績全国1位という結果を打ち出したのです。給料はまたもや一気に跳ね上がり、2ヵ月目にして70万円。

    そうして1年ほど働いたあと、稼ぐための効率について真剣に考えるようになった僕はサラリーマンの天井が見えたのでした。最大で僕がもらえる給料は月80万円。当時執行役員だった上司の年収は1000万円とちょっと。上を目指すのも一つだが、彼らは昔からいる。なかなか昇進はできないだろう―。そもそも不動産業に就きたかったことを思い出した僕は、中古車販売会社に勤めて1年、20歳になる頃、再び不動産会社への転職を決めたのです。

    転職で気づいた「自分がセレブになれない」本当の理由

    中古車販売会社で断トツの結果を残した僕は、その後ついに憧れの不動産業界に転職を果たします。

    世間とは面白いもので「トップセールスマン」という肩書きさえあれば、中卒・資格ナシでも、快く手を差し伸べてくれました。昔は不慣れだった敬語もその頃には話せるようになり、業界では有名な某大手不動産会社からも内定をもらうことができました。

    しかし、僕は中古車販売会社で大企業の中の小さな歯車だったため、今度は小規模の会社の大きな歯車になりたいという理由から、小さな不動産会社を選ぶことにします。

    その選択が良かったのか、入社を決めた会社の会長が僕をたいへん気に入ってくれたのです。僕は若輩ながらもあらゆる仕事を任せてもらい、すぐに所長になることができました。その会長は不動産業界に長くいたことから、地上げや建売、土地開発から建築まで、すべてを手掛けるような人でした。いろんなことを僕に任せて経験させてくれ、また任せてもらえるその気持ちがとてもうれしく、分からないことは全部自分で調べながら仕事に励んだものです。人にできて自分にできないことはない、そう言い聞かせながら経験を積み上げ、24歳にして会社に約3億円を儲けさせることができたのでした。

    しかしながら、当時の僕の年収は850万円ほど。前職では月80万円しか稼げないからこの業界にやってきたのに、これでは僕がドラマで観た金持ちのような生活には遠く及びません。会社に大きな利益をもたらしているのになぜ? そんな疑問を抱くようになったのです。今思えばその会社は、規模が小さすぎたのでした。僕以外に雇用されている15人ほどの生活を支えなければなりません。しかしその中で生産性があるのは僕だけ。会社を回そうとすればするほど負担がかかって苦しいばかり。これは自分が本当にやりたいことではない。そこで初めて、独立を考えるようになったのです。

    僕も自分で不動産屋をやろう―。

    しかし、ここで唯一経験を積めていなかったのが、投資用不動産でした。そこで、独立する前に投資用不動産の販売会社で一番すごいと言われる企業に転職することにします。

    当時24歳。昼の仕事で年収850万円を稼いでいた僕は、自分なりにすごいと思っていました。目指すは年収1000万円! しかし転職してみると、その考えはまさに井の中の蛙だったのです。

    その後入社した投資用不動産の販売会社では、年齢が1歳上なだけで年収2000万~3000万円がゴロゴロいるではありませんか。社員は皆タクシーで出退勤。二日酔いで出社しては、仕事を終えてそのまま新地に向かうのです。誰もが洒落たスーツを着こなし、めちゃくちゃ髭も生やしている。まるで、映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のドラッグなしバージョンのような会社でした。

    とにかくめちゃくちゃ仕事をし、とにかくめちゃくちゃ遊ぶ。年収1000万円を目指していた僕は、この環境を見て大きな衝撃を受けたのでした。年収3000万円を実現させる投資用不動産の販売とは、こんなにもすごいのか―。そう感化されたのです。

    僕はそれまでの経歴から不動産売買の知識や営業には自信がありましたが、不動産投資についてはまったくの素人でした。ですから、新たな環境で必死に勉強をしたのです。

    扱う物件の「仕入れ」と「販売」という両面から不動産投資の基本について学び、その職場で僕は初月で月150万円を稼ぐことができました。不動産投資の仕組みの面白さにのめり込むと、次第にどうすれば不動産投資で儲けを最大化できるかを自分で考えられるようになっていきました。

    「レアでボロい物件」こそ、リスクを抑えて儲けを生む

    不動産投資の良いところは、学歴や職歴にかかわらず、投資する物件選びと出口戦略さえ間違えなければ絶対に勝てるという点です。

    新築が良いのか、中古が良いのか。どのような立地が良いのか、過去のレントロール(家賃明細表)を見ながら物件の良し悪しを判断します。儲かる物件と儲からない物件の違いを調べ上げ、より利益率の高い物件に投資する。そんなふうに不動産投資で儲けを生み出すノウハウを着々と積み上げていきました。

    同時に僕は、ここにいてもやっぱりチャック・バスのようなセレブな生活は手に入らない―そう思ってもいました。会社に雇われている限り、どんなに頑張っても手に入る成功には天井がある。サラリーマンとして数年間働いたことで、そのことを身を持って知った僕はほどなくしてこの会社を辞職します。

    辞めてどうしたのか。僕はまず、この時までに自分なりに考えた勝つための不動産投資を実践することにしました。物件を購入し、不動産投資について自分で経験と実績を積み上げていくことにしたのです。

    詳しくは以前の記事『巧みに「赤字物件」売る営業マン…「節税できますよ」の真意』や本書(『最強「レアボロ」不動産投資』)2章以降で説明していきますが、僕の不動産投資の手法にはいくつかのポイントがあります。

    まず、投資に最適な物件選びについては「中古物件」に目を向けることです。中古物件は、新築物件のように多額の広告宣伝費や「新築プレミアム」の金額が上乗せされておらず、高収益を実現しやすいのが特徴です。重要なのは支出を極力抑えつつ、高い収益性が見込める優良な物件を見つけることです。ほとんどの人は本物志向で完璧な物件を欲しがる傾向にあります。例えば立地良し、新築もしくは築浅物件で、家賃がしっかり取れるもの。しかし、最良物件と言われている物件にも僕からすれば欠点があります。それは全部揃っているがゆえに「値段が高い」という点です。

    そのような物件に手を出して利回りがないとなれば、本末転倒です。また利回り5%などは僕からすればおいしくありません。

    利回りの良い物件を見つけるには、一つくらい欠点のある物件を安く手に入れて投資をすることです。良い物件は誰でも欲しい。だから高い。だったら欠点はあるけれど稼げる物件を狙うのです。これは投資で利益を生み出す上で重要なポイントです。

    こういったノウハウを一つずつ実践していくなかで、僕の考え方に共感してくれる仲間が集まってくるようになりました。そこで、最初に出会った3人の仲間と僕は会社を立ち上げることにします。最初は自己所有の物件管理を中心に行っていましたが、徐々に業者同士の投資用不動産の売買から仲介まで事業を拡げていきました。

    立ち上げ当初は「半月くらい仕事して、全員が毎月100万円ほど持って帰れたらいいな」と話していたほどでしたが、数ヵ月後には僕のノウハウで全員がそれ以上の収入を得られるようになっていきました。次第に僕は、過去の自分と同じようにお金に苦労している人たちに、僕が良いと思った物件を紹介してあげることにしたのです。

    お勧めした物件は「中古アパートの一棟投資」。区分ではなく一棟に投資することで、空室リスクを軽減し、継続的に安定した収益を手にすることができるからです。

    投資適格性に優れた中古アパートは、実は数多く存在しています。そうした穴場物件に着目することこそが、リスクを抑えて儲けを生む最大の近道なのです。物件を紹介した人たちからは「管理もやってほしい」と言われたので、投資用不動産の管理も行うことにしました。事業が拡大するにつれ、3人で始めた会社も今では30人を超えるまでになっています。

    実は不動産投資は、物件選びもさることながら管理方法、そして売却までを見込んだ出口戦略も大事です。欠点のある物件は、長く持たずに売却時期を決めて回すことも選択肢の一つとして考えられます。

    これらは僕の編み出した不動産投資で勝つための投資手法で、タイトルにあるように、名付けて「レアボロ不動産投資」です。レア(希少)でボロい物件を見つけて投資するため、レアボロ不動産投資なのです。

    中国不動産投資、1─7月は前年比+3.4%に伸び加速=国家統計局


    [北京 14日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した1─7月の不動産投資は前年同期比3.4%増加し、1─6月の1.9%から伸びが加速した。
    1─7月の不動産販売(床面積ベース)は前年比5.8%減で、1─6月の8.4%減から減少幅が縮小した。
    新築住宅着工(床面積ベース)は前年比4.5%減少。こちらも1─6月の7.6%減から落ち込み幅が縮小した。
    不動産業者の資金調達総額は前年比0.8%増と1─6月の1.9%減から増加に転じた。
    国家統計局のデータに基づきロイターが算出したところによると、7月単月の不動産投資は前年同月比11.7%増となり、6月の同8.5%増から伸びが加速。昨年4月以降、最も大きな伸びとなった。建設業の活況や、新型コロナウイルス危機からの経済の回復に伴い融資の獲得が容易になったことが背景にある。
    中国の不動産市場は経済再開後、最初に回復が見られたセクターのひとつだが、アナリストの中には、一部の大都市でバブル発生の可能性を警告する向きもある。一方、消費者信頼感は弱い状態が続き、完全な景気回復には時間がかかる見通しのため、バブルの可能性はないとの見方もある。

    不動産投資家が知っておきたい「リノベーション」の基礎知識

    「リフォーム」「リノベーション」は何が違う?

    テレビ番組の影響でしょうか、ここ数年で「リノベーション」という言葉の認知度は高まりました。しかし、似たような言葉である「リフォーム」と混同している人も少なくないようです。

    「リフォーム」は、簡単にいえば修繕です。経年劣化で傷んだ箇所や、時代の変化によって使いにくくなった箇所を直して、新品に近い状態にします。たとえば、水漏れしやすくなったキッチンを取り替えたり、古いタイプのトイレを最新の製品に交換したり、汚れた壁紙を貼り替えたりするのが、リフォームの例です。リフォームは、いわば「新品に近い状態に戻す」ことだといえます。

    一方、「リノベーション」とは、それまで住戸が持っていた機能や役割を転換し、性能を向上させて新しい価値を加える改修です。たとえば、ファミリー向けとして作られた住戸を、広めのワンルームとして単身者向けに改修する、ペットと共生できる設備仕様にする、などです。

    リフォームが「元に戻す」というイメージであるのに対し、リノベーションは「作り替えて新しい価値を付け加える」というイメージです。

    リノベーションを検討すべきケースとは?

    住宅は、長く使えば必ず傷んできます。長く住み続けるためには「リフォーム=修繕」は必須です。投資用マンションで考えるなら、通常は家賃収入の一部を修繕費用として積み立てておき、必要になった段階でリフォームを行います。

    それに引き換え、リノベーションは必須ではありません。何かしら理由があって、これまでにはなかった機能や価値を物件に付け加えたいという場合に、リノベーションが必要になります。

    たとえば、若者が家賃下落を防いだり集まる街にファミリー向けの中古マンションがあったとします。物件と立地がマッチしないばかりに、低い稼働率(高い空室率)に甘んじるだけでなく、賃料も抑え目に設定しなければなりません。そして、相対的に物件販売価格も安くなりがちです。

    そのような中古マンションを購入し、ファミリー向けの間取りを2LDKや1LDKのDINKS向け、あるいは単身者向けの住戸に変更することで、稼働率を高めて物件の価値を上げる、というのがリノベーションの考え方の例です。

    あるいは、所有しているマンションが築古になり、周囲には似たような間取りの新築物件がどんどん建てられているとします。当然、自分の物件は競争力が落ち、空室率が高くなってくるので、なんらかの施策をしなければなりません。

    そこで、たとえばペットと共生しやすい設備を持った住戸へとリノベーションして、ペット愛好家にアピールすることで家賃の引き下げを防ぐ(あるいは家賃を引き上げる)というのも方法のひとつです。

    収支計算を行い、無駄のないリノベーションを実現

    リノベーションの費用は、当然ですが、工事の内容によって大きく違いがあります。内装をやり替えるフルリノベーションは高額な費用がかかります。とくにキッチンやバスルームなど、水回りの配管工事などを行う場合は顕著で、20平米程度のワンルームマンションでも、200万~300万円程度かかることもあります。

    ここでポイントとなるのは、目的と収益性の計算です。その工事が投資として成り立つかどうか、しっかりとシミュレートしなければなりません。自分が住む部屋ならこだわり抜くのもいいですが、投資用マンションのリノベ―ションで赤字になっては意味がありません。

    賃料相場が低いエリアの場合、高額な費用をかけてリノベーションしても、それを家賃に反映させることが難しい場合があります。240万円かけてリノベーションをし、その費用を20年で回収しようと思ったら、単純に考えて家賃を1万円値上げしなければなりません(1万円×12ヵ月×20年)。

    東京の都心エリアで、家賃10万円で貸しているマンションであれば、リノベーションをして家賃が11万円になったとしても、そのリノベーション内容が適切で付加価値を上げているなら、入居者は集まるでしょう。

    しかし、地方都市の周辺相場が5万円というエリアにおいて、家賃を1万円アップして6万円にした場合、仮にリノベーションで住戸の価値が上がっていたとしても、入居者集めには苦戦するでしょう。物価が全般的に低い地方都市では、家賃の20%の違いは非常に大きいと感じられるからです。

    そのようなエリアの場合はリノベーションせずに最低限のリフォームにとどめ、むしろ家賃の値下げをするほうが収益率改善につながるかもしれません。

    このように、リノベーション実施の前には、エリア特性、物件特性、想定入居者ターゲットなどをよく考え、どの程度の家賃アップや入居率アップが見込めるのか、費用は何年で回収できるのかといった点を、十分に検討する必要があります。

    リノベーション費用は減価償却で費用計上する

    なお、リノベーションにかかった費用は「資本的支出」(単なる修繕ではなく、資産の価値自体を向上させるような支出)とみなされることが一般的です。

    資本的支出は、減価償却費として費用計上することが可能です。耐用年数などは設備や工事内容によっても細かくわかれているのでここでは割愛しますが、減価償却費として費用計上することにより、一定期間の課税を減らす効果があるということはおぼえておきましょう。

    リノベーションのベストタイミングを考える

    格安な中古マンションを購入・リノベーションして入居者を集めるというスキームは、さほど珍しいものではありません。しかし、あまりにも築年数が古く法定耐用年数に近いような物件は、躯体(構造体)や共用部に問題が生じてくることがあります。そうすると、高額な投資をして所有する部屋をリノベーションしたにも関わらず、長期居住が叶わないという事態もありえます。

    リノベーションにしろ、リフォームにしろ、オーナーが自由に改修できるのは、占有部分に限られます。マンションの廊下や共用玄関、建物の屋根などはもちろん、住戸の窓やバルコニーなども共有部分に該当するため、オーナーが勝手に改変することはできません。

    住戸の内部だけリノベーションしても共用部がボロボロでは、バランスが悪く、投資に見合う効果が得られないかもしれません。

    鉄筋造などのマンションの場合、一般的には、築20年程度がリノベーション時期の目安だといわれます。建物自体の管理状況や稼働状況によっても異なりますが、築20年で大規模なリノベーションをして、その資金を20年で回収すると考えるのが、鉄筋マンションの法定耐用年数(47年)から見ても、合理的でしょう。

    まとめ

    適切なリノベーションは、マンションを生まれ変わらせて、新たな魅力を与えてくれます。競争力が落ちてきたマンションの家賃下落を防ぐだけでなく、稼働率のアップにも有効でしょう。さらに上級者になれば、最初からリノベーションを目的として格安な中古マンションを購入するという方法もあります。
    反面、リノベーションには多額の費用が必要です。そのため、投資用マンションにおけるリノベーションは、費用対効果を慎重に検討・シミュレーションして、実施の可否を検討することが大切です。

    1万円から始められる都心の中古マンションに特化した不動産投資型クラウドファンディング「RENOSY ASSET クラウドファンディング」キャピタル重視型第19号案件の組成を決定


    不動産テック総合ブランド「RENOSY(リノシー)」を運営する株式会社GA technologies[GAテクノロジーズ](本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO:樋口 龍、証券コード:3491、以下「当社」)は、1万円から始められる都心の中古マンションに特化したクラウドファンディングサービス「RENOSY ASSET(リノシー アセット) クラウドファンディング」キャピタル重視型(※1)第19号ファンドを組成し、2020年8月12日(水)15時よりサービスサイトにて出資の募集を開始いたします。

    なお応募期間は、2020年8月24日(月)正午までで、厳正なる抽選をもって出資を確定いたします。抽選結果は、8月27日(木)にご登録いただいたメールアドレスへ通知いたします。
     キャピタル重視型(※1)第19号ファンド 概要

    運用物件:パークウェル東大前
    所在地:東京都文京区白山一丁目26-21
    竣工月:2006年7月
    出資総額:2,050万円
    募集総額:1,845万円
    募集口数:1,845口
    運用期間:3ヶ月
    ※物件の運用状況によっては、運用期間満了予定日前に終了する場合があります。
    予定分配率:年利 4%(税引前)
    ※投資に係るリスク等につきましては、出資頂くに際してご案内があります。
    申込手数料:なし
    途中解約:可能※但し、利益分配金は計算期間末日の出資者に支払われます。
    解約手数料:1,100円(税込)


    ◆ 「RENOSY ASSET(リノシー アセット) クラウドファンディング」 概要

    リアル×テクノロジーで最先端の不動産投資を提供する「RENOSY ASSET(リノシー アセット)」が展開する、都心の中古マンションに特化した不動産投資型クラウドファンディングサービスです。1⼝1万円で、お⼀⼈様1⼝〜100⼝の範囲で出資の応募が可能です。「専門的な知識が必要」、「まとまった資金が必要」などのイメージを持つ人が少なくない投資において、少額でも参加可能で、専門的な知識を必要としない投資の選択肢を提供しています。

    特徴として、当社が提供する不動産投資サービス「RENOSY ASSET マンション投資(※2)」に用いるAI技術と同様の技術を活用し、当社のクラウドファンディング専門チーム(※3)が最適な物件を厳選してファンドを組成しております。

    不動産投資の最大のポイント、新築と中古はどちらを選ぶべきか


    借金は悪という固定観念を払しょくする

    日本では借金は悪という風潮があり、ローンを組むことすら抵抗があるという方がいらっしゃいます。
    こうした考えは、日本独自の倫理的なものなのかもしれませんが、資産形成という観点では払しょくすべき固定観念です。
    投資大国アメリカでは借りられるものは借りたほうがいいという考えがあるように、資産形成のためにレバレッジ(借入)を活用したほうがいいと私は考えます。
    ローンは長期間、借入を行ったほうがトータルの支払い利息は増えますが、毎月の返済額は減ります。不動産投資を始める際は、資金不足や空室リスクなどによって賃料が想定より少なかったという問題を抱える可能性があるため、できるだけ毎月の返済額を少なくしておいたほうが無難です。
    しっかり1億円貯める月1万円投資術
    (画像=しっかり1億円貯める月1万円投資術)
    借入期間35年でアパートローンを組むのが、もっともポピュラーな借入の形です。
    とはいえ、35年でローンを借りることによって毎月返済額を減らすとはいっても、不動産投資というのはローン返済のために、かなりの時間がかかります。
    そのため、不動産投資は若いうちから検討しておいたほうがよいのです。
    なぜかというと、銀行でお金を借りるときに79歳から年齢を引いた期間というのが最大借入期間であるという上限が決められていることが一般的です。つまり、45歳以上の方は、残念ながら35年マックスでローンを借りたくても借りることができない可能性が高いのです。
    今は金融機関によってはさらに長い40年や45年のローンなども出始めたため、これらのローンで組むことができれば、より少ない毎月の返済金額で家賃収入を得られる可能性が出てきます。
    さらに、築年数などもいろいろ関わってきますが、リフォームのときに資金が必要なのであれば、金融機関でのリフォームローンも積極的に借入を検討したほうがよいと私は考えています。
    ただし、ローンを組むといっても、初期費用がゼロというわけにはいかないこともあります。シミュレーション通り2000万円の物件を買う場合、今はいろいろな金融機関があるため、しっかりと比較検討すれば、頭金が数十万円もあればローンを組むことが可能です。
    頭金がなければ、年齢が50代、60代の方で借入期間が短くなる場合は返済額が大きくなり、キャッシュフローが厳しくなるため、頭金を用意できるのであれば、ある程度は支払っていいと思います。
    無理のない範囲で、前向きにローンを検討!

    実は不動産会社選びが最大のポイント

    不動産は金融資産とは異なり、ふたつとして同じ物件はなく、良い物件に出合うかどうかは縁もあります。そのため、まずは良い不動産会社を選ぶことが大事です。
    不動産会社を選ぶ際のポイントは新築ではなく、中古物件を中心に扱っている区分マンション業社が良いでしょう。
    日本ではなぜか不動産は新築が良いという新築盲信の考え方が浸透しています。住む家(自宅)であればその気持ちもわかりますが、人に貸すので新築か中古かは投資家には関係ないことです。新築物件は物件価格に新築プレミアムが乗っているので割高になり、投資した時点で1、2割くらいすでに下落していると考えても間違いはありません。
    あとは、銀行との提携ローンを扱っている不動産会社を選びましょう。提携ローンとは銀行と不動産会社が提携してパッケージ化しているローン商品で、少し金利は高いのですが審査が早くてフルローン(必要な資金を全額、借入すること)が出るのが良い点 です。
    最後になりますが、物件の管理をしっかりしてくれる不動産会社を選びましょう。管理が雑な不動産会社だと空室の状態が長く続いたりミスが多かったりと実質的に損失を被る可能性があります。
    不動産は人生でいちばん大きな買い物になる可能性が高いです。取引する業者を安易に決めるのではなく、信用できる方から紹介してもらい、自分自身でも不動産会社や担当者をしっかりチェックし、見極める必要があります。

    会社員の副業「不動産投資」で成功する人、失敗する人の違い


    戦略立案が得意で計算高い投資家ほど、わかっていない

    大きなトラブルや問題の発生を未然に防ぎ、より良い不動産投資を実現するために必要なのは、関係者と良好な関係を築くことです。特に管理会社との関係性構築は非常に重要で、中長期的に付き合っていくだけに、パートナーとして捉えるべきでしょう。

    では、どのようにして管理会社と良好な関係を築いていけばいいのでしょうか。最も重要なのは、やはり「コミュニケーション」です。管理会社といえども、業務を行っているのは人です。その点、人と人との付き合いが非常に重要となります。

    戦略立案が得意で計算高い人ほど、この点をおろそかにしてしまいがちです。たしかに戦略性や計算力も不動産投資には必要ですが、それだけでは不十分です。事業経営と同じように、関係者を適切に動かすスキルが求められます。

    「いざというとき頼れるパートナー」の作り方

    いざというときに協力してくれるパートナーを獲得できるかどうかは、普段のやりとりがものを言います。細かいことではありますが、普段の挨拶やお中元やお歳暮の贈答、さらにはタイミングを見て相談を持ちかけるなど、やりとりを頻繁に行うことが大事です。

    これは不動産投資に限った話ではありませんが、人と人との関係性を深めるには、できるだけ多くの時間を共有することが大切です。小さなことだと思うかもしれませんが、案外こうした対応ができているかどうかで業者との関係性は変わるのです。

    社会人経験が豊富な人は、このあたりの対応が上手なことも多いです。不動産投資を事業として考えた場合、管理会社を含めたすべての関係者は、ともに活動する仲間として認識する必要があります。だからこそ日々の対応が大事なのです。優秀な営業マンを想像してみてください。

    優秀な営業マンというのは必ずしもトークが秀逸であるとは限りません。むしろ自分からいろいろと話しかけるというよりは、何度も接触し、相手の話をヒアリングし、傾聴によって信頼を得ているものです。

    実は、不動産投資家と管理会社の関係性についても同じことが言えます。つまり何らかの問題が発生した場合に、いつでも相談できる関係性を築いておけるかどうかが不動産投資全体の成績に影響するのです。

    そうは言っても難しく考える必要はありません。お互いに利害関係を伴って事業をしていることを踏まえ、双方が気持ち良く仕事でき、結果が得られるように工夫すれば良いだけです。それは単純に人間関係の問題です。

    良い管理会社というのは日頃の対応も優れているものです。そしてそのような対応に対し、投資家側も真摯に応えようとすれば、それだけで良好な関係性の構築につながります。

    ただ残念ながら、不動産投資家の中には、関連業者に無理難題を押しつけたり、一方的な要求を突きつけたりする人もいます。さらには費用を支出して依頼しているのだからと、あからさまに立場の違いを強調する人もいるかもしれません。

    そのような対応は、双方にとってプラスにならないばかりか、自分自身の首を絞めることにもなりかねません。やはりお互いに良好な関係性があってこその不動産投資・不動産管理であることを自覚し、活動していくことが求められます。

    働き方改革から考える、「副業としての不動産投資」

    物件管理の自由度を高めることによって、不動産投資の捉え方は大きく変わってきます。自分で管理するのではなく、管理をほぼすべて任せられれば、自動的に収益が得られる仕組みとなるためです。そこでここでは、少し異なる視点で不動産投資について考えてみましょう。

    例えば、不動産投資を“副業”として考えてみるとどうでしょうか。不動産投資はあくまでも“投資”なのですが、“事業”として捉えることによって、副業の一種であると定義することも可能です。

    特に近年では、働き方改革に伴う残業の縮小と、副業(複業)や兼業の推進なども相まって、さまざまな観点から副業に関する議論がなされています。しかもそれは各企業だけでなく、日本全体として行われていることなのです。

    厚生労働省のホームページには、働き方改革の実現に向けて、次のような方向性が示されています。

    「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
    その背景にあるのは、少子高齢化による労働力人口の減少です。各企業は女性、外国人、高齢者を積極的に活用することに加え、社員の働き方を改善し、さらに生産性を向上していかなければなりません。

    また、政府は「一億総活躍社会」という言葉を用い、働き方を根本から変えることを推進しています。その急先鋒となるのが残業を減らすことなのですが、国の方針ということもあり、こうした流れが大きく変わることはないでしょう。

    会社員にとって、残業の減少がもたらす影響は二つあります。一つは「本業の収入が減る」こと、もう一つは「使える時間が増える」ことです。これら二つの変化が、別の収入源として副業や投資に向かうのは自然な流れでしょう。

    ただ、副業にもさまざまなものがあります。本当に選ぶべきなのは、第二の収益源として収入が確保できることに加えて、必要最低限の時間と労力で行えることでしょう。本業との相乗効果も重要ですが、仕事に支障が出るようでは本末転倒です。

    加えて、これまで誰かが残業として行っていた作業を、副業として代行するのも考えものです。ほかの仕事を経験すること自体はプラスになるかもしれませんが、働き方改革という本来の趣旨から外れており、残業の内容が変わっただけに過ぎないためです。

    その点、副業を労働収入としてだけで捉えるのではなく、投資を含む不労所得として捉えることは、人生設計という観点からも重要ではないでしょうか。そして、管理を自動化した上で行う不動産投資は、そのような趣旨の活動に最適です。

    賃貸管理の重要性を知れば知るほど、不動産投資は面白くなり、かつ優れた副業としての価値が増していきます。実は副業を検討している人ほど、投資としてではなく事業としての不動産投資が向いていると言えそうです。

    かぼちゃの馬車「サラリーマン借金2億円で破滅」より酷い真相


    投資家震撼「かぼちゃの馬車事件」のインパクト

    不動産投資業界を最も騒がせた問題といえば、間違いなく「かぼちゃの馬車」にまつわるトラブルでしょう。2014年4月から、「かぼちゃの馬車」というブランド名の女性向けシェアハウスを、首都圏を中心に展開してきた株式会社スマートデイズがその震源地です。

    スマートデイズを巡っては、同社と結託して物件の営業に関わっていた販売会社による物件購入者の預金通帳の改ざんや、物件の施工会社による販売会社へのキックバック、トンネル会社を使った資金環流など、さまざまな不正行為が発覚しました。

    2018年1月には経営危機を理由に、シェアハウスの購入者に保証していた賃借料の支払いを停止し、訴訟にまで発展。そして4月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請しましたが、18日にその申請は却下され、破産しました。

    そのあおりを受けたのは、投資家です。1億円前後という価格でシェアハウスを購入した投資家は、家賃を長期保証してくれるはずだったスマートデイズの破産により、億を超える債務を抱えることになりました。なかには複数の物件を購入し、2億円以上もの借金を背負った人もいるといいます。
    スマートデイズは2012年の設立ながら、短期間に販売代理店網を確立して急成長し、5年で売上高300億円を超える企業にまで成長してきました。その成長を支えたのが、「かぼちゃの馬車」に代表されるサブリース事業でした。

    サブリースとは、オーナーが建てたアパートやマンションを不動産管理会社などが一括で借り上げ、それを転貸するというスキームで、いわゆる「又貸し」にあたります。一見すると、サブリース業者がすべての部屋の家賃を保証することで、空室のリスクが回避できるように思えるかもしれません。サブリース業者のなかには、「30年一括借り上げ」など長期にわたる家賃保証を謳うところもあり、それも安心感を醸成しています。

    ローン額「平均1億円」甘い言葉で投資家を呼び込み…

    ただ、詳しくは後述しますが、サブリースというスキームにおいて最も得をするのは、ほとんどの場合、オーナーではなく業者です。サブリースの多くは、土地の販売会社、建設会社、サブリース業者などが一体となって行われており、業者たちはまず建設費用の部分で大きな利益を出し、それをキックバックなどのかたちで分配します。あえて極端な話をすれば、建設時に空室リスクを超えるような利益を出してしまえば、「勝ち」なのです。

    また、長期を謳うサブリース契約でも、契約書をよく見れば「数年ごとに家賃を見直す」という内容が、多くの場合とても小さな文字で書いてあります。日本の法律は家の貸し手よりも借り手に対する庇護が厚いこともあり、家賃を下げる交渉は業者側が圧倒的に有利です。ほとんどの場合、相手の要求を呑むはめになり、オーナーの利益はどんどん下がっていきます。

    「かぼちゃの馬車」も、典型的なサブリース事業です。投資家に不動産を紹介し、建設費用込みの銀行ローンを組ませて、シェアハウスを新築で建設。それをスマートデイズが一括で借り上げて、家賃を30年間保証する契約でした。

    投資家は平均1億円ともいわれる高額ローンを組むことになりますが、スマートデイズが「利回りは8%前後」と宣伝していたこともあり、3%台後半の高利を払っても十分に利益が出ると注目を集めました。通常の家賃にプラスして利益が上がり、毎月資産が増えていくという謳い文句が、投資家にとって甘い罠となりました。

    ちなみになぜ、一般的なアパートやマンションの2倍近くにあたる「8%前後」という高い利回りを示すことができたのかといえば、その理由の一つに「シェアハウス」であることが挙げられます。風呂やトイレを共有するシェアハウスでは、一部屋の専有面積が小さくて済むため、利回りが普通のアパートよりも高くなりがちです。

    それに加え、「かぼちゃの馬車」の物件は、賃料が周囲の物件よりも高めになっており、共有スペースの面積も小さいものだったといいます。

    実際の入居率は「4割」…黒幕は本当にスルガ銀行か?

    戸建てを建てるのがせいぜいの土地に無理やりシェアハウスを建て、通常なら2世帯しか住めないところに5部屋も6部屋も作ったとしたら、利回りは当然高くなります。

    さて、ここで一つ疑問が浮かんだのではないでしょうか。家賃が高く、共有スペースの狭いシェアハウスに、いったい誰が住むのか。借り手側から見れば、魅力的な物件とはほど遠いものです。

    「かぼちゃの馬車」はターゲットを女性に絞り、壁紙などを女性好みにアレンジするなどといった手を打ってはいましたが、それでも入居率は4割ほどだったという指摘もあります。いくら建設時のキックバックなどで儲けたとしても、空室率が5割を切るような物件では、サブリースのスキームは成り立ちません。それが、スマートデイズが経営破たんした理由の一つです。

    ■事件の黒幕は「スルガ銀行」だったのか

    入居率を上げられずともサブリース業者が成長を遂げていくには、とにかく新しい物件を販売し続けるしかありません。長期的に見れば赤字になる可能性が高くとも、短期では物件を紹介し、さばくほど利益が積み上がっていきます。

    しかしもちろん、そんな自転車操業が長く続くはずはありません。それでもスマートデイズがここまで躍進できたのは、彼らを裏で支える強力なサポートがあったからにほかなりません。それが、スルガ銀行です。

    スマートデイズが扱っていた物件数は約800棟、部屋は1万室にものぼるとされていますが、スルガ銀行はそのほとんどの案件で融資を引き受けていました。つまりスルガ銀行なくして、スマートデイズは成り立たなかったということです。

    実際に2017年秋、スルガ銀行が融資の要件を厳しくしたことでスマートデイズの資金繰りは悪化し、倒産へとつながっていきました。今回の事件の黒幕と揶揄(やゆ)されることもあるスルガ銀行とはどういった金融機関なのか、ここで解説しておきます。

    スルガ銀行は、静岡県沼津市を本拠地とする地方銀行です。横浜銀行と静岡銀行という大手地銀に挟まれる立地であり、生き残るためには独自の営業戦略を模索するしかありませんでした。

    不動産投資業界では悪名高かった「スルガスキーム」

    地方銀行のビジネスモデル自体も存続が危ぶまれるなか、スルガ銀行はいち早く個人分野に特化して独自の収益構造を確立。金融庁からも「地銀の一つのあり方」としての評価を得るまでになりました。

    スルガ銀行の地位が確立したのは、投資用の不動産購入資金を融資するパーソナルローンができたからです。スルガ銀行の利益のうちの9割は、アパートやマンションに対する投資ローンから生まれており、2017年には9000億円もの売上を誇りました。

    広く個人を対象として口座を開き、資金運用や手数料などで事業を行う一般的な銀行とは、一線を画すビジネスモデルです。そしてこのローンの誕生こそ、ここ数年の不動産投資ブームの火付け役となったといえます。

    実はスルガ銀行の融資を組み入れた投資手法は、不動産投資業界では「スルガスキーム」と呼ばれており、以前から悪い意味で有名でした。その特徴は、融資審査の独自基準にあります。

    本来、不動産に対する融資審査は、物件の価値を査定することから行われます。しかしスルガ銀行では、物件そのものではなく、それに投資する人の属性――つまり「どれほどのお金なら払えるのか」という資産状況から融資額を算出するやり方をしていました。

    ちなみに「かぼちゃの馬車」事件において、スマートデイズはそのスルガスキームに沿うかたちで、30代〜40代の働き盛りのサラリーマンを営業の主要ターゲットにおき、特に一定以上の収入がある大手企業の社員らを狙い撃ちにしていました。

    スマートデイズが販売していた物件は、1棟あたり1億円前後。所有者の多くは、スルガ銀行からの全額借り入れによって物件を購入していました。これが具体的にどんな事態を招くのか――。

    例えば、メガバンクで5000万円と査定された物件があったとします。メガバンクの査定は一般的な相場からそう大きく外れることはありませんから、その物件の価値は、まっとうに算出すればどこの銀行でも5000万円前後に落ち着きます。

    「スルガに持ち込めばなんとかなる」風潮があった

    しかしスルガ銀行は、物件の価値に注目しません。貸し倒れのリスクは考慮しつつも、そのオーナーとなる人物がどれほど借りられるかにフォーカスを当て、できるだけたくさんの融資を下ろそうとします。その結果、メガバンクで5000万円と査定される物件に、スルガ銀行だけが1億円もの値をつけるような事態が頻発してきました。

    それゆえにスルガ銀行は、サブリース事業者をはじめとする不動産事業者にとって、簡単に融資をつけてくれる「駆け込み寺」的な存在となり、普通の金融機関なら審査が通らないような物件でも「スルガに持ち込めばなんとかなる」という風潮を生みました。

    ■最後に泣くのは結局「投資家」

    実際にスルガ銀行では、一般的な金融機関が扱わないような不良物件にも、積極的に融資を行ってきました。

    スルガ銀行の金利は他に比べ圧倒的に高いのですが、業者側としては、それでも不良物件を在庫として抱えるよりはましですし、高い金利のツケは結局投資家に払わせればいいとして、スルガ銀行を利用してきました。

    投資家は、土地を所有しておらずとも、頭金がなくとも、多額の融資により不動産投資を始められる。不動産事業者は、例え二束三文の物件であっても、スルガ銀行の査定および融資を背景として高値で販売しやすい。そしてスルガ銀行自体も、高い金利を手中に収められる。この一見すると三方よしにも見えるようなスキームこそ、スルガスキームだったのです。

    ただ、冷静に考えれば分かるはずなのですが、このスキームで最も損をするのは投資家です。物件を買う時点で相場よりもはるかに高い価格を支払っているわけで、それをもし一般価格で売ろうとすれば当然大きな損が出ますから、なかなか売ることができなくなります。例え空室が多くなり、赤字になっても運用を続けざるを得ません。こうなるとまさに八方ふさがりの状態です。

    そしてまた、不動産事業者にとっても、大きなリスクがあります。スマートデイズが倒産したのも、「スルガスキーム頼み」の経営手法のせいです。

    「問題になれば会社を倒産させる」は、実はよくある話

    サブリースにおいては、販売価格に基づいて投資家に高収入を謳っている手前、相場よりも家賃を高く設定せざるを得ません。当然、客付きは悪く、空室率が高くなります。つまり、長期的に見れば、ビジネスモデルとして破たんしているのです。

    詳しくは本連載で後述しますが、今回の問題の最も大きな論点の一つは、スマートデイズが最初からいけるところまで稼いだあとに「計画倒産」するつもりであったのかどうか、ということです。

    倒産しても経営陣の資産まで処分されるわけではありませんから、儲けはほぼそのまま懐に入ります。不動産投資業界では、「悪徳スキームで稼ぐだけ稼いで、問題になれば会社を倒産させる」というのは、実はよくある話です。また、一度味を占めた業者が再び起業し、社名を変えてまた同じように儲けに走ることも多いものです。

    こうした悪徳業者に騙され不利益を被るのは、大概の場合、投資家なのです。

    ※本記事は書籍『不動産投資業者のリアル』を抜粋したものです。


    藤本 好二
    ウィステリア・グループ株式会社
    会長兼代表取締役社長

    ベトナム不動産のプロが「物件は10年で売却」を推奨するワケ

    「外国人の土地使用権は50年」という法律の深い意味

    筆者はこれまでも、ベトナム不動産を外国人が購入する際の注意点について何度か取り上げてきました。ごく簡単にまとめると、「外国人が購入できる物件は限られており、かつ、特有の条件が設けられている」ということです。

    具体的には、

    ●外国人が購入できる物件は、外国人の購入枠許可を受けた開発プロジェクトのなかで、コンドミニアムならプロジェクト内の棟の30%、Villaを含む戸建てなら、管轄地域の30%まで

    ●土地は国の所有とされているため、あくまでも「土地の使用権」「建物の所有権」の購入という形になる

    ●外国人による土地の使用権は50年

    となります。

    気をつけていただきたいのは、「外国人による土地の使用権は50年」という条件についてです。土地の場合、50年の延長が一度だけ可能とされています。コンドミニアムも50年の土地使用権と建物所有権が決められており、延長が可能といわれていますが、こちらは具体的な年数が決められていません。

    外国人が購入できる中古物件は、「外国人枠で、外国人が購入した物件」のみとなります。その際、土地の使用期間や建物所有期間は、以前の所有者から引き継ぐことになります。

    上記のように、ベトナムでは外国人が不動産を所有する場合にはさまざまな制限があるため、それらをしっかりと理解しておくことが、現地の不動産投資に不可欠です。

    都市鉄道の運行がスタート、周辺地価は上昇の見込み

    ここからは、筆者が拠点としているホーチミン市を中心に、ベトナム不動産投資成功のポイントについて、具体的に解説していきたいと思います。

     1.「キャピタル狙い」重視で 

    ベトナムでの不動産投資を考えるなら「キャピタル」を狙いましょう。とくにホーチミン市では、それに適した物件が出てくると予想されます。下記にその理由をまとめます。

    ➀インフラ整備の進展
    ハノイ市とホーチミン市では、都市鉄道の運行が開始予定。ハノイでは10路線、ホーチミン市では6路線を計画しており、双方とも2021年から、路線工事が完成した順に運行開始予定となっている。

    ➁ 都市鉄道駅周辺での開発
    駅周辺の開発も目白押し。ホーチミン市では、始発のベンタン駅前と駅前に建設中のツインタワービルがつながる予定。やはり駅とつながった地下街も建設中で、ほかの駅前周辺の開発も含め、狙い目。ホーチミン市の都市鉄道1号線駅周辺は、すでに商業地域として用途変更されている箇所もあり、駅周辺の開発が活発化する見込みとなっている。

    ➂ 東部都市開発地域
    ホーチミン市は政府に、地区東部の具体的な開発プランを提案・申請中。内容は、同市の2区・9区・トゥードゥック区を統合して都市区を造成するというもの。2区は金融特区に、9区はサイゴンハイテクパークに、トゥードゥック区は大学を中心とした教育テクノロジーセンターなどを含めた未来都市地区にするなど、多くの開発計画が盛り込まれている。グエン・スアン・フック首相は統合を支持する考えを示し、将来的には、都市区だけでホーチミン市の経済の3割、国全体の5%を担うことを目指している。

    【ポイント】

    筆者がお勧めしたいのは、来年運行予定の都市鉄道1号線の駅近・駅直物件です。ベトナムではいまのところ、電車の利便性がそれほど意識されておらず、中心地から距離がある駅近・駅直物件は割安価格のものが多いため、お勧めです。都市鉄道1号線10駅目以降であれば、平米単価2,000USD以下の駅直・駅近物件が狙い目です。

    2番目にお勧めなのは、教育テクノロジーセンター等を含む大学や専門学校地区、ベトナム側向けのミドル物件です。物件数は多いのですが、割安価格と学生向け賃貸という特性を武器に、集客力を強化しながら上昇を狙います。トゥードゥック区、教育テクノロジー区であれば、平米単価1,500USD以下のミドルクラス物件もターゲットになるでしょう。
     2.購入→売却は10年以内を目安に 

    物件の購入から売却までのサイクルは、10年以内を目安と考えましょう。下記に理由を解説します。

    ➀外国人の土地使用権・建物所有権の期限問題
    外国人の土地の使用権は50年と説明しましたが、コンドミニアムの場合は「開発許可が受理されてから50年」です。許可受理から完成引渡までは3~4年程度かかるため、新築物件でも引渡時点での物件使用権期間は47年~46年で、そこから10年なら、残りの年数は36~37年となります。もちろん国の経済状況を見ながらではありますが、残された使用期間を考えると、以降は次第に売出し価格が下がっていくことが予想されます。

    ➁ 建築技術・建築資材の耐久性問題
    現時点でのベトナムの建物の多くはRC造(鉄筋コンクリート造)であり、「鉄筋によって補強されたコンクリート」による構造となっています。しかし、建築基準は日本のように厳格ではなく、いろいろな不動産を取り扱ってきた筆者からしても、柱や梁のサイズが小さく感じる物件が多くあります。さらに、壁はレンガと窓枠で構成されているため、強度面の不安もあります。そのほか、外壁の塗装(紫外線の影響もあると思われますが、劣化が早い)と、コンクリートの品質(ひび割れや剥がれが起こるのが早い)など、気になる点も少なくありません。

    ➂建物修繕費の問題
    ベトナムでは、購入時に修繕費が加算されており、日本のような月々の修繕積立金はありません。修繕費は建物購入価格の2%で、たとえば1bedで約1,000万円の物件なら、50年分の修繕費は20万円の計算です。果たしてこの金額が修繕費として十分なのか、考えさせられるところです。

    【ポイント】

    現在の法律を前提に考えると、建築技術や建築資材、建築などの法規制などを勘案した場合、物件の長期保有に伴うリスクは少なくないと思われます。さらにいうなら、建物を取り壊した場合の区分使用権および所有権も、法律で明確にされていないため、これらの点は今後も注視し続ける必要があるでしょう。

    したがって、法整備の状況や建築技術・建築資材の品質を見ながら、10年単位で買い替えを繰り返し、資産を増やしていくことをお勧めします。

    夫が45歳で死亡…義母が「途方に暮れた」妻の財産ひとりじめ

    相続税対策の落とし穴

    相続税対策には、大きな落とし穴があります。その最大の目的が文字通りの節税になると、テクニックに走ってしまうのです。結果として、手持ちの生活資金や老後資金を食いつぶしてしまうだけでなく、相続税対策のために手に入れた資産までも処分する羽目に陥りかねません。

    その代表例が不動産投資でしょう。たとえば土地を所有している人の場合、更地にして遊ばせておくよりも、その土地の上に賃貸物件を建てたほうが相続税の評価額が下がり、節税効果が高くなります。そのために土地を担保にするなどして借入れを行い、不動産投資に足を踏み入れる人もいます。

    そういう人場合、おそらく家賃収入で借入金を返済する計画を立てるはずです。ところが、空室が多くなるなどして、当初、予定としていた家賃収入を得られなくなれば、借入金の返済が大きな負担になっていきます。その結果、わざわざ借金をして賃貸物件を建てたにもかかわらず、資金繰りが回らなくなり、最終的には物件を売り払う必要まで生じる可能性もあるのです。そうなると、節税で得るはずだった利益より、よほど高くつくことになるでしょう。

    長い目で考えると、節税にはリスクが伴います。相続人に万が一の事態が起きる可能性もあれば、節税自体も頻繁に変わるからです。結果として、「相続で失敗するくらいなら、相続税を払って何もしない」という選択肢が一番賢明だったという場合もあります。

    会社の経営では、将来のビジョンを具体的に展望するために「中長期経営計画」というのを作成します。同じように、相続対策とは、それぞれの家庭の長期を見据えた「家計事業計画」なのです。その計画には、資産配分や運営戦略がなければなりません。資産の内容と量をはかりながら、「何が我が家にとって最適なのだろう」と考えてみてください。

    もちろんその前提として、あなたにとっての幸せとは何か、家族にとっての幸せや絆とは何かについて思いを馳せてみてください。そのうえで、あなたが考える幸せと絆を確保するために必要な財産は何なのか、さらにその財産がどの程度あればいいのか……そのような大局的な視点に立って、相続について考えてもらいたいのです。

    相続対策で失敗する人の多くは、目的をはき違えています。相続対策の一番の目的を節税としてしまうと、いわゆる税テクに走り、失敗します。そうではなく、あなたにとっての、そして家族にとっての幸せとは何なのか、その目的を達成するための相続対策でなければなりません。

    相続税を払ったほうが幸せな場合がある!?

    その意味では、相続税とはみんなが幸せになるための必要経費と考えることもできそうです。目的を見失い、テクニックを駆使して失敗するのであれば、目的の達成に向かって払うべきものは払う、そのほうが最終的に幸せという考え方もできるでしょう。

    相続税を払ったほうが幸せな場合もある……これは税理士が言うべきではないかもしれません。しかし、相続問題を数多く経験してきた私たちは、節税を目的にさまざまな対策を講じた結果、親子や兄弟間の醜い争いに発展するなどの不幸を数多く目の当たりにしてきました。相続対策の最終的な目的が個人や家族の幸せのためであるならば、家族それぞれの事情を踏まえたうえで、節税に捉われず、最適な方法を選択すればいいと思うのです。

    「税金を払えるのは幸せである」……。

    このように、ものの見方を変えてみるのも一つの方法です。相続税を払うとその一族の財産はたしかに減りますが、日本全体でみるとなくなっているわけではありません。

    その意味で、財産の一部を寄付するなどの使い道があってもいいのではないでしょうか。日本は寄付の全額が所得から控除されないため、寄付文化が根づかないといわれてきました。国民の財産が社会に還元されるように、寄付に関する税制の見直しが検討されればいいと思うのですが、いかがでしょうか。

    日本は戦後の焼け野原から立ち上がり、世界を代表する経済大国になりました。国民一人ひとりが持つ財産を、自分のミッションに照らし合わせて使っていこうと言う風土をつくるのが、今後の日本の発展につながると思っています。そう考えると、相続税は日本の将来への投資と捉えることもできるかもしれません。

    とはいえ私たちは税理士なので、要望に応じて、相続税を減らしたり、場合によってはゼロにすることも可能です。その場合、節税をすることが、個人や家族の幸せに直結する方向で実を結ぶのが一番望ましいと思うのです。

    税テクに成功し、家族の絆が失われた事例

    ではここで、節税に成功し、相続に失敗した事例を紹介しましょう。税テクに力を入れるあまり、家族の絆が失われてしまったのです。

    Dさんは両親と同居し、妻と子ども2人の幸せな家庭を築いていました。Dさんには姉が1人いますが、結婚後、夫の仕事の関係でアメリカに住んでいます。Dさんの実家は地方ということもあり、家を継ぐのは長男であるDさんという共通の認識がありました。

    そうしたなかでDさんの父親が相続対策を考え始め、とりわけ節税に力を入れることになりました。当時はバブル真っ只中で財産額が多く、いかに相続税を減らすかという観点で税理士に相談し、計画を立てたのです。

    その結果、父親の財産を、息子であるDさんを飛び越えて孫に相続させる方法を考えました。通常の相続では、まず父親の財産が配偶者である母親、そしてDさんを始めとした相続人に渡ることになります。これを一次相続といい、その時点でまず相続税がかかります。そこから時代を経て、次に母親の財産がDさんを含めた相続人に渡る時期がやってきます。これを二次相続といい、この時点でもまだ相続税がかかります。

    しかし、今回の計画のように、父親の財産を孫に相続させれば、相続を2回分、パスできるのです。孫に相続させる場合は20%余分に相続税がかかりますが、3回の相続が1回で済むため、トータルで考えると大幅な節税効果が期待できます。ちなみに、Dさんの父親が2人の孫と養子縁組すれば、財産を一代飛ばして相続できます。

    今回の場合、その養子縁組のテクニックも同時に使うことになりました。こうして準備を整えたうえで、やがてDさんの父親が亡くなり、計画通りに一代飛ばして2人の孫に財産を渡すことができたのです。相続税対策としては落ち度がなく、大きな節税効果を得ることができました。

    ところがその後、状況が一変します。Dさんの妻と義母の仲が悪くなってしまったのです。いわゆる嫁姑の関係の悪化です。最終的にDさん家族は実家を飛び出し、賃貸マンションに引っ越すことになりました。

    Dさん家族は実家を飛び出した。
    Dさん家族は実家を飛び出した。

    その後、さらに不測の事態が起こります。なんとDさんが45歳という若さで亡くなってしまったのです。

    これが何を意味するかわかるでしょうか。

    Dさんの父親の財産は孫(Dさんの子ども2人)が相続しているため、Dさんの妻と子ども2人の財産になってしまったのです。しかもDさんの妻と義母は仲が悪く、その後の関係は途切れていました。結果、Dさんの母親には財産が残らず、途方に暮れることになったのです。

    このケースは税テクに成功し、相続に失敗した典型例といえるでしょう。節税に力を入れるあまり、肝心の家族の幸せが置き去りにされてしまっては元も子もありません。長い人生、その先に何があるかわかりません。中長期の節税はリスクを伴う。その可能性を理解したうえで相続対策を考えてほしいと思います。


    駒起 今世
    税理士

    新築より中古がお得?…工夫次第で利回りアップ狙えるリノベ術

    「今の自分」に合っている物件を知る

    不動産を買う際に、立地条件と並んで悩むのは、どんな建物を買うべきなのかだろう。「建物の構造」「建物の種類」「建物の築年数」「建物の間取り」などは重要な条件だ。

    今本屋に行けば、「不動産投資」という専用棚ができて幅を利かせているし、アマゾンで検索すれば、不動産投資関係の書籍はより取り見取り。上手に資産を増やしている人の本もあれば、中には不動産を取得して成功したと「主張する」人たちの経験をベースとした本もある。投資家(家主)たちが書く本を見ていて気づくのは、人によって「ボロ戸建て」「中古アパート」「新築アパート」「新築マンション」「新築投資用ワンルーム」「都内の中古区分」「シェアハウス」など、投資対象は異なるものの、どれも「成功している」という話であることだ。

    どの不動産にもメリットとデメリットがある。
    どの不動産にもメリットとデメリットがある。

    私自身もさまざまな家主に取材し話を聞いてきたが、「このタイプの不動産への投資が正解」というものは残念ながら存在しない。どの不動産にもメリットとデメリットがある。重要なのは、その特性を理解した上で、どのような不動産の購入が「今の自分」に合っているかということ。「今の自分」と強調したのは、不動産を増やして所有数が増えると、できること、できないことが新しく出てくるためだ。

    具体的には、家主業を始めようと不動産を買い始めた当初は、資金力も経営者としての信用力も低く、新築や一棟マンションなどに手を出したくても出せないという人が多いだろう。しかし、所有する不動産が増えて経営の実績もできてくると、金融機関からも評価され、買えるようになってくる。自分で土地から購入して、建物は自分が見つけた工務店や建築会社に依頼して、家主自身が設計や企画に携わることも可能となる。家主業を始めてどのくらいのキャリアがあるかも、不動産選びに大きく影響する。

    以上のことを踏まえて、不動産それぞれのタイプごとにメリットとデメリットを見てみよう。

    新築物件は、購入後しばらくは手間いらず

    これから初めて不動産を買う人にとって、「新築」は高嶺の花。価格が築年数の古い中古物件よりも高いため、買いたくても買えない人は多い。そんな新築のメリット、デメリットを挙げてみよう。

    〈新築のメリット〉
    〇新築は入居者を募集しやすく空室の不安はあまりない。経年しても、しばらくは人気が高い
    〇家賃を高めに設定できる
    〇修繕コストが低い
    〇融資が受けやすい
    〇売却しやすい

    新築は、新築ということだけでプレミアがつく。不動産会社も、新築物件は高く貸せるとあって、積極的に募集をする。募集時期さえ外さなければ、空室の不安を抱えることもない。すべてが新品の状態であるため、最初の8年くらいまでは、室内の設備が故障するリスクが低く、退去が発生した後の新規募集も、原状回復のみでできる。結果として、ほとんど修繕コストがかからず、空室対策を施すなどの手間がかからない。

    取得する際の融資も、新築の方が中古よりも良い条件で融資を受けやすい。長い期間の融資を組むこともできる。融資期間については意見が分かれるところだが、第4章で説明するように、基本的に融資期間が長い方が手元に残るキャッシュが多い。手元のキャッシュが多ければ、次に購入する不動産の資金として投入することができる。金利も中古よりも低い金利で融資を受けやすい。

    さらに売却の際、長期譲渡所得税が採用される5年超持ち続けても、築年数10年以内の築浅物件 として売りに出せるので、買い手がつきやすいというメリットもある。

    〈新築のデメリット〉
    〇購入価格が高く、中古に比べると利回りが低い
    〇土地を探し、建築しなければならない
    〇建物が完成するまで、土地代の借り入れ返済が厳しい

    新築は価格が高いため、資金力に余裕がなく自己資金をあまり用意できないと、利回りが低いため経営が厳しくなる。借入比率が高いと、満室でも手元に残るキャッシュは少なくなる。しかも、経年して入居率が低下すると、さらに返済が厳しくなる。

    また新築は、建て売りで販売に出ている物件以外は、土地から探さなければいけない。たいてい は、新築アパートやマンションを販売する会社が土地を紹介してくれるが、中には地域相場よりも高い価格で販売し、一儲けしようと考える業者もいるため、気をつけなければいけない。また、土地をまず購入して、その後建物を建築するため、土地購入代を借り入れでまかなう場合、その土地からの収入がない中で返済しなくてはならないため、財務的に厳しくなる。

    以上のように、新築はメリットが多いが、資金力がないと金融機関から融資を受けることができたとしても、なかなか利益を上げにくい。土地を契約してから建物工事中の期間は自腹を切って返済しなくてはならないので、資金的余裕がない場合は実現が難しい。

    中古物件は工夫次第で利回りを高められる

    次に中古物件についてだが、前述したように、初心者は中古物件購入からが家主業を始めやすい。その理由は、次のメリットを見るとわかるだろう。

    〈中古のメリット〉
    〇購入価格が安く、利回りが高い
    〇リノベーションで付加価値をつけられる
    〇購入直後から家賃収入を得られる
    〇節税効果が高い

    永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
    永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
    築年数が古ければ古いほど、不動産の価格は下がる。しかし、例えば首都圏で、同じ規模の中古物件が新築と比較して半値ほどで購入できたとしても、家賃が半分になることはない。つまり、購入価格の方が家賃収入よりも価格差が生じやすく、中古物件は新築より高い利回りとなる。購入時に入居者がいれば、購入直後から家賃収入を得られるのも安心材料だろう。

    さらに、低価格で購入した不動産をリノベーションすれば、新築並みの家賃で貸すことも可能 だ。費用を抑えるために、建材などを家主自身がインターネットで探して購入し、施工だけを業者に依頼するという家主も増えている。中古物件は、家主の力量でいくらでも利回りを高めることができるのだ。

    築年数が古いと減価償却期間が短いため、大きな節税効果も期待できる。不動産のような高額な資産は1年間の売り上げ、すなわち家賃収入よりも多く経費化することはできない。そのため、「減価償却」という経費計上の方法があり、構造体と築年数により決まった減価償却期間にもとづいて、毎年決められた金額が経費化される。この減価償却期間は、築年数が古いと短く、例えば木造で築22年を超えると一律4年となる。他の所得がある人にとっては、一度に経費化できるものが多いと、節税できるためメリットに感じるのだ。

    〈中古のデメリット〉
    〇融資を受けにくい
    〇修繕費などの出費が多く、空室リスクが高い
    〇次の買い手がつきにくい

    中古のデメリットは、新築のメリットの逆になる。特に修繕費は、よく調べて検討しないと経営を圧迫する。利回りばかりに目が向き、実際の建物の状態をよく調べないで購入すると、雨漏りやシロアリなど建物にトラブルを抱えていて、その修繕費が購入費と同じくらいかかったなどという話も珍しくない。中古物件のリスクは、素人の目視だけでは修繕費がいくらかかるかわからないことだ。

    中古物件を買い慣れている家主は、購入を検討する不動産を訪問する際、現地に建築業者に同行してもらう。建築業者と共に建物の外、中を確認して、すぐにどの程度の修繕費用が必要なのか見積もりを出してもらうためだ。それにより、購入前におおよその投資費用がわかり、購入すべきかどうかの判断ができる。

    また最近は「ホームインスペクション」と呼ばれる建物診断サービスが出てきた。ホームインス ペクションでは、建物の状況を調査し、不具合がある場合は、どの部分を修繕する必要があるかの診断シートを作成する。家主は、その診断シートをもとにリフォーム業者に見積もりを取り、購入判断ができる。

    いずれにしても、中古物件は買いやすい半面、持ち続けるのも、売却するのも新築と比べて難易 度が高い。その点を理解しないと、運営コストがかかり、入居者が一度出てしまうと空室期間が長期化して家賃収入が減るという悪循環に陥る。単に利回りが高いとか、価格が安いなど、表面的なところばかり見るのではなく、建物の状態をきちんと調べることが重要だ。RC造マンションは融資を受けやすい

    永井ゆかり
    「家主と地主」編集長

    売電価格は下落の一途「太陽光発電投資」にうま味はあるのか?

    太陽光発電投資は、堅実な人に向いている

    私事ですが、太陽光発電投資を始めました。その経験を踏まえ、太陽光発電投資とはどのようなものか、メリットやリスク、気をつける点などを解説します。

    まず太陽光発電投資は、変な言い方ですが頑張れない投資です。

    大幅に収益が上がることはなく、必要なポイントを押さえておけば頑張る必要がありません。太陽さえ出ていれば勝手に太陽光発電所が発電し売電収入を得ることができます。

    株式投資やFXなどボラティリティー(価格変動)が大きな投資商品に必要とされる知識や経験は要りません。「忙しいのに値動きが気になってパソコンの画面から目が離せない…」なんてことは皆無です。

    アパート経営のように空室リスクに悩むこともありません。不動産投資では、近隣に同じような建物が建築されると、供給過剰になり家賃を下がる危険性がありますが、太陽光発電所の場合は、隣接地に別の太陽光発電所が建設されても大丈夫です。太陽は同じように2ヵ所の発電所を照らしますので、売電収入が減ることはないのです。

    なお、電力の買取先は、太陽光発電所を建設した所在地を管轄する電力会社になります。電力会社は一定の価格で一定の期間買い取るため、一方的に契約を解除されるリスクも低いものです。

    最初から大きな収益を生む投資ではありませんが、少ない自己資金で(筆者は自己資金ゼロでスタートしました)知識や経験を必要としないため、「こんなはずじゃなかった」という可能性が極めて低いといえます。

    また、後述する固定価格買取制度(FIT)の期間が20年と長期なため、太陽光発電所を全額融資で購入(借入期間15年)しても、借入期間が終了する15年後以降はキャッシュフローが大幅に良くなるので将来的な年金不安も軽減できます。

    気をつける点は、売電額の根拠となるシミュレーションの数字によって利回り等が変動することです。過去何年間の日照データを基に算出しているか等のシミュレーションの根拠を確認することが必要です。また、太陽光発電所を自分で維持管理するのは難しいので、年間の管理費用やその内容、遠隔監視システム導入の有無、動産総合保険加入の有無を確認しましょう。

    ハラハラ、ドキドキ感はないけれど…
    ハラハラ、ドキドキ感はないけれど…

    「固定価格買取制度」で、発電した電力価格を保証

    最近のニュースでも散見されますが、政府は地球温暖化対策の一環として脱炭素社会の実現を目指しています。特にCO2を大量に発生する火力発電所に代わり、再生可能エネルギーによる電力供給に力を入れています。

    再生可能エネルギーの普及を目指しその後押しをしているのが、経済産業省が主導する固定価格買取制度(FIT)です。

    FITとは、再生可能エネルギーで発電された電力を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けた制度で、2012年7月1日にスタートしました(2009年11月11日にスタートした、家庭や事業所が発電した余剰電力買取制度は固定価格買取制度に移行)。

    対象となる再生可能エネルギーは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電の5つです。

    買取期間は原則として、自宅の屋根などに設置し自己使用した残りの余剰電力を売電する住宅用の太陽光発電所(10kW未満)は10年間、発電した電気の全量を売電する産業用の太陽光発電所(10kW以上)は20年間、固定の売電単価で電力会社へ売電を行うことができます。

    再生可能エネルギーの買取原資は「再エネ発電賦課金」として、電力会社が買い取る費用の一部を国民が負担しています。

    売電単価は年々下がっているけれど…

    産業用の太陽光発電所(全量買取10kW~50kW未満)の売電単価は、2012年当初はkWhあたり40円でしたが、2019年度には14円に下がり、現在の売電単価は13円です。


    [図表1]売電価格推移(10kW以上)

    ここで誤解がないように付け加えますが、売電単価は、「事業計画認定」を受けた年度により決定します。太陽光発電所を建設した年によって決定されるものではありません。

    売電単価の低下は、これから太陽光発電投資を始める方にとって不利なように思われますが、そうとも言い切れません。売電単価の低下とともに太陽光発電設備の価格も下がっており、FITが始まった当初も現在も平均的な太陽光発電所の表面投資利回りは9~10%で変わらないのです。
    太陽光発電投資のリスクとして考えられるのが、FITが終了した20年後以降の売電単価です。

    20年後の売電単価がいくらになるか現時点では誰にも答えることはできませんが、2019年に住宅用のFITが終了した後、各電力会社及び電力自由化により参入してきた新電力会社の買取価格は7~10円となっています。現在、電力会社が電気を作るコストは一番安い水準で10円/kWhと言われていますので、将来的に発電コストが下がった場合は買取価格が5円程度になる可能性はあるでしょう。

    仮に売電単価が5円とすると、売電単価40円でスタートした太陽光発電所は、売電収入が8分の1に低下します。一方、売電単価14円でスタートした太陽光発電所は、売電収入が約3分の1の低下で収まるので、現時点で売電単価が高い太陽光発電所が有利とは言えません。

    それ以上に気になるのは、2020年度よりソーラーパネルの設置容量が10kW~50kW未満の場合、発電量の「全量買取」ではなく自己消費後の「余剰電力の買取」となることです。

    一般的な投資用の太陽光発電所は「野立て」と言われるもので、日当たりの良い土地の上に太陽光パネルを設置します。

    太陽光発電所を建設する場所は、「日当たりが良いところ」が第一条件です。そのため、住宅が密集している市街地より、周りに建物がなく日当たりが良い地方の使われていない農地などが適していますが、そのような場所で電力を自己消費することは不可能に近いと思われます。

    したがって、10kW~50kW規模の太陽光発電所の「事業計画認定」申請は激減するでしょう。それに伴い、10kW~50kW規模の全量買取型の太陽光発電所は供給量が減っていくことは明らかです。

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    今日の誕生日は誰だ! 4月25日は“トータルフットボール”を体現したあのレジェンドのバースデー! ◆ ヨハン・クライフ 【Profile】 出身:オランダ 誕生日:1947/4/25 ポジション:MF クラブ:アヤックス、バルセロナなど 身長:176㎝ 『今日の誕生日は誰だ!』本日、4月25日はアヤックスやバルセロナで活躍した“トータルフットボールの体現者”ヨハン・クライフ氏のバースデーだ。 選手時代のクライフ氏は リヌス・ミケルス 監督の志向したトータルフットボールを完全に体現。その類稀な戦術眼を生かしピッチ上で第2の監督として振る舞い、目まぐるしくポジションの入れ替わる戦術に欠かせない存在として君臨した。アヤックス時代には、UEFAチャンピオンズカップを3連覇し、バロンドールを3度受賞。オランダ代表でも“時計仕掛けのオレンジ”と称される精密な組織の中心となり、ワールドカップ準優勝に導いた。 バルセロナでも選手時代に“救世主”と呼ばれたクライフ氏は、現役引退後に監督としてカタルーニャに帰還。現在まで脈々と続くポゼッションというフィロソフィーをバルセロナに植え付け、 ジョゼップ・グアルディオラ 少年を見出しトップチームに引き上げ、リーガエスパニョーラ4連覇などの圧倒的な成績を残した。その功績は計り知れないものであり、晩年の2015年3月24日、肺がんに臥した際にはベッケンバウアー氏らサッカー界のレジェンドをはじめ、オランダ国王までもが哀悼の意を示し、世界中が悲しみに包まれた。 ※誕生日が同じ主な著名人 デイビッド・モイーズ(サッカー監督/ウェストハム) ジウベルト・ダ・シウバ・メロ(元サッカー選手) ラファエル・ヴァラン(サッカー選手/レアル・マドリー) ライス・エンボリ(サッカー選手/アル・イテファク) 岡崎亮平(サッカー選手/FC琉球) 森島司(サッカー選手/サンフレッチェ広島) アルバート・キング(ギタリスト) 鳥羽一郎 (歌手) アル・パチーノ(俳優) 鈴木おさむ (放送作家) 「日本から引き抜くのは困難」 J助っ人獲得に海外クラブ白旗、現地メディア指摘「適応した」 儲かりたいならパート社員を武器にしなさい サンフレッチェ広島FWレアンドロ・ペレイラ(※写...

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    「完」不動産投資へのこだわり! 投資は東京・大阪・名古屋にこだわるべき 「不動産 投資 初心者 勉強」

    回復し続ける地方の地価 それでも投資は東京・大阪・名古屋にこだわるべき 東京 (写真=ESB Professional/Shutterstock.com) 東京駅前や日本橋、虎ノ門、新宿、渋谷などの重要エリアで、大型開発が進行中です。次世代に対応した先進都市になることが予想されているため、今後も賃貸需要やある程度の地価の安定が期待できます。 大阪 (写真=PIXTA) 大阪駅周辺のうめきたや2025年大阪万博の会場である夢洲をはじめとする大型再開発、主要路線の整備が進行中です。また、大阪は国内でも有数のインバウンド好調エリアです。こういった背景を考えると、今後も賃貸需要や地価上昇が期待できます。大阪はIR(カジノを含む統合型リゾート)の候補地でもあります。決定すれば勢いが増すことでしょう。 名古屋 2030年100兆円産業「MaaS」丸わかり。 不動産の価値 が根底から変わる? ウーバーでは電動飛行機によるMaaSの試験も CREALが、不動産投資クラウドファンディングにおけるリサーチで運用資産残高No.1を獲得!! ■会社概要 社名:株式会社ブリッジ・シー・キャピタル 代表取締役社長:横田 大造 所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座2-16-11 片帆ビル3階 TEL:03-6264-2590 イラン、通貨の信用不安深刻化…車や不動産投資、仮想通貨に走る イランで通貨リアルの下落に歯止めがかからず、信用不安が深刻化している。車や不動産、金などに投資して資産の目減りを防ぐ動きが続き、仮想通貨への投資も増えている。イラン沖のホルムズ海峡近くで日本のタンカーなどが攻撃される事件が起き、米との軍事的緊張がさらに高まる中、経済悪化が続いて原油輸出に悪影響が出るとみる評論家もいる なぜ不動産投資の営業マンは自分で物件を買わない? なぜ自分でやらない?の答えは「買えないから」 投資マンションの相続で使える?「小規模宅地等の特例」の条件とは 投資マンションを所有している投資家の心配の種の一つは、「相続税はどれくらいになるのか」という点ではないでしょうか。不動産投資の対象となる土地や建物は、現預金よりも相続税評価額が低くなりますが、それでも...

    「完」不動産投資へのこだわり!10    月2000万円の収入でも「破滅寸前…」大家撃沈、酷すぎる末路「不動産 投資 初心者 勉強」

    月2000万円の収入でも「破滅寸前…」大家撃沈、酷すぎる末路 「あれも」「これも」手当たり次第はもう最悪 私は流儀一の中で「目標は高く掲げるが、それを越えてはいけない」と書いた。そこで私が強調したかったのは、目標を決めたらそこに向かって集中しろということだった。 不動産投資に興味をもつと、本を読んだり人の話をききかじったりして「あれも」「これも」と無計画に手を広げる人が少なくない。それではダメだ、ということがいいたかったのだ。 それと一見、矛盾するようだが、ここでは目標を達成したら次の目標にチャレンジだ、という点を強調したい。 「地道な作業」であることを理解していない人が多い。 あとで詳しく説明するが、私はいままで本業の工務店とは別に、いくつもの会社をつくってきた。たとえば「賃貸マンション20棟購入費(土地建物20億円)」という目標を設定したら、その目標を達成する受け皿として会社をひとつつくるのだ。 そしてその目標を達成したら、また新しい目標をたて、新しい会社をもうひとつつくる。私はこうしては、ゆっくりと、しかし確実に自分の所有する1棟マンションの数を増やしてきた。目標は、あくまで通過点にすぎないのだ。 銀行に返済後、残りわずかな利益を享受する地味な作業 わたしはよく自分がたてた目標をビーカーにたとえることがある。大家さん業というのは、月々いただく家賃から銀行への返済を行い、残りのわずかな利益を、すこしずつビーカーに集めていくようなものだと思うことがあるからだ。 少しずつしか、たまってはいかないが、しんぼう強く続けていれば、いつかはいっぱいになってくれる。 しかしビーカーばかり増やしていたら、どうなるだろうか。なかなか水はいっぱいにならない。ひとつのビーカーにゆっくりとではあるが確実に水がたまっていくイメージと、カラに近いビーカーばかりがならんでおり、あちらにポツリ、こちらにポツリと水が落ちているイメージをくらべてみてほしい。どちらがプラスのイメージかは、いうまでもないだろう。 ひとつのビーカーがいよいよいっぱいになったら、つぎの目標をたてるタイミングがきたということだ。 このビーカーこそが、私のいう「大家さんとしての目標」であり、その目標を達成するためにつくった...

    「完」SUBARUへのこだわり!2    スバル社長「今期赤字にしない」との意志、経営陣で確認=株主総会

    スバル社長「今期赤字にしない」との意志、経営陣で確認=株主総会 [東京 23日 ロイター] - SUBARU(スバル)( 7270.T )の中村知美社長は23日、東京都内で開いた株主総会で、2021年3月期(今期)の業績予想を「遅くとも第1・四半期決算までには開示する」との意向を示した。新型コロナウイルス感染の第2波リスクを含め、市場動向が分からない時期だからこそ、精緻な予測以上に「今はこうしたいのだという経営の意志が大事だ」と指摘。「非常に厳しい状況だが、絶対に赤字にはしないということを全経営陣で確認し合っている」と述べた。 中村社長は株主に足元の新車販売状況を説明。5月は日本での全体需要が前年比55%のところ、スバルは同30%だった。感染拡大に伴う生産休止による車両供給遅れ、外出自粛による来店者・受注の減少が響いたが、「週を追うごとに来場者数、商談数は回復傾向にある」と述べた。主力の米国では5月の全体需要が70%の中、スバルは81%で、「少しずつ正常化に向けた兆しを感じ始めている」と話した。 ADVERTISEMENT ただ、米国は感染者数が世界最多で先行きも不透明なため「慎重な対応が必要」とも指摘。第2波が起きた場合でも「取引先の支援や従業員の雇用を維持した上で事業を継続していく。キャッシュを機動的に使って対処する必要がある」として手元資金の確保、追加の資金調達もできるよう検討を進めていると語った。 株主からは、前期が増収増益にもかかわらず、期末配当が前の年から減配となったことに不満も上がった。中村社長はこうした声に対し、減配後も配当性向50%を維持しているほか、「米国次第で(業績は)左にも右にも揺れる。リスクは高い」とし、「今後の資金需要に備えたい」と述べ、株主に理解を求めた。 自動車メーカーSUBARU 2か月半ぶり 群馬の工場で通常生産再開 自動車メーカーの「SUBARU」は、新型コロナウイルスの影響で、群馬県の工場の生産を通常の半分程度に抑える生産調整を行っていましたが、22日、2か月半ぶりに通常の生産を再開しました。 SUBARUは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、部品の調達が困難になったことなどから、群馬県の太田市と...

    「完」不動産投資へのこだわり!3  オーナーチェンジ物件購入時に知っておきたいメリットとデメリット「不動産 投資 初心者 勉強」

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